自転車に乗れば当然自転車は汚れます。
「掃除しなければいけないのはわかっているけど、やり方がわからない」
「自転車を水で濡らして大丈夫?」
「マンションに住んでいるから水が使えない」
そういったお悩みを持つ方もいるかと思います。
今回、いろいろなシチュエーションでの洗車に対応すべくいろいろな種類が存在するクリーナーの基礎知識、選び方を徹底解説していきます!
洗車の意義
そもそも洗車は何のために必要なのか?
見た目が汚いのをピカピカにしたほうが気持ちがよいものですが、人力で推進力を得る自転車だからこそ、実は機能的にも重要な要素を含みます。
まずは、汚れの種類から考えていきましょう。
汚れの種類について
自転車の汚れは大きく分けて2つ。
1.フレームやホイールに付着する汚れ:泥、土、ホコリ
自転車を走っていたら必ず着く粉塵のような汚れ。
泥だけでなく、大気中のいろいろな汚れ、黄砂や汚染物質なども含んで付着をしていきます。
フレームなどの表面に付いている分には、性能面でのマイナスはあまりないですが、そのまま放っておくと、塗装面が痛み、艶が失われたりします。
また、深刻な傷、ヒビなども、きれいにしていると気づけますが、汚れていると隠れてしまうこともあります。
また、細かい汚れはいろいろな隙間にも入っていくので、駆動部、パーツの接合部、などにも溜まっていくと、性能にも影響を及ぼします。
汚れの影響:塗装面のダメージ。駆動部の抵抗、摩耗につながる
2. チェーン、ドライブトレインの汚れ:油汚れ
そしてもう一つが、油を含む汚れ。先程の泥やホコリも当然含むのですが、「油を含む」ことにより、これがまたやっかいな汚れになってきます。
一番影響があるのは、駆動性能に直結する、チェーン周り。
抵抗を減らし、常に潤滑をさせる必要があるためチェーンルブを頻繁に使用します。
この油が土や、ホコリを呼び、油と混ざって付着しているのが汚れです。
当然、抵抗は増え、潤滑面にいってほしいルブが、汚れに吸い取られていってしまいます。
また、小さな汚れの粒子がヤスリのように働いて、コンポーネントを削っていってしまうため、パーツの寿命も短くなってしまいます。
汚れの影響:塗装面のダメージ。駆動部の抵抗、摩耗につながる
と、2つに大きく分けて、汚れの種類を見たところで、次に洗剤の種類を見ていきましょう。
洗剤の種類
汚れが大きく2つあることは分かりました。
でも、洗剤は?となるとすごいラインナップがあって、どれがどれに適しているのか分からなくなります。
洗剤の溶媒
・水性溶媒
主に汚れを浮かせる界面活性剤(※1)が入っている事が多い。
洗浄性能もpHによって変わる。
pHは1〜14の数字で示されて、pH7が中性
洗剤では主に、
酸性洗剤:1〜5
油分、カルシウム成分を落とすのに適しているが、金属パーツの多い自転車には不向き
中性洗剤:6〜8
最も無害、洗浄力は他の2つに比べて落ちる
アルカリ性洗剤:9〜14
油系の洗浄に適している。
が採用される。
マックオフではアルカリ性と、中性洗剤をラインナップ。
・石油系溶媒
元祖チェーン汚れ落とし。昔はレースの現場でも灯油で洗浄をしていた。
油汚れを落とすには、「油で一緒に溶かして」落とす。
油系洗浄性能としては一番強力だが揮発しづらく、放置すると成分が残り、汚れ以外の油分も一緒に溶かしてしまうこともある。
水と洗剤か、アルコール系の洗剤で洗い流す必要がある。
・アルコール系溶媒
「アルコール成分で油を薄めて」液体と一緒に流し落とす。
石油系に比べて洗浄性能は劣るが、揮発速乾性が高く、パーツに成分が残らないため安心して使用できる
ただ、脱脂する力が強いため、傷んだ塗装面には少し注意が必要。
洗剤用語
・界面活性剤(※1)
混じり合うことのない、水と油の境界面に作用して、混じり合わせることができる。
油汚れを落とす洗剤には、この成分が入っている。
さらにこの粒子をより細かくできて、細かい隙間まで入っていくことができる小さな界面活性剤の粒子が「ナノテック」
ナノテックバイククリーナーの名前はここから
・有機溶剤
アルコールやエタノール、石油など、有機物から作られる油と結びつきやすい(溶かしやすい)成分。
MUC-OFF洗剤一覧
上記をふまえて、Muc-Offの洗剤の一覧を作成しました。
※右にスクロールします。
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製品名 |
NANOTECH BIKE CLEANE |
WATERLESS WASH |
成分 | アルカリ性液体洗剤 | 中性液体洗剤 |
洗剤種類 | スプレー | スプレー |
汚れ種類 | 泥・ほこり | 泥・ほこり |
水すすぎ | ◯必要 | ×不要 |
洗浄箇所 | フレーム、ホイール、タイヤ | フレーム、ホイール、タイヤ |
特記事項 |
表面保護剤が添加。 コーティング効果あり。 ・塗装面 ・カーボン製品のエポキシ樹脂 ・樹脂パーツ 等の保護に。 |
