PEdALEDヒストリー:文化としての自転車、そしてウルトラディスタンスへ

TEXT : Hideto Suzuki

PEdALEDはどのように生まれ、なぜ今の形になったのか。

本記事では、創業者の鈴木秀人氏が、ブランドの起源、哲学、素材選びや製品設計に込めた想いをひも解きます。


思想は、プロダクトへ

自転車を「文化」として捉え、生活の中に自然に溶け込む存在として向き合ってきたPEdALED。

その思想は、言葉だけで語られるものではありません。

実際に走り、試され、使い続けられることで証明されてきました。

そして今、PEdALEDが最も力を注いでいるフィールドが、ウルトラディスタンスという、過酷で誠実な世界です。

長い距離を、長い時間、自転車と向き合い続けるその環境こそ、PEdALEDが追い求めてきた「自転車と共に生きる」という思想を、最も純粋な形で体現できる場所だと考えています。


【文化としての自転車】

世界、とりわけヨーロッパと日本を比較して強く感じるのは、自転車が「文化」として生活に根付いているかどうか、という違いです。

自転車と生活が自然に融合してこそ、自転車文化(バイクライフ)は広がり、定着していく。

私はそう考えています。

コロナ禍をきっかけに、自転車の利便性が見直され、通勤や週末のポタリングを楽しむ人は確かに増えました。

しかしそれは、まだ「文化」と呼べる段階ではなく、需要が一時的に増えただけ、という側面もあるでしょう。

日本では

「趣味はロードバイクです」

「趣味はマウンテンバイクです」

という言葉をよく耳にします。

それは、一日の中の限られた時間を楽しむということ。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

私が伝えたいのは、そこから もう一歩、二歩と踏み込んでいくこと です。

自転車と関わる時間を、人生の中で少しずつ増やしていく。

それこそが、日本に自転車文化を根付かせる道だと思っています。


バイクと一緒に生きるという考え方

大切なのは、「バイクで何をするか?」ではなく、

「バイクと一緒に何をするか?」

という視点です。

一緒に走り、一緒に過ごし、キャンプをし、旅をし、笑い、同じ時間を刻んでいく。

バイクと共にできることは、無限にあります。

多くの人がバイクと一緒に楽しい時間を過ごすようになれば、日本にも自転車文化(バイクカルチャー)は、少しずつ、しかし確実に根付いていくと信じています。


思想は、走り続けることで証明される

PEdALEDは、私が創設したブランドですが、「私一人のもの」ではありません。

ユーザーの皆さん、作り手、走り手、多くの人が関わり、意見を交わしながら作り続けてきたブランドです。

その思想は、言葉だけで語られるものではなく、実際に走り、使われ、試されることで証明されてきました。

そして現在、PEdALEDが特に力を注いでいる分野が、「ウルトラディスタンス」 です。


なぜ、ウルトラディスタンスなのか

ウルトラディスタンスとは、数百キロから数千キロに及ぶ距離を走る長距離ライドやレースのことです。

速さを競うのではなく、長い時間をかけて、自分自身と自転車に向き合い続ける世界。

装備やウェアにごまかしは効かず、快適性や信頼性が、そのまま走り続けられるかどうかに直結します。

だからこそ、この分野はPEdALEDが大切にしてきた

「自転車と共に生きる」

という思想を、最も正直に表現できるフィールドだと考えています。


ODYSSEY ― ウルトラディスタンスのためのシリーズ

こうした考え方から生まれたのが、ODYSSEY(オデッセイ)シリーズ です。

(ODYSSEYシリーズは開発中「BOKEN(冒険)」というネーミングで開発が進んでいました。)

長時間着続けることを前提にした素材選び。

昼夜の寒暖差や天候変化に対応する設計。

速さよりも、持続性と安心感を重視したデザイン。

ODYSSEYは、「勝つため」ではなく、「走り続けるため」 のウェアです。

このシリーズは、ヨーロッパのウルトラディスタンスシーンで実際に使われ、高い評価を受けてきました。


実戦で試される場所 ― ウルトラディスタンスイベント

PEdALEDは、以下のような世界各地のウルトラディスタンスイベントをサポートしています。

  • Transcontinental Race(ヨーロッパ横断ウルトラディスタンスレース)
  • Race Around Rwanda(アフリカ・ルワンダ一周)
  • The Octopus(地中海を舞台にしたアドベンチャーレース)
  • Sahara Gravel(サハラ砂漠を走るグラベルイベント)
  • Utopia Gravel(冒険と探究をテーマにした長距離グラベルイベント)

これらのイベントは、単なる競技ではなく、「旅」「挑戦」「人と自転車の関係性」を重視したものばかりです。

PEdALEDはスポンサーとして関わるだけでなく、そこで得られたライダーの声や経験を、次の製品づくりへと確実につなげています。

オクトパス・グラベル

オクトパス・グラベルは、数あるオフロードレースの中でも特にユニークな形式を持つイベントです。
その特徴を理解するうえで、まずは名前の由来がヒントになります。

スイス・アルプスの町アンデルマットを中心としたメインイベントエリアは、「7本の脚を持つタコの頭」をイメージしてください。
そこから放射状に伸びる7本の「脚」は、それぞれ行き止まりとなるグラベルルートで構成されており、そのうち4本がタイム計測区間となります。
参加者は各ルートを走行してスタンプを獲得し、再びセンターへ戻る、という流れを繰り返します。
競技として成立するためには、最低でも6本の脚を完走することが条件です。
最終的に、タイム計測区間を最も速く走破した選手が勝者となります。

イメージできましたでしょうか。
それでは、オクトパス・グラベルの世界へ踏み出しましょう。

サハラ・グラベル・レース

2025年2月に初開催を迎えるサハラ・グラベル・レースは、モロッコのアトラス山脈からサハラ砂漠の砂丘へと続く、荒々しいグラベルロードを舞台にした4日間のステージレースです。

本レースは「エピコス・ファミリー」のイベントのひとつとして開催され、個人またはペアでの参加が可能です。

総走行距離は約445kmにおよび、ライダーは美しくも過酷で、人里離れたモロッコの雄大な風景を走り抜けます。

レースの締めくくりには、サハラならではのユニークな宿泊施設で、心身をゆっくりと休める特別な夜が用意されています。



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