今週は、Team Visma | Lease a Bikeがヨーロッパ各地で多くのレースを戦いました。
男子のブエルタ・ア・エスパーニャ、レネウィ・ツアー、ドイツ・ツアー。女子のツアー・オブ・ブリテン。そしてディベロップメントチームのレースまで、カテゴリーもコースも異なるレースが同時に進行していました。
その中で、Team Visma | Lease a Bikeは2つのステージ優勝を挙げています。
- ドイツ・ツアー第1ステージ:Louis Barré(ルイ・バレ)
- ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ:Matthew Brennan(マシュー・ブレナン)
女子のツアー・オブ・ブリテンでも、Nienke Veenhoven(ニンケ・フェーンホーフェン)が第2ステージ4位、Femke de Vries(フェムケ・デ・フリース)が総合5位に入るなど、各地で上位に食い込む走りを見せました。
これだけレースが重なると、それぞれのレース結果だけを追っていても、なかなか全体像は見えてきません。そこで今回は、レースの勝敗そのものではなく、「どのバイクを、どんな場面で使っていたのか」に注目してみます。
すると、今週のレースには一つの共通点がありました。
それが、Cervélo S5です。
2つの勝利を支えたS5
まずは、今週の2つのステージ優勝から見てみましょう。
ドイツ・ツアー第1ステージでは、Louis Barré(ルイ・バレ)が終盤にアタック。残り5km付近の登りで抜け出すと、そのまま独走でフィニッシュまで逃げ切りました。
ステージ優勝だけでなく、総合リーダージャージも獲得。短い登りでの加速力と、その後の高速巡航が問われるフィニッシュでした。
そして、このときLouis Barré(ルイ・バレ)が使用していたのが S5 です。

もう一つの勝利は、ブエルタ・ア・エスパーニャ第2ステージ。
214kmという長い距離を走った先に、登りを含むフィニッシュが待つステージでした。
終盤にはWout van Aert(ワウト・ファンアールト)が動き、集団を絞り込む展開に。その後のスプリントでMatthew Brennan(マシュー・ブレナン)が抜け出し、グランツール初勝利を挙げています。
ここでも選ばれていたのは S5 でした。
一方は終盤の登りからのアタックと独走。もう一方は長距離を走った後の登りスプリント。
決して同じようなレースではありません。
それでも、どちらにも S5 が使われています。
S5が活躍したのは、勝ったレースだけではない
もちろん、S5の使用はこの2レースだけではありません。
今週のレースを見ていくと、S5は平坦ステージだけでなく、さまざまなコースで選ばれていました。
レネウィ・ツアー
レネウィ・ツアーは、横風や高速巡航、集団内での位置取りが重要になるレースです。
こうした環境では、エアロロードである S5 の強みが分かりやすく活きてきます。
ツアー・オブ・ブリテン
女子のツアー・オブ・ブリテンでは、Nienke Veenhoven(ニンケ・フェーンホーフェン)が第2ステージで4位に入りました。
さらにレース後半には、Great Orme(グレート・オーム)のような厳しい登りも登場。Femke de Vries(フェムケ・デ・フリース)はこうした難しい展開を乗り切り、最終的に総合5位でレースを終えています。
平坦だけを走るレースではありません。
それでも、ここでも S5 が使われています。

ドイツ・ツアー
先ほど紹介したLouis Barré(ルイ・バレ)の勝利も、決して単純な平坦スプリントではありません。
終盤の登りでアタックを仕掛け、そこから数kmを独走。最後まで逃げ切るためには、登りでの加速だけでなく、その後の高速巡航も必要になります。
ここでも S5 です。

