CLIKからTPUチューブ登場!! いろんなメーカーからTPUが出てるけど何が違うの?

CLIKからTPUチューブが登場!!

TPUってどれも同じじゃないの?

TPUチューブは2017年ごろに登場し、その軽さコンパクトさから、ロード・グラベルを中心に幅広い層のライダーに注目されてきました。

チューブレスよりも導入のハードルが低く、従来のブチルチューブと同じ感覚で使えるため、
今でも人気の高いカスタムパーツのひとつです。

しかし一方で、TPUチューブはまだ登場から日が浅く、
チューブを安定して成形するための技術レベルが高い素材でもあります。

そのため、

「同じTPUチューブなら、どれも同じでしょ?」

と思われがちですが、
実際にはメーカーごとに中身は大きく異なります


各社TPUチューブは何が違うのか?

今回、バルブに130年の歴史で革命を起こした「CLIK」からTPUチューブが新登場したことをきっかけに、

  • TPUとはそもそも何なのか
  • 各社TPUチューブにどんな違いがあるのか

を改めて見ていきたいと思います。


TPUとは?

TPUとは、
Thermoplastic Polyurethane(熱可塑性ポリウレタン) の略です。

用語を分解すると

  • Thermoplastic(サーモプラスチック)
    → 熱で溶け、冷えると固まる性質を持つプラスチック
  • Polyurethane(ポリウレタン)
    → ゴムのような弾性を持つ高分子素材

防水処理されたカバンやエッセンシャルケース、フレームバッグなどによく使われている、薄いフィルムのような素材です。

TPUは、
・ゴムよりも軽量
・弾性が高い
・フィルム状に成形できる

といった特性を持ち、
従来のブチルチューブに代わる新しい素材として製品化が進んでいます。


各社TPUチューブの違いを比較

一口にTPUチューブと言っても、

  • 表面の質感
  • 表面の凹凸
  • チューブの厚み
  • バルブとの接合部

など、細部を見ると各社で大きな違いがあります。

今回は、CLIKを含めた4社のTPUチューブを比較しました。

比較項目

  • 重量
  • バルブ素材・バルブ接合方法
  • バルブ根元の形状
  • 空気を入れたときのチューブ厚みの均一性
  • 空気の漏れ具合

重量はそれほど違いなし、バルブが樹脂or金属の違い程度

700×25~30cに対応する各4社の重量を比較したところ、

CLIK: 41g(真鍮バルブ)
A社: 37g(アルミバルブ)
B社: 38g(アルミバルブ)
C社: 35g(樹脂バルブ)
(ブチルチューブ: 137g)
で、一番差が大きいところでも6g程度の差でした。

CLIKが最も重いという結果でしたが、これはクリックのバルブ・コアによるもので、
チューブ自体の重量差はほとんどありませんでした。


バルブの素材・接合方法

※メーカー特定を防ぐため、モノクロにしています。

メーカー バルブ素材 接合方法
CLIK

真鍮

根元を真鍮で補強

A社

樹脂+アルミ

樹脂部に溶着

B社

アルミ

樹脂部に溶着

C社

樹脂

樹脂部に溶着

バルブは樹脂製と金属製、樹脂と金属のハイブリッドがありました。

樹脂バルブはTPUチューブと溶着しやすく軽量であるものの、
熱に弱く、電動ポンプが使用できな
というデメリットもあります。

一方金属バルブは耐久性が高く、熱にも強いので電動ポンプ対応。
その反面、樹脂バルブより重量が増える

というトレードオフがあります。


バルブ根元の形状について

走行中、タイヤはトラクション(ペダルを踏み込む力)によって
わずかにリム上でズレます

それに伴い、チューブも内部で一緒に動くため、
バルブ付近に負荷が集中し、
最悪の場合、バルブ根元がちぎれてしまうことがあります。

CLIKの対策

CLIKでは、真鍮パーツでバルブホールとの直接接触を防止
これにより、バルブ根元へのストレスを低減長期使用でのトラブルを防止しています。

C社の対策

C社は、
ゴム製のスペーサーのような保護カバーを間に挟む構造。
ただし、このカバーに厚みがあるため、リムとの間に隙間ができてしまう
という点は気になるポイントです。


空気を膨らませたときのチューブ厚みの均一性

どれも一見均一に見えますが、よく見てみるとチューブの表面が少し凸凹しているものがあります。

これがどのような影響が発生するのか確認するため、
・タイヤに入れない状態
6psiまで空気を入れて一晩放置
というテストを行いました。

すると、一部メーカーで
1箇所だけ極端に膨らんでいる部分が確認できました。

これは、チューブの一部が薄くなっており、そこだけが伸びてしまった
可能性が考えられます。

今回は実走テストではないため断定はできませんが、
厚みが均一でない場合、
・パンク耐性
・ホイールバランス
・乗り心地

に影響する可能性があると考えられます。


空気の漏れ具合

空気保持性能にも差が見られ、
樹脂製バルブを採用しているメーカーの中で一晩で空気が抜けてしまう個体がありました。

このチューブは4社の中で最も軽量だったため、

チューブ本体からの漏れ
バルブとコアの接合部からの漏れ

のいずれか、もしくは両方が原因と考えられます。


総評:CLIKは現時点で非常に高評価

現時点ではまだ実走テスト前の段階ですが、
・パンク対策
・チューブ変形
・空気保持

のいずれにおいても、CLIKは非常にバランスが良い印象です。

さらに、Clikバルブが標準装備で簡単に着脱できるのも大きなメリットです。

CLIK TPUはパンク修理ができる

TPUチューブはブチルチューブのようにゴム糊やパッチで修理ができません。
ですが、CLIKのTPUチューブには初めからパンク修理用のパッチが2枚付属しています。

TPUチューブはブチルチューブに比べて高価なパーツでもあるため、
修理して長く使えるのはとても助かります。


同じように見えて比べてみると全く違う。

TPUチューブは、メーカーによって値段差も大きく、実際に触ってみた感触も異なります。

「軽量」「コンパクト」だけでは実際の製品の良し悪しは決められないことがよくわかりました。

今後、実走テストを通してさらに検証していきたいと思います。

CLIK製TPUチューブまもなく登場!!
詳細は後日ご案内します!!