ENVEの使命は、素晴らしいライド体験を生み出すこと。これをエンジニアリングとライドから学んだ理解を組み合わせて実現します。
THE INSIGHT
ハブの理解
ENVEのカーボンリムをその時代に最も賞賛されるハブと組み合わせること10年以上。これらのハブが素晴らしい理由とその改良点を、詳しく知ることができました。これはENVEの意見だけではなく、あなたの意見でもあります。これらのハブを用いたENVEのホイールセットを手に入れ、あらゆる天候の中、様々な地形を走ってきた世界各地のライダーたち、つまりはあなた。良かった点や改善が必要な点など、あなたたち一人ひとりの意見を直接、または販売店を通して耳にしてきました。それらの意見から、ついに自社でハブを設計するという、パンドラの箱を開けるに至ったのです。
以下は、世界各地のライダーからのハブに関する意見や、ENVE ロードハブへの要求です。
- ホイール剛性の向上(ホイールがブレーキパッドやフレームと接触しないこと)
- ベアリング寿命と信頼性の向上(わずかに乗っただけで、ベアリングの動きが悪くなった)
- メンテナンス頻度の低減(ハブの遊びを調整するツールが簡単に入手できないのは困る)
- ノッチ数は多め(ペダルを漕いだらすぐにホイールにパワーを伝達させたい)
THE SCIENCE
ハブの科学
以上のリストは素晴らしいものの、その達成はシンプルでなければ安価でもありません。結局のところ、バランスと妥協が全てなのです。他のハブブランドがライダーからの意見を受けてハブを改良する方法を知らないというわけではないですが、その優先事項はENVEが目指すものとは異なります。最軽量が追求される場合もあれば、ノッチ数の多さ、転がりの速さ、剛性の高さが求められる場合もあるのです。ENVEでは、やれることは全てやるという姿勢で、全体的なパフォーマンスこそが何か1つだけに焦点を当てるより勝っているとの信念のもと、取り組んでいます。
以下に、ハブのデザインにおける代償と、ENVEのロードハブが実際のパフォーマンス基準をどれだけ高めているかを強調している事柄を紹介します。
WHEEL STIFFNESS (LATERAL, TORSIONAL)
ホイール剛性(横剛性、ねじれ)
ハブのジオメトリーは、ホイールセットの性能を左右します。フランジ径、フランジ間隔、スポークパターンはどれも、ホイール剛性の高さに貢献します。したがって、一般的に大径で幅の広いフランジは、横からの変形により強いホイールを可能にします。しかし、その代償として、ハブは重くなります。
ENVEのロードハブはこの現実に、独自のフランジデザインで挑みます。そのデザインとは、スポーク穴同士を近づけ、55mmと大径のフランジとしたもの。切削加工で可能な限り軽量化し、フランジ径が小さく、スポーク穴が左右対称のハブと、同じ重量を達成しました。

最初に目に飛び込んでくる美しい切削加工は、フランジのジオメトリーと軽量化とを見事なバランスで実現した際の副産物に過ぎません。
ホイール剛性の大部分は、それがハブのジオメトリーと関連している通り、横方向の変形の軽減に焦点を当てている一方で、ねじれ剛性(加速/減速時のレスポンスだとお考えください)も考慮する必要があります。ここで採用したスポーク穴とスポークパターンは、スポーク角を大きくすることで、ねじれ剛性を最大限高め、スポークが漕いだ力を効率よく伝達できるようにしました。
以下の表から、ENVEのハブが利用するスポークパターンが最長で、それゆえハブフランジ上で最も効率的な応力中心距離(スポーク長は最長ではない)を実現していることがわかります。また、同時にフランジ面積をできるだけ小さく抑え、軽量化にも貢献しています。

BEARING EFFICIENCY VS. LONGEVITY
ベアリングの効率 VS 耐久性
ベアリングは、ハブ、ホイール、そして最終的には走りのパフォーマンスに大きな影響を及ぼす構成部品です。ハイブリッドセラミック、カーバイドスチール、さらにはステンレススチール製のベアリングを徹底的に評価した結果、ロードハブにはフルステンレススチール製ベアリングを採用することに決めました。
ENVE ロードハブに選んだベアリングは、ENVEのためだけに製造されるプレミアムグレードのものです。フルステンレススチール製の内外輪により、海岸沿いや雨の多い地域で使用しても、ベアリング、内外輪、表面に錆や腐食が生じることはありません。ベアリングの外表面に完全接触のシールを用いて内側の玉を保護し、汚れの侵入を防ぎつつ、内表面には非接触のシールを用いてベアリングとシール間の摩擦を軽減させ、効率性を高めています。ここでまたしても、ベアリング効率として定義されるパフォーマンスと耐久性とのバランスを取ることが課題となります。