ブエルタ・ア・エスパーニャ
そしてグランツールのブエルタ・ア・エスパーニャ。
第2ステージは長距離を走った後に登りを含むフィニッシュが待つステージでした。
そこで最後にスプリントを制したのがMatthew Brennan(マシュー・ブレナン)です。
ここでも S5 が選ばれていました。
なぜ、登りがあってもS5なのか?
「S5=平坦・スプリント用」というイメージだけでは、今週の使用状況を説明できません。
実際には、短い登りを含むステージでもS5が使われています。
なぜでしょうか。
それは、ロードレースにおいて「登りがあること」と「一日中登りを走ること」は別だからです。
例えば、短い登りを含むステージでは、登りの前後に長い平坦区間や高速区間があります。
- 高速で集団が進む
- 横風の中で位置取りをする
- 登りでアタックに反応する
- 下りや平坦で追走する
- 最後にスプリントする
こうした動きを一日の中で何度も繰り返します。
だからこそ、コースプロフィールの一部分だけを見て「登りだからR5」と決めるのではなく、そのステージ全体でどれだけ高速域を走るのかを見る必要があります。
高速で走る時間が長ければ、空気抵抗を減らすことのメリットも大きくなります。

S5の強みは、平坦だけで発揮されるものではありません。
登りそのものではなく、登りを含めた一つのレースを速く走る。
その考え方で見ると、S5が選ばれている理由が少し分かりやすくなります。
それでもR5が必要になる
では、S5がこれだけ幅広いレースに対応できるなら、R5の出番はなくなったのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
ここがCervéloのラインアップを見ていて面白いところです。
短い登りや丘陵を含む程度なら、ステージ全体の速度域を考えてS5を選ぶ。
一方で、長く急な登りが続き、重力の影響が支配的になるステージではR5の軽さが大きな意味を持ちます。
つまり、S5がR5の仕事まで奪ったわけではありません。
「R5を選ぶべき場面」が明確だからこそ、それ以外ではS5を選べる。
この使い分けは、Team Visma | Lease a Bikeの機材選択を見るうえで、かなり重要なポイントだといえます。

そして、P5が必要になるレースもある
今週はS5だけでなく、もう一つ興味深い機材選択がありました。
ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕ステージです。
モナコの街中を走る9.4kmの個人タイムトライアル。クリストフ・ラポルトが5位、ワウト・ファンアールトが8位に入りました。
コースには多くのコーナーやヘアピン、ラウンドアバウトがあり、短い登りも含まれるテクニカルなレイアウトでした。
それでも使用されたのは、タイムトライアル専用バイクのP5です。

タイムトライアルでは、集団の後ろについて風を避けることができません。
スタートからフィニッシュまで、自分自身で空気を切り続ける必要があります。
コーナーで一度速度を落としたとしても、その後には再び速度を上げる。だからこそ、単独走で空気抵抗を抑え続けられるP5のメリットが大きくなります。
ここでも、「コーナーが多いからロードバイク」という単純な選択にはなりません。
どんな競技を、どんな条件で走るのか。
そこから逆算して機材を選ぶ。
Team Visma | Lease a Bikeの機材選択を見ていると、この基本がとても分かりやすく表れています。

S5が「基本の選択肢」になる理由
今週のレースを振り返ってみると、S5が使われていたのは、決して「平坦だから」という理由だけではありません。
- 高速巡航が必要なレース
- 横風の影響を受けるレース
- 短い登りを含むステージ
- 終盤にアタックが起こるレース
- 登りを含むフィニッシュ
- 最後にスプリントが待つステージ
こうして並べてみると、S5の守備範囲がかなり広いことが分かります。
もちろん、すべてのレースでS5が正解というわけではありません。
長く急な山岳ではR5。単独で空気抵抗と戦うタイムトライアルではP5。
その一方で、それ以外の多くのロードレースではS5が選択肢になる。
今回のように、男子、女子、そしてカテゴリーの異なるレースが同時に開催される週は、こうした機材の使い分けが特に分かりやすく見えてきます。
勝利したレースだけを見れば、S5は「勝つためのバイク」です。
しかし、実際の使用状況まで見てみると、それだけではありません。
平坦、丘陵、短い登り、アタック、スプリント。
一日の中でさまざまな状況が変化する現代のロードレースで、そのすべてに対応しながら速さを追求する。
だからこそ、Team Visma | Lease a BikeにとってS5は「平坦用バイク」ではなく、多くのレースでまず選択肢になるレーシングバイクになっているのだといえます。
そして、そのS5では足りない場面が来たときに、R5やP5が登場する。
今週のレースを機材から見てみると、Cervéloの3台がそれぞれ違う役割を持ちながら、一つのレースバイクシステムとして成立していることがよく分かります。
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