サスペンションを、もっと理解する

初期設定を終えて何度か走ったら、ホイールの追従性やバーム・トランジションでの感触を、さらに整えてみましょう。

目標は、安心して走れる一貫した乗り味です。前後のバランスが取れると、バイクの動きを予測しやすくなります。同じように調整するとよい場合もあれば、走り方・乗車位置・路面に応じて前後を異なる設定にする方がよい場合もあります。ひとつのシステムとして自然に動く感触を目指しましょう。

以下はフォークとリアショックの両方に使える考え方です。ただしコイルショックには、エアスプリングの空気圧設定は当てはまりません。

サスペンション初期設定ガイド

スプリングとダンパーの役割

似た症状でも、原因がスプリングかダンパーかを見分けることが大切です。

スプリング:位置に応じた反応
一定の力に対して、サスペンションがどこまで沈むかを決めます。硬すぎると十分に沈まず、柔らかすぎると底付きしやすくなります。

ダンパー:動く速さに応じた反応
沈む速さと戻る速さを制御します。減衰が大きすぎると硬く感じ、小さすぎると沈み込みや支持力不足につながります。

01. まずエアスプリングを合わせる

エアスプリングは路面の衝撃を吸収し、快適性と支持力を生み出します。体重や走り方に合った空気圧が重要です。しなやかさと支持力を両立し、通常のライドでトラベルの大部分を使い、大きな衝撃でときどき底付きする感触を目指します。

硬すぎる・トラベルを使えない

・動き出しが硬い
・普段のライドでトラベルをあまり使わない
・フォークの硬さでライダーが後方へ押され、前輪の制御が難しい
・リアショックの硬さで前方へ押され、バイクを制御しにくい

調整:5 PSIずつ下げ、普段はトラベルの大部分を使い、必要なときにフルトラベルを使える設定へ合わせます。

支持力が足りない・底付きが多い

・ストローク中間の支持力が足りない
・簡単に深く沈み込む
・フォークの沈み込みで前方へ寄り、前輪を制御しにくい
・リアが沈んで後方へ寄り、ペダルを地面に当てやすい
・頻繁に底付きする

調整:5 PSIずつ上げ、支持力が得られ、底付きが多すぎない設定を探します。

02. 次にリバウンドを設定する

リバウンドは、圧縮されたサスペンションが元の長さへ戻る速さを調整します。

空気圧が高いほどスプリングのエネルギーが大きく、戻る速さを制御するために多くの減衰が必要になります。空気圧が高い重いライダーは、遅い側(カメ)へ、空気圧が低い軽いライダーは速い側(ジャッカロープ)へ寄る傾向があります。適切な速さなら、制御された伸び方でトラクションと操作性を保てます。

戻りが速すぎる・衝撃の後に跳ねる

・衝撃の後に勢いよく戻る
・バイクが暴れるように動きすぎる
・衝撃の後に接地を失う

調整:リバウンドノブを時計回り(カメの方向)に1〜2クリックずつ回して減衰を増やし、戻りを遅くします。

連続した衝撃で、沈み込んだままになる

・次の衝撃までに元の長さへ戻らない
・繰り返す衝撃で前方へ寄る(フォーク)、またはリアホイールが引っかかるように感じる(ショック)
・反応が鈍く、生き生きした感触がない

調整:反時計回り(ジャッカロープの方向)に1〜2クリックずつ回して減衰を減らし、戻りを速くします。

空気圧を変えたら、リバウンドも再確認

目安として、空気圧を5〜10 PSI下げると、リバウンド減衰を1〜2クリック減らす必要が生じることがあります。反対に5〜10 PSI上げると、減衰を1〜2クリック増やして、より大きなスプリングの力とのバランスを取る必要が生じることがあります。厳密な換算ではなく、走行感を確認しながら調整してください。

03. コンプレッションを調整する

コンプレッションは、サスペンションが沈むときにダンパーが生む抵抗です。衝撃の速さへの応答に関わり、ライダーの好みや路面に合わせて調整できます。Charger 3.2のノブは、調整範囲のどこにあるかを、さらに把握しやすい表示になっています。

モデルや用途により調整機能は異なります。Ultimate・Select+は一般に調整幅が広く、Select・Baseはシンプルな操作を優先します。お使いのダンパーに合わせて、HSC/LSC、単一のコンプレッション、2/3ポジションを選んでください。