SO WHY NO CERAMIC?
セラミックを選ばなかった理由
効率、耐久性、メンテナンス頻度のバランスを見つけるという議論に話を戻しましょう。セラミック製ベアリングは、速くて効率に優れていますが、あなたもご存知の通り、その効率を保つには頻繁なメンテナンスが必要となります。また、オンライン上では、このベアリングをバイクに使う是非を問う議論もあります。ここでは、それを紹介することはしませんが、低回転数での用途にセラミック製ベアリングを用いるべきというのは、根拠に乏しいとだけお伝えします。 セラミック製ベアリングの摩擦の低さが低摩擦の非接触型シールによるものだと考えると、簡単に汚れが侵入することになります。メンテナンスを怠れば、パフォーマンスは急速に(おそらくたった1度の雨や泥の中の走行で)低下し、本来の走りを得られなくなります。対照的に、ENVE専用のステンレススチール製ベアリングはメンテナンスが不要で、テスト結果から、雨や泥のコンディションを数千マイル走っても、新品時と同じだけスムーズかつ速く回転することが証明されています。さらに、この効率の高さは、素材自体ではなく、精密な製造によって達成されます。つまり、スチール製ベアリングは、セラミック製を上回る可能性を秘めているのです。
ここをクリックすると、セラミックとスチールのどちらがハブの使用により適しているかに関する、第三者のレポートを読むことができます。なお、ENVEは全てのハブにNTN社製ベアリングを使用しています。
THE NO MAINTENANCE SOLUTION TO
BEARING PLAY INTRODUCING PERFECT PRELOAD
メンテナンスゼロでも、ベアリングに遊びが生まれない理由
PERFECT PRELOAD の紹介
ハブの効率やベアリングの耐久性は、ベアリングだけでは語れません。ENVE ロードハブがアフターマーケットにもたらす最も重要な成果の1つは、Perfect Preload と名付けられたテクノロジー。
そもそも、プリロードとは何でしょうか? これは、転がり効率を確保するためにベアリングの軸方向に掛ける荷重のこと。荷重を正しく掛けると、ホイール横方向の遊びがなくなります。この荷重を管理する方法は、数多く存在します。多くのハブは、ロックリングやロックナットといったプリロードを掛ける機構を必要とします。また、加工公差を利用して、ベアリングの位置決めを完璧なものにするハブもあります。
どちらのデザインも一般的には確かであるとされているものの、ENVEはそれら両方に制限や課題が生じる様を目にしてきました。ロックリングなどのプリロードを掛ける機構を持つハブは、ヒューマンエラーの影響を受けることがあります。プリロードが掛かり過ぎると、ベアリングは高効率で回転せず、損傷し、反対にプリロードが緩過ぎると、ホイールに遊びが生じ、ハブとベアリングを損傷させる恐れがあります。公差を利用して位置決めをするタイプのハブでは、加工公差が不完全だと応力がベアリングに掛かり、早期の磨耗や故障につながります。

ENVEの解決策、それは上記の学んだ内容をもとに、Perfect Preloadという機構を採用すること。このシステムは、ベアリングに掛かる軸方向荷重を精密に調整し、整えた状態で出荷するというものです。ハブのアクスルに取り付けられたスナップリングとベアリング自体との間に、ウェーブワッシャーを圧縮させてセットすることでこれを達成します。このデザインなら、ベアリングに適切な荷重が掛かるため、もう2度と、ツールで調整して厄介なベアリングの遊びをなくしたり、転がり効率を高めたりする必要がありません。

THE ID360 DRIVE MECHANISM AND FREEHUB BODY
ID360ドライブ機構とフリーハブボディー
現在のロードハブに使われるドライブ機構は数多く存在しますが、中でも普及しているのが爪式システムとラチェット式システムの2つです。ENVE ロードハブは、Mavicが開発したID360(Instant Drive 360)と呼ばれるラチェット式システムを採用します。爪式システムと比べ、ラチェットは動くパーツが少なく、より素早い掛かりを体感できます。これは、同システムにたわみや揺れ動きがないためです(ノッチ数の少ないラチェットでないことが前提です)。ラチェット式システムには、2個のスプリングを必要とするものもありますが、ID360が使用するのは1個だけです。動く小さなパーツがより少なくなることで、ハブは軽くなり、何よりハブにとって欠かせない構成部品を、バイクの輸送中に失くしてしまう恐れがなくなります。
ID360 ラチェットのノッチ数は40で、耐久性、レスポンス、抵抗を最適なバランスで実現した数となっています。

フリーハブボディーの素材には、スチール、チタン、アルミ合金が選ばれますが、ENVEは強度と変形抵抗の高さから、7075 アルミをチョイスしました。その表面を硬質アルマイト処理し、コグの深い噛み込みを防ぎます。
スチールやチタンを選んでも同様の結果を得られますが、ハブの重量が増えてしまい、性能上の利点はコグの噛み込みを防ぐという点しかありません。

SWEATING THE SMALL STUFF
些細なことにも抜かりなく
最高の製品とは、自分たちで使ってみてイライラしないものである、とENVEでは冗談として知られています。ハブほどこれが当てはまる部品は、他にないでしょう。よくある悩みの種は、パンク修理中やホイールを外した際に、フリーハブボディーがカセットごと脱落してしまうというもの。これが生じると、スプリング、ラチェット、爪も落ちてしまいます。これらの部品が失くなれば、思った以上にイライラが募るはず。
そこでENVEは、Oリングではなくワイヤー型の保持機構を用いて、リアハブのエンドキャップの保持力を高めました。フロントのリムブレーキハブでは、ステンレススチール製のエンドキャップをアルミ製アクスルに装着しています。アルミ製エンドキャップの方が確実に軽いですが、スチール製のものは耐久性が高く、フォークとクイックリリースをよりしっかりと接触させます。

CONCLUSION
結論
ざっと見ただけでも、ハブに生じがちな問題へのENVEの解決策は、シンプルです。しかし、これこそがENVEの魅力でもあります。ENVEは、実世界の複雑な問題を細かく分析し、役に立つ解決策を見つけ出すのが得意なのです。その解決策はシンプルに見えますが、必ずしもそうとは限らず、多大な投資が必要になる時もあります。これは、他のハブブランドに進んで行える、あるいは可能である範囲ではありません。
ライド体験を向上させるため、やれることは全てやる姿勢でより優れたハブを実現させる、その実例が、ENVE ロードハブです。こうしてあなたは、より速く遠くまで効率的に走れるようになるのです。


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