小川の景色を望むケーン・クリーク社の建物の入り口。その横には、ノースカロライナ州が強調表示された地図が挿入されている。.

CANE CREEKが拠点を置くフレッチャーは、どんな町?

アメリカ・ノースカロライナ州の西部にあるフレッチャー。

CANE CREEKが拠点を置くこの町には、ケーン・クリークという川が流れ、公園や住宅地、企業の施設が広がっています。

近くにあるのは、山の風景やアート、食文化で知られるアッシュビル。
その南にあるフレッチャーは、街道の中継地として発展し、鉄道や空港とのつながりによって姿を変えてきた町です。

今回は自転車から少し離れ、CANE CREEKの所在地であるフレッチャーが、どんな場所なのかを紹介します。


アッシュビルとヘンダーソンビルの間にある町

フレッチャーは、ノースカロライナ州西部、アッシュビルの南約21kmにある町。ヘンダーソン郡の北部に位置します。

ノースカロライナ州にあるケーン・クリーク・サイクリング・コンポーネンツの所在地を赤いピンで示したアメリカ合衆国の地図。.

日本からは、飛行機を乗り継いで約20時間。今回の移動では、ロサンゼルスからアトランタを経由し、アッシュビル地域空港へ向かうだけでも、乗り継ぎを含めて約6時間かかりました。日本から見ると、アメリカ大陸を横断した先にある町です。

北のアッシュビルと南のヘンダーソンビル、その二つの街の間に位置する町です。

ノースカロライナ州は、アメリカ東部の大西洋岸から、内陸のアパラチア山系まで広がる州です。東には海岸や島々、中央部にはシャーロットや州都ローリーなどの都市、西にはブルーリッジの山々があり、同じ州でも地域によって風景が変わります。

澄み切った青空の下、秋色に染まった山並みの上に、明るい日差しが降り注いでいる。.

州中央部では陶芸や家具づくり、バーベキューが知られ、西部では山の景観やハイキング、クラフトビールなどを楽しめます。フレッチャーがあるのは、この西部の山間地域。フレンチ・ブロード川の谷に位置し、周囲には山の景色が広がります。

一方で、交通の便に恵まれた場所でもあり、町を南北に通る国道25号線に加え、州間高速道路26号線が周辺都市を結び、西側にはアッシュビル地域空港が隣接しています。

手前にある多車線の道路は、鮮やかなオレンジと紫の夕日を背景に、ウォーターアドベンチャーを宣伝するAVLの看板へと続いている。.

山や川が近くにありながら、近隣の街や空港にもアクセスできる。この位置関係が、フレッチャーの暮らしと産業を支えてきました。


四季の変化と、ケーン・クリークのある風景

フレッチャー周辺には、はっきりした四季があります。春から夏にかけて緑が増え、秋には山や住宅地の木々が色づきます。夏は暖かく、冬は冷え込む、季節の変化がある土地です。

近隣のアッシュビルでは冬に雪が降ることもあり、アメリカ南部という位置だけで、一年中暖かい場所を想像すると少し違います。秋の紅葉も、周辺のブルーリッジを訪れる楽しみの一つです。

周辺の森林には、雨の多さに特徴がある場所もあります。近隣のピスガ国有林の一部は、豊富な雨に育まれる「温帯雨林」。一年中暑い熱帯雨林とは異なり、四季があり、冬には冷え込む地域の森林です。

澄み切った青空の下、鮮やかな赤や黄色の紅葉が広がる森の中を曲がりくねって続く道を、サイクリストの視点から捉えた風景。.

フレッチャーの町全体が温帯雨林というわけではありませんが、近隣にこうした森林があることも、ノースカロライナ州西部の自然を知る手がかりになります。

その風景を身近な場所で知る手がかりの一つが、町を流れるケーン・クリークです。

パーツブランドのCANE CREEKと同じ綴りのこの川と、その支流は、フレッチャーの自然景観の一部です。
ブランド名として見慣れた言葉が、この地域では川の名前や道路名としても使われています。

ゆっくりと流れる小川が、紅葉に彩られた森の中をうねるように流れている。.

身近な食べ物では、フレッチャーが属するヘンダーソン郡はリンゴの産地として知られています。ヘンダーソンビル周辺には果樹園があり、品種によって8月から10月に収穫を迎えます。農園ではリンゴ狩りや直売、リンゴを使ったドーナツなども楽しめます。

澄み切った青空の下、木々の間から、紅葉に彩られた広々とした野原が見渡せる景色。.

