ブランドを知るには街を知る
ドイツでのABUSセールスミーティングでドイツに。
ブランドを知るには、
製品だけでなく“その会社が生まれた街”を見るのが一番早い気がします。
どんな産業があり、
どんな人が暮らし、
どんな文化の中で育ったのか。
実際に街を歩いてみると、
「なぜこの製品がこの形なのか」
が少し見えてくることがあります。

ルール地方の工業都市 ドルトムント
ABUS本社はハーゲン近郊のヴェッターという地域。
ルール川沿いにあり、昔から鉄鋼業が盛んなエリアです。
クニペックスやヘンケルスなど、
ドイツを代表する工業ブランドもこの地域から生まれています。
位置関係はこんな感じ。

今回宿泊したのはドルトムント。
車で20分ほどの距離で、同じくルール地方の工業都市です。
炭鉱や鉄鋼業で発展したこの地域には、
今でも“重工業ドイツ”の空気感が残っています。
無骨だけど合理的。
派手さより信頼性。
ABUSのロックやヘルメットを見て感じる雰囲気も、実はこの地域の文化と近いのかもしれません。
ABUSも1924年創業。
創業当時は、現在のような大きなメーカーではなく、
牧場経営をしていた一家が、冬場に地下室で南京錠を作り始めたのが始まりだそうです。
ただ、そんな小さなものづくりが根付いていった背景には、
このルール地方の工業文化や、“道具を作る地域”としての空気感もあったのかもしれません。
ドルトムント市街を散策
ただ街を歩いていると、単純に“新しく作り直した”というより、
元々あった構造を活かしながら再建している印象を受けます。
街を囲むように丸く続く道路も、昔の城壁ラインの名残らしい。
つまりこの内側が旧市街。
建物は戦後に再建されたものが多い一方で、都市の骨格そのものは昔のまま残っている。
そんな独特な感覚があります。
いくつかランドマークを巡ってみることに。

労働者を支えた生肉サンドイッチ
と、その前に腹ごしらえ。
お昼ご飯はメット。
北から西ドイツで親しまれている、豚の生肉を使った料理です。
パンに塗って、タマネギと一緒に食べる。
パン屋さんにあるって聞いていたけどないので聞いてみたら、お姉さんが「作ってあげる」とその場で作ってくれた。

塩気が強く、ビールを飲みたい。けど今からたくさん歩くので一旦お預けに。
パン、生肉、野菜、塩っけと、元々は労働者を支えた食文化とも言われていて、工業地帯らしい、エネルギー重視の食事という感じ。

元々のものを活かしてより良くする
とりあえず満たされたので、まずはUタワー。

元々はビール醸造所だった巨大な建物を再利用し、現在は現代アート施設に。
ちなみに建物の上にある巨大な「U」は、
元々この建物がUnion Breweryというビール醸造所だった名残。
今ではドルトムントを象徴するランドマークになっています。


巨大な工業建築をそのまま活かしながら、新しい役割を持たせています。
ドルトムントには、
“古いものを壊して作り直す”
というより、“元々あった構造を活かしながら更新してより良くする” ような空気を感じました。

街もどこかモダンで清潔的な印象。
工業都市が、現代都市へ変化していく。
どこかABUSにも近いものを感じます。
ABUS、ABUS、ABUS・・・
街を歩くと無数のABUS。さすがお膝元だけあってよく見かけます。
地下室で作った南京錠から始まったブランドが、今では自転車や都市生活の安全そのものを支える存在へと広がっています。




そしてドルトムントといえばサッカー。
ドイツサッカー博物館にも立ち寄ります。
ABUSの社員にも熱狂的なサッカーファンが多く、インターナショナルセールスミーティングになると、
普段は仲の良いヨーロッパ各国も、サッカーの話になると笑顔ながらどこかバチバチしています。

Uタワーから東へまっすぐ旧市街のメインストリート。
ちょうどこの日は市民フェスティバルの日で、街はかなり賑わっていました。

音楽イベントがあり、警察や消防のブースが並び、地域の人たちが集まっています。

途中で立ち寄った教会では、
「今日は特別に塔へ登れるけど行く?」と声をかけてもらい、せっかくなので上へ。

14時ちょうどになるし鐘が鳴るから気をつけてねと。
せっかくなら間近でと巨大な鐘が目の前で鳴り始める。
かなり迫力があります。

そして見渡せるドルトムントの町並み

ABUSは安全の代名詞に
警察の安全啓蒙ブースには、ABUSのキッズヘルメットも展示されていました。
ABUSは単なる“製品”というより、
街の安全インフラの一部として自然に存在している感じ。
防犯ブランドというより、“安全を支えるブランド”として地域に溶け込んでいる印象でした。

労働者を支えた食事
塔も登って、たくさん歩いたのでそろそろ解禁のビールに。
地域のビールといえば、“Export”系というやつらしい。
炭鉱や工場で働く人向けに、少し飲みごたえを強くしたスタイルとのこと。
今回立ち寄ったHÖVELSでは、Exportそのものは無かったけれど、おすすめされたオリジナルを飲んでみると、確かに麦感が強く、甘みがあってどっしりした味。またメットも頼んで、工業都市らしいビールと食文化を味わいます。

そして酔い覚ましも兼ねて、サッカースタジアム方面へ歩く。
途中、巨大なメッセ会場を抜けると、シグナル・イドゥナ・パルクが見えてくる。

想像以上に大きい。
最大8万人以上収容できるらしく、試合の日には客席に人が壁のように並ぶそうです。
しっかり距離は歩いたけれど、逆に“歩いて街を知れる”ちょうどいいサイズ感。
ブランドを知るには、
やっぱりその街を歩くのが一番早いのかもしれません。
展示会では見えない、
そのブランドが生まれた空気みたいなものを、
少し感じられた気がするドルトムント散歩でした。

過去の訪問記では製造の現場等も取り上げています。
ぜひ併せてチェックしてみてください。


