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Charger 3 | 減衰の基本 | 作動のしくみ | グラフで見る違い | ライダーへのメリット
Charger 3.1
進化は、ひとつ前の世代から始まります。テスト、学習、試行錯誤、そして世界最速のレーサーからのフィードバックを重ね、Charger 3の技術をさらに前へ進めたのがCharger 3.1です。
基本理論と設計はCharger 3と共通しています。まず3.1の変更点を紹介し、その後でCharger 3のしくみを詳しく見ていきます。
最初の目標は、調整の幅を広げること。クリック数を増やすのではなく、Low Speed Compression(LSC)を開いたときの減衰を減らすために、LSC Oil Flow Housingを拡大しました。LSC全開時に流せるオイルは68%増加。流れやすい経路をさらに流れやすくし、低速入力による細かな振動を抑え、トラクションを高めます。
反対に、High Speed Compression(HSC)を閉じたときには、より大きな減衰を得られるようにしました。HSCのピラミッド形状の部品を大きくし、閉じた状態でオリフィスを通るオイル量を減らします。荒れたトレイルでも手への厳しさを増やすことなく、トラベルの高い位置で支えられることを目指しています。
システム全体のコンプレッション減衰を減らすことも、大きな目標でした。HSCとLSCを中央に合わせた場合、Charger 3.1はCharger 3より減衰が少ない状態から始まります。新しいミッドバルブ・チェックスプリングでオイルを流しやすくし、それに合わせてIFPのコイルスプリングを高いレートへ変更。安定性とコントロールを高めています。
Charger 3ユーザーは、一部の部品を交換してCharger 3.1へアップグレードできます。作業は2023+ ZEB/Lyrik/Pikeのサービスマニュアルで確認してください。Charger 3.1用Shim Tune Kitsには2種類のコンプレッションと3種類のリバウンドチューンが用意され、さらに細かくカスタマイズできます。
Charger 3
ロックガーデン、ブレーキングバンプ、バーム。下りで次々と現れる路面やライダーの入力に対して、フォークの動きを制御するのがダンパーです。小さな連続した凹凸から大きな衝撃まで、コンプレッション減衰を加え、バイクの反応をコントロールします。
2023年のフォークラインアップに向け、RockShoxのシニアデザインエンジニアTim Lynchは、白紙から新しいダンパーを設計しました。長年のリアショック開発で培ったInternal Floating Piston(IFP)の知識をフォークに応用し、調整の可能性を広げました。
完成したCharger 3は、ライドスタイルとトレイルに合わせて設定を組み合わせられるダンパーです。スプリングで支えるIFPを採用した、密閉・自己完結型のカートリッジ構造により、ストローク中の一貫したフィーリングを目指しました。
一貫性に加え、ライダーが自分の好みを見つけられる調整機能も重視。開発チームはHSCとLSCを真に独立させ、一方の調整が他方に影響する「クロストーク」をなくすことを目標にしました。
減衰の基本
ダンパーはスプリングと組み合わせ、スプリングがエネルギーを受け止め、放出する速さを制御します。バルブを開く(Open)とオイルが流れやすくなり、閉じる(Closed)と流れが制限されます。
「サスペンションを開く/減衰を減らす」とは、オイルの抵抗を減らし、圧縮しやすくすること。「閉じる/減衰を増やす」とは、流れを制限し、圧縮により大きな力や時間を必要とさせることです。
HSCは素早い衝撃など、フォークが速く圧縮されるときの感触に関わります。LSCはコーナリング、荷重移動、斜面のつなぎなど、緩やかな圧縮を制御します。ここでいう速度は、走行速度ではなくサスペンションが動く速度です。リバウンドにも同様の考え方が使われますが、ここではコンプレッションに注目します。
従来型のダンパーでは、HSCとLSCが同じ流路系に含まれ、一方を調整すると他方も変わることがありました。例えば、衝撃が厳しいためHSCを開くと、LSCも影響を受け、フォークの支持力まで失われることがあります。これがクロストークです。
従来の構造では、HSCの調整がシムスタックを押すスプリングのプリロードを変えます。そのシムスタックが生む背圧をLSC側も利用しているため、HSCを開いてスプリングの力を抜くと、LSCが十分に機能しなくなる場合があります。
Lynchはこの関係を切り離すため、オイルがHSC、次にLSCの順に通る構造を設計しました。HSCを変えて衝撃への反応を滑らかにしても、LSCの設定を保ち、低速域の支持力やライドハイトを維持できます。
Charger 3は、どう作動するのか?