少量のアルコール成分を添加。 シリコンも配合で、艶出しまで対応。 |
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製品名 |
DRIVETRAIN CLEANER |
WHP QUICK DRYING DEGREASER |
成分 | ハイブリッド(アルカリ性液体x石油系) | 石油系揮発洗剤 |
洗剤種類 | スプレー | エアゾール |
汚れ種類 | 油汚れ | 油汚れ |
水すすぎ | ◯必要 | ×不要 |
洗浄箇所 | 駆動部 チェーン、ディレイラー |
駆動部 チェーン、ディレイラー |
特記事項 |
界面活性剤と、 石油系のハイブリッドな洗剤で洗浄力を強化。 強いため、長く置かず 水でしっかりすすぐ必要あり。 |
油汚れ落としで、 水すすぎが不要な便利なスプレー。 |
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製品名 |
BIO CHAIN CLEANER |
BIO DEGREASER |
DISC BRAKE
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成分 | 石油系洗剤 | 石油系洗剤 | アルコール系揮発洗剤 |
洗剤種類 | エアゾール | エアゾール | エアゾール |
汚れ種類 | 油汚れ | 油汚れ | ホコリ、油分の脱脂 |
水すすぎ | ◯必要 | ◯必要 | ×不要 |
洗浄箇所 | 駆動部 チェーン、ディレイラー |
ベアリング、その他油汚れ | ディスクブレーキローター パッド、キャリパー |
特記事項 |
BIODEGREASERとの違い チェーンのコマの隙間への浸透力を考慮して、 石油成分が強め。 チェーンルブの再施工を考慮して、 界面活性は残らないように少なめに。 |
BIO CHAIN CLEANERとの違い 洗浄力(界面活性剤)が強め、 すすぎを考慮して水性成分が添加されている。 バラしたパーツの洗浄に最適。 洗浄スピードはCHAIN CLEANERに対してゆっくりのため、 スプレー後しばらく放置する |
油分を含まず、油分を落とす。 油がついてはいけない ディスクブレーキまわり用のクリーナーとして。 ステッカーやデカールを貼る前の脱脂にも役立つ。 |
食器用洗剤での洗車は?
台所用の洗剤で自転車を洗ってもよいのか?
洗えるか、洗えないかでいうと洗えます。
・食器のなめらかな表面のものに対して油汚れを落とすためのもの
・付着した泥を浮かせるような力や、様々な汚れの混じった油を落とすのには不向き。
・油を落とすことに特化して、キュキュっとなる方が食器は理想。
自転車としては残したい油分(保護、コーティング)まで落としてしまうため、艶を失ったり、カピカピした感じになる。
自転車専用洗剤が、当然、自転車に求められる機能、性能を取り入れているため安心です!!
まとめ
クリーナーにも様々な種類がありますが。
主には、何の汚れを落とすか、どこのパーツに使うかで分かれています。
ベースとしては、
・泥、土、ホコリ汚れ:フレーム、ホイール、タイヤ等
水性溶媒の界面活性剤入りの洗剤を使用
・油汚れ:チェーン、ドライブトレインまわり等
有機溶剤と呼ばれる油の洗浄力の高い成分を使用
そして、さらにどの部分を強めているのか?で、各メーカーいろいろな添加物を配合して組み合わせています。
正しい箇所にクリーナーを使って、安心安全に自転車を洗車しましょう!
たとえば、室内洗車をするなら?
(水なし)クリーナーに使われるクリーナーについて
水でじゃばじゃばと洗うのが難しく、室内で行うなら、以下の2つを。
泥、ホコリにはWATERLESS WASH
チェーンにはHP QUICK DRYING DEGREASER
WATERLESS WASHは液体タイプの中性洗剤。
洗剤としての工夫としては界面活性剤+アルコール(少)を配合しており、
塗装面への影響を抑えつつ汚れを素早く落とせるような工夫がされています。
更に超細かなシリコン粒子が入っており、この粒子が砂埃を包み込んでくれるため、
拭き上げ時に傷がつきにくくなっています。
また、超細かいシリコン粒子がフレームの細かな傷を埋めてくれるため、
光が均一に反射し、新品のような輝きが戻ります。
洗浄から、磨き上げまで1本で済ませられるのでオススメです!!
また、チェーン用のHP QUICK DRYING DEGREASERは揮発系の石油溶剤がメイン。
速乾性が高く、成分が残らないため、万が一フレームに飛んでしまっても安全です。
室内で作業する場合は十分に換気を行ってください。
また、通常のエアゾールに比べて噴射威力が高いため、ブラッシングをしなくても
アルコールの洗浄成分とジェット噴射で一気に汚れを落とすことができます。
が、同時に汚れも一緒に飛び散ってしまう可能性があるので、ウェスで覆うなど工夫は必要です。
マックオフの洗剤の種類についてご紹介いたしました。
ぜひ洗剤選びの参考にしてみてください!