2022.10.22

白戸太朗選手の IRONMAN Hawaii レポート

トライアスロン界のレジェンド 白戸 太朗選手から 10月8日 ハワイ ハワイ島 コナ にて開催された 2022 アイアンマン世界選手権の参戦レポートが届きました。

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レポート

2022年10月8日

今年の最大の目標だったIRONMAN Hawaii. そしてコロナの関係で今年2回開催されるIronman world championshipに両方出場できるという名誉。(5月St.George、10月KONA)


本来であれば最高の状態で現地入り~という流れを作りたかったが、そう簡単に進めないのがアイアンマン。それでも、経験値と多くの方のご協力に支えられ、なんとかきちんとレースすることが出来た。そうした意味ではいつもとは違うIRONMANで、また経験値を高めたとも言えるのかもしれない。

まず、春から取り組んでいたランフォーム改善。少しずつその成果が出だし、スピード系のトレーニングを増やしていたところ、夏に違和感が出始め、約2か月満足なランニングが出来なくなってしまった。最後は思い切ってランニングを停止し、治療に専念することになったが、結果的にはここで思い切ったことで故障は改善した。
さらに、都議会の日程が国葬などもあり、大会ギリギリになってしまった。立場上、議会を欠席するわけにはいかないので、レース前日10月7日のフライトでしか現地入りする事が出来ない。主催者に連絡すると、「本当にその日程で走れるのか?」とあきれた返答。軍や政府の仕事の場合、多少融通はきいてくれるのだが、いくら何でも前日は…。それでも、過去の出場回数などから、まあ何とかなるだろうと許可してくれた。この結論が出来るまで主催者や関係者に様々努力頂いたことに感謝しかない。

そんな訳で時差ボケや体調調整など考える間もなく、レースに突入することに。前日到着し、バタバタと準備して翌早朝にはスタートにいるのは不思議な感覚だった。
「今回はここに立てただけでも上出来。」体調的にもどうなるのかわからないし、とにかく無理しないでステディなレースを心掛ける。それでも会場入りすると、緊張感と高揚感が押し寄せる。「いかんいかん、今回はそういうレースじゃない」と言い聞かせながらスタート地点に。

スイムはいつも余裕をもって泳ぐのだが、今回はいつも以上にゆったりと。すると、例年以上に美しい海の中がよく見えた。そうか、いつもはレースに集中して、こんな景色見えてなかったなぁなんて考える余裕も。朝日が強く差し込む中、偏光ゴーグルのお陰もあり気持ちよく泳ぐことが出来た。

バイクに入ってからも同様、今回は攻めるレースではないというの言い聞かせながら、しっかり補給をしながら進んでいく。珍しく前半から風があったが、振り返るとトータルではかなり弱い日で、過去にないほど走りやすいコンディションだったかもしれない。そういえば5月のアイアンマンは、頑張りすぎたのか、途中から脚が痙攣し、それを誤魔化しながら走るのが大変だった。今回はそれより練習も足りてないので、さらに丁寧に。その成果か今回は一度も脚にトラブルなくバイクを終えることが出来た。もちろんタイムは遅いけど、このくらいの感覚で行くのがアイアンマンでは心地いいのか!?

比較的余裕をもって入ったラン。それでも強い日差しがジワジワと体力を奪っていく。カラダをエイドの氷でしっかり冷やしながら、ここでも慌てず確実に。今回はHOKAの「マッハ」をチョイスしたが、このソールの感じが気持ちいい。柔らか過ぎず、硬過ぎず。やはりアイアンマンにおいてはスピードより快適性だ。

20㎞手前までは順調にこなし、これかなりいい感じだと思っていたが、やはりアイアンマンはそう甘くない。残り2時間を切ったあたりから、少しずつ足取りが重くなり始める。それでも、歩くと長いのがアイアンマンなので、そのペースを崩さぬよう、とにかく前に走り続ける。頭の中をお世話になった人や、練習のシーン、さらには冷たいビールまで。様々なことがループしている中で、カラダはとにかく1歩を出し続ける。最後の10㎞の長いこと…。
それでもフィニッシュはやってくる。何度走っても、KONAの街の喧騒が聞こえてくると心の中にこみあげてくるものがあり、最高の気分。もしかしてこの最後の5分の為に僕は10時間頑張ってきたのかもしれない。ここまで走ってきたものだけが味わえる瞬間を味わいながら光の中に吸い込まれていった。

21回目のIRONMAN世界選手権、20回目のKONAはこうして無事に終わった。
無茶なスケジュールではあったが、これだけ走れたことはある意味自信にもなった。
もちろんカラダにいいはずもないので、誰にも勧めないし、僕自身もやりたくない(笑)
それでも新たなペース配分など発見も。そしてアイアンマンの奥の深さを感じさせてくれた。世界の人々がなぜ熱狂するのかあらためて理解出来たような気がする。

さて、次のアイアンマンではなにを見つけるのだろう。
早速次のレースを考えている自分にあきれたり、笑ってしまったり。
まだ旅は終わりそうにない。

Taro Shirato Japan M55-59
DIV RANK 90 OVERALL RANK 1575
SWIM 1:04:17
BIKE 5:46:56
RUN 4:11:25
OVERALL 11:14:32

白戸 太朗選手活動情報はこちらから Twitter


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