圧縮によってカートリッジ内のオイルが押し上げられると、最初にHSC回路を通り、その後LSC回路へ流れます。両方がOpenならオイルは自由に流れ、フォークは圧縮しやすくなります。
HSCを閉じ、LSCを開いた場合、HSCの流量は制限されます。ただしLSCが扱う緩やかな動きに必要な流量は少ないため、LSCをOpenの状態で機能させるだけのオイルは通ります。逆にHSCを開き、LSCを閉じると、オイルはHSCを通過した後、LSCで制限を受け、LSC側に圧力と減衰が生まれます。
ここではOpen/Closedの両端で説明していますが、実際にはその間に複数のクリックがあり、段階的に調整できます。
上のアニメーションでは、まずLSCニードルが下がり、流れやすいポートを閉じてオイルを抵抗の大きい経路へ導きます。続いてHSCピラミッドが下がると、HSCポート下側の圧力が上がります。最後に両方が開き、流れが均一に戻ります。
HSCの流れを制御する
HSC回路は、開口面積を調整できるオリフィスを使います。開いた状態ではオイルがHSCポートからLSCへ流れやすく、閉じると通れる空間が小さくなり、減衰が増します。
大きなドアを人が落ち着いて通り抜ける状態がOpen。ドアを狭くし、多くの人が同時に通ろうとする状態がClosedです。通りにくくなることで手前の圧力が上がる、それが減衰を増やすしくみです。
HSCを閉じるとHSCポート下側が加圧されますが、LSC回路では流れやすい経路と抵抗の大きい経路の両方を通り、設定に応じた流れを維持します。
LSCは、2つの経路を切り替える
LSCでは、調整に応じて流れやすい経路と、抵抗の大きい経路へオイルを振り分けます。Openに近いと、オイルはダンパー中央からLSCニードルのポートを通り、少ない抵抗で流れます。
Closedに向けて回すとニードルが下がり、ポートを塞ぎます。オイルは外側の経路へ回され、シムスタックを押して通過する必要があるため、流れが遅くなって圧力と減衰が生まれます。HSCとLSCが順番に並ぶ構造なので、HSCを閉じてもLSCは独立して機能できます。
グラフで見る、独立した調整
コンプレッション減衰の試験で、HSC/LSCの効き方を比較します。図1の縦軸は力(減衰力)、横軸はダンパーが動く速度です。一般に速度が上がるほど減衰力も増します。
図2は他のダンパー、図3はCharger 3の調整範囲です。緑の実線はHSC/LSCともOpen、赤の実線は両方Closed。青の破線はLSC Closed/HSC Open、黄の破線はLSC Open/HSC Closedです。
他のダンパー:図2
LSC Open/HSC Closedの黄色い破線は、低速域では緑のOpen/Openに近く、速度が上がると減衰力が増します。これは期待される動きです。
一方、青い破線と赤い実線は、どちらもLSCがClosedなのに、低速域の減衰力が大きく異なります。HSCを開くことでシムスタックの荷重が減り、LSCが十分に機能せず、青い線が緑のOpen/Openに近づいてしまいます。LSCがHSCの設定に依存していることが分かります。
Charger 3:図3
青い破線のLSC Closed/HSC Openは、低速域で赤いClosed/Closedとほぼ重なります。HSCを開いても、閉じたLSCがしっかり機能していることを示します。速度が上がると緑の線へ近づき、高速域では開いたHSCの効果が現れます。
黄色い破線は、低速域で緑のOpen/Openとほぼ重なり、高速域では赤い線へ近づきます。LSCの反応を保ったままHSCを調整できることが分かります。各クリックが明確な意味を持ち、HSCとLSCを個別に合わせられます。
ライダーへのメリット
HSCとLSCを独立して調整できれば、必要な減衰を必要なだけ加えられます。減衰を増やすことが、そのまま突き上げや不快な反応を増やすことにはつながりません。
大きな衝撃へのコントロールを保ちながら、遊びのある軽快な乗り味を目指す。あるいは段差を越える動きやすさを残しながら、Gアウトやバームでの支えを増やす。好みやトレイルに合わせた組み合わせを探せます。
一度決めた設定で走ることもできますが、ステレオの高音・低音・音量を調整するように、トレイルごとに設定を楽しんでみてください。
「両方を閉じても、両方を開いても楽しめます。片方だけ閉じても、両方を中央にしてもいい。それぞれが、期待したとおりに働きます。」
— Tim Lynch
Charger 3 RC2は、2023 RockShox Pike、Lyrik、ZEBのUltimate/Select+モデルに採用されました。お使いのフォークを調整するには、セットアップガイドをご覧ください。
レンダリング:Ray Bach
写真:Mason Mashon、James Stokoe
文:Sarah Walter

