LOOKのフラッグシップペダル「KEO BLADE(ケオ ブレード)」。新しくペダルを購入する際、多くのライダーが無意識のうちに標準仕様である「53mm」を選んではいないでしょうか。
しかし、ペダル選びにおいて「Qファクター」は快適性とペダリングポジションを左右する重要な要素です。果たしてその53mmという長さは、本当にあなたの体格やポジションに合っているのでしょうか。
私たちはLOOKペダルを取り扱う立場として、日々さまざまなライダーから「53mmと56mm、どちらを選べばいいのか」というご相談を受けています。
今回は、単にどちらをおすすめするかという話ではなく、実際のポジション調整やフィッティングで重要になるQファクター(53mm / 56mm)の根本的な考え方を解説します。
【この記事の結論】
LOOK KEO BLADEの「53mm」と「56mm」は、どちらが優れているかではなく、ライダーの体格やポジションによって最適な選択肢が変わります。
- 53mm(標準モデル): 標準的なスタンス幅や、よりコンパクトな足位置を好む方に。
- 56mm(ロングシャフト): より広いスタンスを求める方や、クリート調整だけでは足位置を合わせにくい方に。
どちらが適しているかは身体の形態や姿勢、ペダリング特性によって異なるため、最終的にはプロショップでのフィッティングを通して選択することが推奨されます。
LOOKペダルのQファクターとは?53mmと56mmの違い
ここでいうQファクター(Q-Factor)とは、LOOKがペダルの仕様として示している、クランクアームからペダル中心までの距離を指します。左右両側を合計した全体の足幅(スタンス幅)とは区別して考える必要があります。
LOOKでは標準の53mmに加え、ペダル中心がクランクから片側3mm外側へ位置する「56mm」というワイドな選択肢を用意しています。53mmから56mmになることで、片側では3mm、左右合計のスタンス幅では6mm広がることになります。
クリートの左右調整だけで足幅を広げようとしていませんか?

「足をクランクから少し外側に遠ざけたい(スタンスを広げたい)」と感じたとき、まず行うのがシューズ裏でのクリートの左右調整です。しかし、53mmシャフトのままで足幅を広げようと、クリートを一番内側(車体側)に限界まで寄せてセッティングしている方は少し注意が必要です。
クリート位置とペダル軸の関係
右足を例に考えると、クリートをシューズの内側(車体側)へ移動させると、ペダルに乗った際に足(シューズ)全体は外側へと移動します。
その結果、53mmのままクリートを内側へ大きく移動させると、足はペダル軸に対して外側へ位置することになります。つまり、足裏に対するペダル軸の位置関係も変化します。
「足幅を広げるためにクリートを内側へ大きく移動する」という調整方法自体は間違いではありません。しかし、クリートの調整幅を限界まで使うことになるため、ペダル軸(Qファクター)そのものを外側へ移動させる方法と比較・検討する余地があります。
こんな場合はQファクターを見直すサインかも
ポジション調整の現場では、Qファクターの見直しを検討するきっかけとして以下のような悩みや感覚がよく聞かれます。ご自身のライドを振り返ってみて、心当たりはありませんか?
- ペダリング時、膝の軌道がブレている(まっすぐ上下に動いていない)感覚がある
- ライドの後半になると、膝や足首の周辺に違和感が出やすい
- 足の外側など、局所的な張りを無意識にカバーしながら乗っている
- ペダルを広い面でしっかり捉えられている実感が薄い
もちろん、これらはQファクターだけでなく、サドル高、クリート前後位置、サドル後退量、足部の向きなど、複数のポジション要因によっても生じるため、すべてがペダルだけで解決するわけではありません。(※強い痛みや継続する症状がある場合は、ペダルやフィッティングだけで判断せず、医療機関や専門家への相談をおすすめします。)
Qファクターがペダリングポジションに与える影響

LOOKが公開している製品情報やフィッティング関連情報を踏まえると、適切なQファクターを選択することは、下肢のアライメントやペダリングポジションに大きく影響します。
- 下肢のアライメント: ライダーに合ったスタンス幅を設定することで、股関節・膝・足首の位置関係を適切に整えやすくなります。
- 不要な動きの抑止: 身体に合わないスタンス幅を無理に補正する必要が減り、自然なペダリングポジションを作りやすくなります。
- ペダル接触面の活用: KEO BLADEは705mm²の広い接触面(contact surface)を備えています。Qファクターやクリート位置を適切に調整することで、この広大な接触面を安定して活かしやすいポジションを作ることができます。
LOOK KEO BLADEの56mmはどんな人におすすめ?

