リチウムイオン電池の安全な取り扱いについて— あらためて知っておきたい10の基本ルール

昨今、バッテリーを搭載した製品の事故が報じられることもあり、「リチウムイオン電池って危ないのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。

一方で、リチウムイオン電池は正しく扱えば安全性の高い電池であり、多くの製品に広く使われています。

そして先日のKNOG BLINDERのリコールのように、万が一のリスクを未然に防ぐためにメーカーが積極的に対応するケースもあります。

本記事では、KNOGやLEZYNEをはじめとしたバッテリー製品をより安心してお使いいただくために、リチウムイオン電池を安全に使用するポイントをまとめました。

スマホ、ライト、モバイルバッテリー、電動アシスト自転車のバッテリーまで共通の内容となりますので、参考になれば幸いです。


■ リチウムイオン電池が発火する原因

リチウム電池が発火する主な理由は、
内部でショート(短絡)が発生し、急激に温度が上昇するためです。

内部温度が上がると、以下のような連鎖反応が起こります:

  • 電解液が気化して可燃性ガスが発生
  • ガスが膨張して電池が破裂
  • 空気に触れて発火

この一連の現象は 「熱暴走」 (ねつぼうそう)と呼ばれます。


■ ショートが発生する主な原因

  • 強い衝撃(落下やぶつけるなど)
  • 過充電
  • 粗悪な充電器やケーブルの使用
  • 高温環境での放置
  • 電池の劣化や製造不良

電池内部には「セパレーター」という薄い膜があり、ここが破れると正極と負極が接触し、ショート → 急加熱 → 熱暴走へとつながります。

通常は BMS(保護回路) が過電圧や過電流を制御していますが、衝撃・高温・粗悪充電器を使用することによってBMSが損傷する可能性があり、熱暴走のリスクが高まります。


■ リスクを避けるため、なるべく信頼できるメーカー品を選ぶ

KNOG や LEZYNE でも、安全性を考慮した設計がされています。
しかし、今回のリコールのように どんなブランドでも絶対に故障ゼロではありません。

だからこそ重要なのは、

  • 品質の高い製品を選ぶ
  • 正しい使い方をする
  • 異常があれば使用をやめる

この3点を徹底するだけで、安全性は大きく高まります。

電動アシスト自転車のバッテリーも同じ仕組みです

ここまでの内容は、ライトやモバイルバッテリーに限らず、電動アシスト自転車の大型バッテリーにも当てはまります。


◎リチウム電池を使用する時の10のルール

リチウム電池を使用する製品を扱う際に必ず守る必要があるルールです。
これさえ守っておけば、トラブルが発生するリスクが低くなります。

リチウム電池を使用する時の10のルール

1. 高温環境に放置しない
→車内・直射日光・暖房器具付近などは内部温度が急上昇し、熱暴走のリスクが高まります。

2. 強い衝撃を与えない
→落下やぶつけると内部のセパレーターが破れ、ショートの原因に。

3. 膨張・異臭・発熱など異常を感じたら使用しない
→異常は熱暴走の前兆。即使用中止し、保管場所を移す。

4. 低温(0℃付近)で充電しない
→低温下での充電はリチウム金属析出(リチウムメッキ)が発生し、ショートの原因になります。

5. 純正・規格品の充電器とケーブルを使う
→粗悪な充電器は過電圧・過電流でBMSを破損させる危険がある。

6. 充電しっぱなしにしない(寝る・外出時はNG)
→無人状態の過充電が最も危険。就寝中や外出中など、目が届かない状況での充電は避けましょう。

7. 水濡れ・湿気を避ける
→防水製品でも内部に水が入るとショートや腐食につながる。

8. 改造しない・非純正バッテリーを使わない
→内部構造や保護回路が適合しないものは重大事故のリスク。

9. 長期保管は涼しい場所・50〜60%の残量で
→満充電 or 0%で放置すると劣化が進むため、半分程度が最適。

10. 出火時はまず距離を取り、119番通報。可能なら大量の水で冷却(※安全が確保できる場合のみ)
→まずは無理せず119番通報。リチウム“イオン”電池は水冷却が有効。炎が強い場合や危険を感じる場合は無理に消火を試みず避難を。


■ 万が一出火した場合の対処

  1. まず離れる(最優先)
    初期は炎が強く、有毒ガスも発生するため距離を取る。
  2. 水で消火してよい
    リチウム“イオン”電池は水による冷却が有効。可能であれば水没させる。
  3. 電源につながっている場合
    コンセントを抜く、またはブレーカーを落としてから水をかける。
  4. 難しい場合は無理をしない
    危険を感じたら避難し119番通報。
  5. 消えた後でも触らない
    内部が高温のままのことがあり、再発火の恐れがある。

■ 結論

  • リチウム電池の発火は「熱暴走」が原因
  • リスク要因(衝撃・過充電・高温・劣化)を避けることが重要
  • 信頼できるメーカー製品+正しい取り扱い=安全性向上

今日から実践できる「10のルール」を必ず意識して製品を使用しましょう。

参考:NITE(製品評価技術基盤機構)