プロレースから見えてくるCervélo S5の「守備範囲」

先週に続き、今回もTeam Visma | Lease a Bikeのレースを振り返りながら、Cervéloの機材選択について考えてみたいと思います。

今週は「ブエルタ・ア・エスパーニャ」を中心に、男子・女子ともにチームの存在感が目立つ一週間となりました。


まずは、先週のレース結果から

まず大きな成果となったのが、ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージです。

173.3kmのステージでマシュー・ブレナンが集団スプリントを制し、今大会2勝目を飾りました。
クリストフ・ラポルトやワウト・ファンアールトらが終盤まで集団を完璧にコントロールし、チームの一糸乱れぬ仕事を勝利へと結びつけています。

■ ブエルタ・ア・エスパーニャ

  • 第5ステージ:マシュー・ブレナン 優勝
  • 第6ステージ:セップ・クス 11位、ワウト・ファンアールトは逃げに入り中間スプリントでポイント獲得
  • 第7ステージ:ワウト・ファンアールト 3位、ポイント賞首位へ
  • 第8ステージ:マシュー・ブレナン 10位。落車が相次ぐ荒れた展開の中でのスプリント
  • 第9ステージ:ブルーノ・アルミライユが長時間逃げ、セップ・クス 11位。5,000mを超える獲得標高の山岳ステージ

女子のクレイズ・ブルターニュ・エリート・フェミナンでは、サラ・ファン・ダム(Sarah Van Dam)が3位表彰台を獲得。続くクラシック・ロリアン・アグロメラシオンでもファン・ダムが13位、ロジータ・ラインハウト(Rosita Reijnhout)が30位に入り、チーム全体で積極的にレースを展開しました。

また、週末のブルターニュ・クラシック(228km)では惜しくも上位フィニッシュこそ逃したものの、短い登りが連続するタフなコースで何度も攻撃を仕掛け、存在感を示しています。


今回のレースで気になったのは、やはり「S5」の使われ方

こうして結果だけを見ると、今週はスプリント、逃げ、登り、山岳、そしてクラシックと、かなり幅広いレースが続きました。

そこで今回も気になるのが、Team Visma | Lease a BikeがCervéloをどのように使い分けているのか、というところです。

前回の記事でも紹介したように、S5は「平坦・スプリント専用」のバイクではありません。
今回のレースを見ていても、改めてその守備範囲の広さを感じさせます。

「登りがある=軽量バイク」ではない

ロードレースの機材選択では、「平坦ならエアロ、登りなら軽量」というイメージがあります。
もちろん、長く急な登りが続く山岳ステージでは、R5の軽さが大きな意味を持ちます。

しかし、今回のように登りと高速区間が複雑に組み合わされたレースでは、選手が一日を通して行っているのは登りだけではありません。

  • 高速で集団を走る
  • 横風の中で位置取りをする
  • 登りでアタックに反応する
  • 下りや平坦区間で追走する
  • 逃げの中で高速巡航を続ける
  • 最後にスプリントやアタックで勝負する

こうした動きを、一日の中で何度も繰り返します。

だからこそ、コースプロフィールの一部分だけを見て「登りだからR5」と決めるのではなく、そのステージ全体でどれだけ高速域を走るのかを見る必要があります。
高速で走る時間が長ければ、空気抵抗を減らすことのメリットも大きくなります。


ブレナンの2勝目から考える、S5の役割

今回のブエルタ第5ステージは、単純な平坦スプリントではありませんでした。
173.3kmのステージには起伏があり、終盤には再びコースが上りながらも、最後は集団スプリントへ。そこでブレナンが勝利を手にしています。

ここで重要なのは、ゴール前のスプリントだけではありません。
ゴールで勝負するためには、そこへたどり着くまでの長い距離を効率よく走り、最後に残された脚を最大限に使う必要があります。

前回の記事でも紹介したように、S5の空力性能はゴール前の一瞬だけのためのものではありません。
集団内での高速巡航や位置取りの中で空気抵抗を抑え、最終局面まで体力を残すことにも意味があります。

ブレナンの今回の勝利も、「最後にスプリントで勝った」という結果だけではなく、そこまでどうやって脚を残してきたのかという視点で見ると、S5というバイクの役割がより分かりやすくなります。


ファンアールトの3位は、さらに興味深い

そして今回、機材という視点でもっとも興味深いのが、第7ステージでのファンアールトです。
5つのカテゴリークライムを含む山岳ステージで、スタート直後から逃げに入り、最終的には9.8km・平均5.9%の最終登坂で3位。さらにポイント賞でも首位に立ちました。

もちろん、すべての山岳ステージでS5が正解ということではありません。

  • 短い登り+高速区間:空力性能を活かせる時間が長い
  • 逃げやアタックを繰り返す展開:登りだけでなく、その前後の高速走行が重要
  • 長く急な山岳:重量の影響が大きくなり、R5の強みが増す

この「どこを走るか」ではなく、「一日を通してどう走るか」という考え方が、Team Visma | Lease a Bikeの機材選択を見るうえで非常に面白いところです。


S5とR5は「どちらが上」ではなく、使う場所が違う

ここまでの話をすると、「それならS5があればR5はいらないのでは?」と思うかもしれません。
もちろん、そういうことではありません。

  • S5:高速巡航や空力性能を重視するロードレース
  • R5:長く急な登りが続く山岳レース
  • P5:単独走で空気抵抗と戦うタイムトライアル

これは「S5が一番速い」「R5の方が上」という話ではありません。
そのレースで何が勝負を分けるのかを考え、それに合わせてバイクを選んでいるということです。

前回の記事でも触れたように、Cervéloの3台はそれぞれ明確な役割を持っています。だからこそ、S5が幅広いレースで使われていることにも意味があります。


プロの機材選択を、自分のバイク選びに置き換えてみる

ここまで書くと、プロ選手の話だから自分には関係ないと思われるかもしれません。
しかし、機材選びの考え方そのものは、私たちがロードバイクを選ぶときにもそのまま当てはまります。

  • 普段どれくらいの速度域で走るのか
  • 登りはどの程度の長さなのか
  • 下りや平坦ではどれくらいスピードが出るのか
  • 最終的にどんな走り方をしたいのか

「平坦が多いからエアロロード」「山があるから軽量ロード」。もちろん、それもひとつの判断材料です。
ただ、実際に走るコースを考えてみると、平坦だけ、登りだけということはほとんどありません。

だからこそ、コースの一部分ではなく、自分が一日を通してどんな走り方をするのかまで考えてみる。
そうすると、「自分にとって何が速いのか」が少し違って見えてきます。


レースを見ると、機材選びがもっと面白くなる

今回のブエルタでは、ブレナンが第5ステージで今大会2勝目。ファンアールトは山岳ステージで3位に入り、ポイント賞首位へ。クスも厳しい山岳ステージで11位に入りました。
女子ではファン・ダムが3位。クラシック・ロリアン・アグロメラシオンやブルターニュ・クラシックでも、チームは積極的にレースを動かしました。

こうして結果だけを見るのではなく、「なぜこのバイクを選んだのか」という視点でレースを見ると、ロードレースはまた違った面白さが出てきます。

S5は平坦だけのためのバイクではありません。
一方で、どんなレースでもS5が正解というわけでもありません。
レースの条件に合わせてS5、R5、P5を使い分ける。

Team Visma | Lease a Bikeのレースを追いかけていると、Cervéloがそれぞれのバイクにどんな役割を持たせているのかが、少しずつ見えてきます。
次にレースを見るときは、ぜひ結果だけでなく、選手がどのCervéloに乗っているのかにも注目してみてください。

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