フレッチャーという町名だけでなく、南のヘンダーソンビル周辺まで目を向けると、山の風景と農業が近い、この地域の一面が見えてきます。


北のアッシュビルは、工芸と食を楽しむ街

フレッチャーの北にあるアッシュビルは、周辺を訪れる際の拠点になる街です。
ブルーリッジ・パークウェイへのアクセスに加え、歴史的な建築や工芸、飲食店、音楽など、街の中にも見どころがあります。

クラフトビールもアッシュビルを知る入口の一つです。醸造所やタップルームがあり、食事や音楽とともに、それぞれの店のビールを楽しめます。

醸造所内の木製パレットの上に積み上げられた金属製のビール樽。その横には、大きなステンレス製のタンクが並んでいる。.

川沿いの風景や住宅地、企業の拠点があるフレッチャーと、建築や工芸、飲食店を巡れるアッシュビル。別々の町ですが、両方を知ると、CANE CREEKがある地域の姿をもう少し広く捉えられます。


町の名前に残る、郵便局と街道の歴史

19世紀のフレッチャー周辺は、サウスカロライナ州からアッシュビル方面へ向かう街道の中継地でした。人や農産物が行き交う道が、集落の発展に関わっています。

ブルーリッジ山脈を横断し、アッシュビル、フレッチャー、ヘンダーソンビル、フラットロック、グリーンビルを結ぶバンコム・ターンパイクのルートを示した地図。地図には、米国における当該地域の位置を示す挿入図が添えられている。.

現在の名前になるまでには、いくつかの変遷がありました。

1827年、地域に郵便局が開かれた頃の名称は「マレービル」。1837年には、郵便局長の名前にちなむ「シュフォーズビル」へ変わります。
そして1886年、医師のジョージ・フレッチャーが郵便局長になったことを機に、「フレッチャー」と呼ばれるようになりました。

一方、自治体として正式に成立したのは1989年です。町の名前や集落の歴史は、それよりも長く続いています。

車内からフロントガラス越しに、秋の道路を眺めた風景。手前にも手が写っている。.

フレッチャーは、地域の農業に使われる石灰岩の産地でもありました。川や山の風景に加え、人の往来や土地の資源も、町の成り立ちを知る要素です。


街道の中継地から、暮らしと産業の町へ

街道に続いて、フレッチャーには鉄道と駅が設けられました。
さらに周辺では空港が整備され、人や物が移動する手段が増えていきます。

1961年には、現在のアッシュビル地域空港が開港。
以前の空港跡地は、その後、フレッチャー・ビジネス・パークとして使われるようになりました。

日没時の商業ビルの前の、空っぽの駐車場。.

交通施設の変化が、企業の活動する場所の変化にもつながった例です。

1980年代から2000年頃にかけては、住宅地の開発と産業の集積が進みました。二つの街の間にあり、高速道路や空港、鉄道を利用できる立地が、その発展を後押ししています。

現在のフレッチャーには、住宅地、商業施設、企業の施設、公園や緑地があります。自然の風景と、働く場所や暮らす場所が近くにある町です。


CANE CREEKの住所にも、この土地の名前がある

CANE CREEKの拠点の住所は、フレッチャーの「355 Cane Creek Road」。ここにも、ケーン・クリークの名前が登場します。

草の生えた丘の上に建つケーン・クリークの建物と看板。その近くには、同社のロゴが入ったサービスバンが停まっている。.

工場内には、製品やブランドの歴史を紹介する「エクスペリエンス・センター」があり、一般の来訪者を受け入れています。製品を見る場所と、ブランドの活動拠点が同じ施設にあるのも、この場所の特徴です。

中央の展示台には目立つピンクのロードバイクが、壁には歴史的な自転車の部品で飾られた黄色いマウンテンバイクが展示されている自転車ショールーム。.

CANE CREEKが拠点を置くフレッチャーは、自然が身近にあり、街道の中継地から、交通の便を生かした住宅と産業の町へ変化してきました。

次回は実際に本社を訪問し、ブランドの歴史や製品づくり、周辺の環境について話を聞いてきました。

ケーン・クリーク社の建物の外観。ガラス張りの入り口の上には、同社のロゴが入った茶色の看板が掲げられている。.