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下りの途中や走り終えたとき、手を振って力を抜きたくなったことはありませんか。乾いた泥の足跡、小石、浅いわだちなどが生む、高周波・低振幅の細かな振動「トレイルチャター」は、トラクションの低下や手の疲れにつながります。ダンパーが衝撃を受け止めても、この細かな振動はフォークを通り、手まで届くことがあります。
Charger 3を開発していたころ、エンジニアたちは振動を周波数の観点から捉える方法を議論していました。Tim Lynchは兄弟と木を切っているときに、その考え方を体感します。彼のチェーンソーにはゴムで振動を抑えるグリップがあり、兄弟のものにはなかったのです。
手のしびれを訴える兄弟を見て、ゴムが細かな振動を遮断し、長く快適に作業できることに気づきました。Skyler Teachoutへ話すと、机の引き出しから金属にゴムを付けた周波数アイソレーターが出てきます。「こういうものですか?」そこから自転車用サスペンションへの応用が始まりました。
ButterCupsとは、どんなしくみ?
Ultimateグレードのフォークでは、ダンパーとエアスプリングのシャフトにButterCupsを配置します。金色のケース内にあるゴムのパックと金属プレートが、ライダーへ伝わる振動を吸収します。
ダンパー側では、シャフトに固定した金属プレートを上下のゴムで挟みます。ダンパーが本格的に作動するほどではない細かな入力でも、ロワーレッグが上がると下側のゴムがプレートへ押し付けられ、振動の勢いを受け止めます。戻るときには、上側のゴムがプレートとケース上面の間で圧縮され、反対方向の振動も吸収します。
エアスプリング側も基本は同じですが、圧縮方向でより効果を発揮する設計です。そのため背の高いゴムのパックを1つ使い、伸びる方向にはOリングを組み合わせます。
ButterCupsは約4mmの上下方向の柔軟性を加え、手へ届くトレイルチャターを平均20%低減します。バイクが動いているあいだ、細かな入力を受け持ちます。
「高周波・低振幅の細かな振動をButterCupsに任せることで、システムのほかの部分が、それぞれの仕事をよりよくできるようになります。」
— Skyler Teachout
開発とテスト
最初の試作を自分のバイクで試したLynchが覚えているのは、足跡の多い乾いた泥の上を走った感触でした。「ただ静かだった」と振り返ります。
次の試作では、同じ構成のバイクを2台用意してA/B比較。凹凸を走り、バイクを交換し、また同じ場所を走ることを繰り返し、判断に確信を持てるまで検証しました。
実走での効果を確認した後は、ラボで耐久性を検証しました。初期の柔らかいゴムは、SIM試験機で損傷することもありました。フラットへの着地やGアウトを再現する試験も加え、形状、硬度、材料を改良。すべての試験を耐えた仕様を絞り込みました。
Brian HatinはData Acquisition(DAQ)バイクを作り、トレイルの実測データを取得しました。目標は、ライダーへ届く振動のピークを抑えること。疲れを減らし、ハンドルを保持しやすくし、グリップとコントロールを高めるためにデータを検証します。
Eric Neeleyは、実走とラボの結果をもとに最終仕様を仕上げました。コンセプト確立後は3〜4回の改良を経ましたが、基本構造は最初の試作品から大きく変わっていません。小さくシンプルな技術が、手へ伝わる細かな衝撃に大きな違いを生みました。
快適性だけでなく、グリップとコントロールも両立すること。そのバランスが開発の中心でした。
「安心感は、フォークの剛性と、どれだけグリップを感じ取れるかから生まれます。コーナーで手へ届くノイズが減ると、より快適に感じ、同じリスクでも安心して、あるいは速く走れるようになります。」
— Tim Lynch
疲れを抑え、もう1周を楽しむために。Charger 3の再設計とButterCupsの開発が目指したものです。
搭載モデルとアップグレード
本記事は2023 RockShox UltimateコレクションのPike Ultimate、Lyrik Ultimate、ZEB Ultimateを紹介しています。対象の2023 Signature Seriesフォークでは、Charger 3ダンパーへのアップグレードと、ButterCups付きDebonAir+シャフトへの交換によって追加できます。実際の適合と作業手順は、モデル別の公式サービス資料とFAQをご確認ください。
レンダリング:Ray Bach
写真:Mason Mashon、James Stokoe
文:Sarah Walter