「53mmのままではクリート位置だけで足幅を広げるのに限界がある」というライダーに向けて、LOOKが用意しているもう一つの選択肢が「56mm」のロングシャフトモデルです。
標準の53mmからペダル軸そのものを片側3mm外側へ移動させることで、クリートを限界まで内側へ寄せることだけに頼らず、スタンスを広げる選択肢が得られます。より広い足位置を求めるライダーでも、KEO BLADEの広い接触面を活かした自然なペダリングを作りやすくなります。
LOOKのQ-Factor Washer/Q-Factor Ringとは?1mm・2mmでさらに細かく調整
LOOKでは、53mmと56mmのペダル本体だけでなく、Qファクターをさらに微調整するための純正「Q-Factor Washer/Q-Factor Ring」も用意されています。
1mmと2mmのワッシャーをペダル軸とクランクの間に追加することで、ペダル中心をさらに外側へ移動させることができます。LOOK公式マニュアルでも、ワッシャーによってQファクターを増加させる調整方法が案内されています。


53mm/56mmの2種類のベースモデルに、LOOKのQ-Factor Washer/Q-Factor Ringを組み合わせることで、ペダルをさらに外側へ移動させる微調整が可能です。たとえば以下のような「相当値」として考えることができます。
- 53mmベース: 53mm(標準) / 54mm相当(+1mm) / 55mm相当(+2mm)
- 56mmベース: 56mm(標準) / 57mm相当(+1mm) / 58mm相当(+2mm)
たとえば56mmモデルに2mmのワッシャーを追加すれば、理論上「58mm相当」までスタンスを広げることが可能です。(※2mmワッシャーは1ペダルにつき1枚まで。ワッシャーを重ねて使用することはできません。)
また、左右の脚の長さや関節の可動域、足の向きなどの左右差がある場合には、フィッティングの結果に応じて「左右それぞれに必要な厚みを選択する」という考え方もできます。
つまり、LOOKのQファクター調整は「53mmか56mmか」という二択だけではありません。ペダル本体のモデルとQ-Factor Washer/Q-Factor Ringを組み合わせることで、ライダーの身体特性やポジションに合わせて、より細かなスタンス調整を検討できるのです。
53mmと56mm比較表
| 項目 | 53mm(標準モデル) | 56mm(ロングシャフト) |
|---|---|---|
| Qファクター | 53mm | 56mm |
| スタンス | 標準的 | +3mm(片側) |
| 向いているケース | 標準的な足位置を好む場合 | より広い足位置を求める場合 |
| クリート調整 | 標準位置から調整 | クリート調整だけでは足幅を出しにくい場合 |
| ワッシャー/リング追加時の目安 | 54mm相当(+1mm)/ 55mm相当(+2mm) | 57mm相当(+1mm)/ 58mm相当(+2mm) |
よくある質問(FAQ)
Q. 56mmにすると左右合計で何mm広がりますか?
片側で3mm外側に出るため、左右合計で「6mm」スタンス幅が広がります。
Q. 53mmと56mmは身長や骨盤の広さだけで決まりますか?
いいえ、身長や骨盤の幅だけで一律には決まりません。股関節の柔軟性、足首の向き、サドル高、ペダリングの癖など複合的な要素が絡むため、フィッティングでの確認をおすすめします。
Q. 56mmモデルでも足幅(スタンス)が足りない場合はどうすればいいですか?
別売のQ-Factor Washer(1mmまたは2mm)を使用することで、さらに外側へ拡張できます。たとえば56mmモデルに2mmワッシャーを追加すれば「58mm相当」まで広げることが可能です。(※2mmワッシャーの重ね使用は不可)
Q. 56mmにした方が膝に優しいですか?
一概には言えません。広すぎるQファクターがかえって膝に負担をかける場合もあります。LOOK公式も身体形態・姿勢に応じた適切な選択を推奨しています。大切なのは「自分にとって自然なアライメント(直線軌道)が作れるか」です。
まとめ:フィッティングで自分に最適なQファクターを見つけよう
ペダルを選ぶときは、モデルや重量だけでなく、自分に合ったQファクターも確認しておきたい重要なポイントです。
LOOKペダルを取り扱う私たちが、必ずしも「56mmがおすすめ」と考えているわけではありません。53mmで適切なポジションが作れるのであれば、それがそのライダーにとっての正解です。一方で、クリート調整だけではスタンスを確保できない場合には、56mmやQ-Factor Washerを含めて検討する大きな価値があります。
「自分に合うQファクターがわからない」「クリート調整で行き詰まっている」と感じている方は、ぜひお近くのプロショップが提供するフィッティングサービスにご相談ください。
客観的なデータに基づき、あなたに最適なQファクターとクリート位置を導き出してくれるはずです。最適化されたQファクターで、KEO BLADE本来の優れた安定感とダイレクトな走りを体感してみてください。


