前回の平地編では、S5に前後ディスクを装着し、そのスピード感と扱い方を試しました。
平坦では、とにかく速度を保ちやすい。
脚を止めたときの失速感も少なく、S5の空力性能と前後ディスクの組み合わせがはっきり走りに出ました。
では、この仕様で上りはどうなのか。
平地での圧倒的なスピード感を味わうと、ロングクライムで使ったらどうなるのかが気になります。
そこで今回は、富士ヒルクライムをS5+前後ディスクホイールで走ってきました。
この記事はこんなライダーにおすすめ
・S5をヒルクライムで使うとどう感じるか知りたい方
・前後ディスクホイールで上れるのか気になる方
・軽さだけではない、登り方の違いを知りたい方
・一定ペースで走るタイプのライダー
S5に前後ディスクホイール。
見た目だけで判断すれば、ヒルクライム向きには見えません。
ただ、富士ヒルのように緩斜面も多いコースでは、軽さだけでは語れない走り方があります。
重量だけを見ると、決して軽いバイクではない
土曜日の受付日、サーヴェロブースにはレース仕様にしたS5を展示していました。
そのバイクを見た多くの方は、こう思ったのではないでしょうか。

「これで登れるのか」
前後ディスクホイールを装着したS5は、見た目の迫力があります。
ただ、ヒルクライムバイクとして見ると、軽量バイクとは明らかに方向性が違います。
重量も8kg後半。
決して軽いバイクではありません。
富士ヒルクライムと聞くと、多くの方がまず軽さを考えます。
それは間違っていません。
勾配がきつい区間では、軽いバイクのほうが扱いやすい。
踏み直しもしやすく、リズムも作りやすい。
ただし、富士ヒルは最初から最後まで急勾配が続くコースではありません。
だからこそ、このS5+前後ディスクにも活きる場面がありました。
富士ヒルは、空力が効く登りでもある
富士ヒルのコースは、序盤こそ勾配がきつく感じます。
しかし前半を過ぎると、勾配が小さい区間が何度も現れます。
ここでは速度が乗り、スリップストリームの効果を感じる場面もあります。
つまり、空気抵抗の影響が無視できない登りです。

今回は、トレインを組むよりも単独で走り続ける可能性が高い状況でした。
その場合、前に人がいない状態でペースを保つ必要があります。
ここで効いたのが、S5と前後ディスクホイールの組み合わせです。
空気抵抗を抑えながら、速度を落としにくい。
単独走でもペースを維持しやすい。
軽量バイクで小刻みに加速する走りではなく、一定の出力で速度を保つ走り。
今回の富士ヒルでは、この特性が活きました。
緩斜面で速度を乗せ、次の登りにつなげる
前後ディスクホイールは、急な加速が得意なホイールではありません。
走り出しや急勾配での踏み直しでは、軽量ホイールのほうが反応は軽く感じます。
これは正直なところです。
ただし、一度スピードに乗せると印象が変わります。
勾配が緩い区間では、ディスクホイールの重量と空力が速度維持に良い方向で働きます。
失速しにくく、同じ出力でもスピードを保ちやすい。

今回の走り方は明確でした。
勾配がきつい区間では、多少遅れても無理に踏みすぎない。
自分のペースを守る。
勾配が緩くなったら、前後ディスクの伸びを使ってスピードに乗せる。
その勢いを残したまま、次の登りへ入る。
これを繰り返すことで、重さを我慢するだけではなく、速度をつなぐ登り方ができました。
富士ヒルを「長い登り」ではなく、「緩急のある登りTT」として考えると、このホイールの意味が見えてきます。
一定ペースで走るライダーには相性がいい
走り方には、いろいろなタイプがあります。
軽さを活かして、勾配の変化に合わせて走る方。
坂の緩急で踏む区間と休む区間を分ける方。
一定出力で、最後までペースを崩さず走る方。


この前後ディスクホイールは、私のように一定出力で走るタイプには相性の良いホイールでした。
富士ヒルのようなコースでは、完全な低速クライムではなく、速度が乗る時間も長くあります。
その区間でペースを落とさず走れることは、タイムにも体感にも大きく関わります。
軽さで登るというより、速度を落とさず登る。
その感覚に近いホイールです。
急激な加速を何度も繰り返す走りには向きません。
しかし、一定の力でじわじわとスピードを保つ走りでは、見た目以上に武器になります。
実はダンシングの感触も悪くない
走るまで忘れていたことがありました。
このホイール、実はダンシングの感触がかなり良いです。

通常、ディスクホイールは形状や重量から、ダンシングには向かないと思われがちです。
重く、もっさりしていて、バイクを振りにくいイメージがあります。
ところが、RESERVE Infinity Discはその印象を裏切ります。
感触としては、極端に重いディスクホイールというより、しっかりしたミドルハイトのディープリムに近い。
バイクを振ったときの反応に遅れが少なく、踏み込んだ力が逃げにくい。

おそらく、ディスク形状による剛性の高さが効いているのだと思います。
踏み込んだときにホイールがよれにくく、ダンシングでもバイクの動きが鈍くなりにくい。
見た目から想像するより、ずっと自然に扱える。
これはかなり意外なポイントでした。
奇抜な見た目だけではない、確かな性能
S5に前後ディスクホイール。
この組み合わせは、どうしても見た目のインパクトが先に来ます。
富士ヒルの会場でも、多くの方がその迫力に目を留めていました。
一見すると、ヒルクライムには不向きに見える仕様です。
重量は8kg後半で、軽量バイクと比べれば明らかに重い。
ただ、実際に富士ヒルを走ってみると、奇抜さだけの仕様ではないことがよく分かりました。

勾配が緩む区間があり、速度を保つ時間が長いコースでは、S5と前後ディスクの空力性能が効きます。
スピードに乗った後は慣性も働き、緩斜面で速度を維持しやすい感覚がありました。
勾配のきつい区間では無理をせず、自分のペースを維持する。
緩斜面でスピードに乗せ、その勢いを次の登りへつなげる。
この走り方ができるライダーにとって、前後ディスクホイールは単なる見た目重視の仕様ではありません。
急加速の軽さではなく、速度を落とさない強さ。
軽快さではなく、一定ペースを支える安定感。
S5と前後ディスクホイールの組み合わせは、富士ヒルを登りTTのように走るライダーにとって、見た目以上に意味のある仕様でした。
前後ディスクホイールは、奇抜さだけではない確かな性能を内に秘めたホイールです。