コンプレッションノブのしくみ

Low Speed Compression(LSC)

LSCはダンパーシャフトがゆっくり動く圧縮への応答です。バーム、荷重移動、小さな凹凸、トランジションなどが該当します。

LSC:支持力を増やす

・荷重移動やブレーキングに反応しすぎる
・急斜面で前方(フォーク)/後方(ショック)へ寄る
・支持力が足りない

調整:LSCノブを時計回りに2〜3クリックずつ回します。Charger 3以降では「+」または「7」が基準線へ近づく方向です。

LSC:減衰を減らす

・障害物を吸収せず弾かれる
・ホイールが接地を失う
・急斜面で後方(フォーク)/前方(ショック)へ寄る
・手に伝わる衝撃が強すぎる

調整:LSCノブを反時計回りに2〜3クリックずつ回します。Charger 3以降では「−」または「−7」が基準線へ近づく方向です。

High Speed Compression(HSC)

HSCはダンパーシャフトが速く動く衝撃への応答です。角のあるロックガーデン、根、ドロップなどが該当します。

HSC:支持力を増やす

・衝撃で深く沈み込みすぎる
・支持力が足りない
・大きな衝撃の後に、前輪(フォーク)やリアの動き(ショック)を制御しにくい

調整:HSCノブを時計回りに1〜2クリックずつ回します。Charger 3以降では「+」または「2」が基準線へ近づく方向です。

HSC:減衰を減らす

・障害物を吸収せず弾かれる
・ホイールが接地を失う
・少しは沈むが、十分に動かない
・手に伝わる衝撃が強すぎる

調整:HSCノブを反時計回りに1〜2クリックずつ回します。Charger 3以降では「−」または「−2」が基準線へ近づく方向です。

BoXXer Selectには単一のコンプレッション調整があります。Vivid CoilのSelect/Baseにはコンプレッション調整はありません。

単一ノブのコンプレッション調整

フォークが沈む際の支持力を増減します。

衝撃で沈み込みすぎる、支持力が足りない、大きな衝撃の後に制御しにくい場合は、時計回りに1〜2クリックずつ回し、「+」を基準線へ近づけます。

障害物に弾かれる、接地を失う、動きが足りない、手への衝撃が強すぎる場合は、反時計回りに1〜2クリックずつ回し、「−」を基準線へ近づけます。

2/3ポジションのダンパー

3Pは、しなやかなOpen、効率的なPedal、Firm/Lockを切り替えます。2PはOpenとLockを切り替えます。走行場面に合うポジションを選択してください。

Adjustable Bottom Out(ABO)

一部のフォーク・リアショックには、スプリングレートとコンプレッションを合わせた後、ストローク終盤の感触を微調整できるABOが備わっています。

ABO搭載フォークは8クリック、終盤10mmの制御を調整でき、出荷時は中央に設定されています。

ZEB/Lyrik Ultimate

「+」方向へ1〜2クリックずつ回すと、ストローク終盤の支持力が増えます。「−」方向へ1〜2クリックずつ回すと、支持力が減ります。

ZEB/Lyrik Select+

ストローク終盤の支持力を内部で調整するには、ロワーレッグを取り外す必要があります。作業手順は、お使いのモデルのサービスマニュアルで確認してください。

サービスマニュアル

Vivid/Vivid Coil

ABOを備えるUltimate・Select+は、最後の20%のトラベルに作用する5クリックの調整機能を持ちます。

全開では底付きに対する抵抗がなく、閉じるとHydraulic Bottom Outチャンバー内の圧力が高まり、ストローク終盤の減衰が増えます。支持力を増やす場合は1クリックずつ加え、減らす場合は1クリックずつ戻します。

Bottomless Tokens

底付きへの支持力をさらに増やす最後の手順です。エアチャンバーの容積を減らしてスプリングレートをより累進的にし、低めの空気圧を使いながら終盤の支持力を増やせます。

まずHSCを1クリックずつ増やして確認し、それでも足りなければTokenを追加して初期設定を繰り返します。取り付け・取り外し手順は、TrailHeadまたはサービスページにある、お使いのサスペンションのサービスマニュアルで確認してください。

RockShox TrailHead サービスマニュアル

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