Gran Fondo Myoko2021 参戦記 後編

後編:目標は完走
※グランフォンドと同じくらい長い文章になったので写真中心にご覧ください!
前日の様子、グランフォンド妙高についての様子の前編はこち

では、当日の様子を。

4時前に起床。
4時15分に宿を出発。
会場に4時45分着


スタート地点に5時15分集合すれば荷物を預けてチェックポイントでピックアップできるらしい。


スタート前に、ゼッケンのチェックを済ませる。
がチームメイトの名前を呼ばれる。どうやらゼッケンがシャッフルされていた。
まあチームだしいいか。

いざスタート
スタート地点に人が集まる。
この外国人ライダーの多さは、本当に非日常な感じで楽しい。
主催のRide Japanのアダムさんが、英語で、最初は下り基調で、雨上がりで道がすべるし気をつけて、そして楽しんで!みたいなことを言って盛り上げてくれる。
大事な何かを聞き漏らしてそうな気もするが、イエー!みたいな感じでスタート。

最初は下り基調でスタート。
集団でスタートするのでテンションがあがる
登ったり下ったりを繰り返し、最初の山場、戸隠クライム(12km/408m UP/3.4%)


作戦は足を温存。
昨年のレポートを読み返して見ても、前半の長い上りを人を追い越すことに気持ちよくなりがんばったような事を書いていた。
愚かものだと思うが、こうやって成長していくのだ。


一言で言うと最高
快適に回し続けられる負荷で淡々と登る。
抜かれても今じゃない。
スタートは100kmだとひたすら自分のペースで進む。

コースは逆周り。
つまり、去年一番ヘロヘロだったところで、一番元気。
台風が過ぎ去り、青空が気持ちいい。
雨雲が高い山にひっかかり神秘的な景色に。
気温も涼しく爽やか。
つまり、最高。

昨年疲れ果てて到着して、スルーした戸隠の山ではちゃんと写真撮影。
そうこうしているうちにチェックポイント1。


チェックポイント2に向かって走り出す。

KINASAのグラベルはカットされたので、そのまま次の406 クライム(4.5km/200m/4.5%)に。まずは登った分のご褒美ダウンヒル。


昨年足切りを告げられたあの地点にゆったりと登っていく。
時速10km/h未満で登っていると、おそらく30分後(いや1時間後かも)にスタートを切ったライダー達が登りとは思えないスピードと笑顔で横をパッシングしていく。
昨年はスタート時間が一緒だったため、そんなトップ選手に触れる事もなかったが、一瞬だがその凄さを確かめる事ができた。
そして時々、見かける女性ライダーがまた速い。追い越されていった記憶しかない。
上には上がいる。

チェックポイント2に到着。


ここの景色もすごい。
そして、黄色い看板の情報量の多さが、アクセントになりかっこいい。
かなり標高があがってきた。

預けていた荷物から、追いルブをして少しでも足への負担を減らすことにストイック。
ここから先は白馬村に向けて下り、グラベルを抜けたら、お待ちかねのセブンイレブンタイム。
セブンイレブンがこんなに輝いて見えることがあるだろうか。


田んぼ横のグラベルをひたすら突き進む。
白馬の山々が連なり、あとは刈られるのを待つ全開の稲穂の横を走っていると、何とも言えない気持ちよさに包み込まれる。
そして、ここは昨年Granfondo Myokoの1ヶ月後に、訪れたOMMのフィールド内でもある。
チェックポイントを必死に探して回った見覚えのある景色。

キラキラと輝くセブンイレブンで。
ビビンパを食べ、エナジードリンクを飲み満たされる。
この時点で11:20。
100kmの足切りポイントまであと2時間あれば余裕だ。

食後のグラベルはいきなりハードだった。
傾斜もある上、ぬかるみがすごい。

この辺からちょっとずつチームメイトに疲れが見えはじめてくる。
増田が遅れ始めた。
足大事に。

余裕と思っていたチェックポイント3も13:10頃到着。まあまあギリギリ。


楽しいグランフォンドで終わ…らない
ここまでは大きなトラブルもなく、びっくりするくらい順調。
このまま終われたら、ただいい思い出として残りそうなもの。
ただ、ここからが…言葉としても本当の意味でも山場。
制限時間の17時までラスト50km3時間半。
標高1000mアップ、距離にして20km。
登りで時速10km/hを維持しても山頂まで2時間。


クライムオン!!
そこからさらにグラベルと最後の山を超えて30km残っている。そして気温も上がり暑くなってきた。
いけるのか?
なんとも言えない緊張感が出てくる。

最初は「完走」だった目標も、達成できそうになると、段々と欲が出てくる。
気分も乗ってきた。
1.完走 2.制限時間内 3.全員で
さあ山を登りましょう。

舗装路をひたすら登る。昨年まだ終わらないのかと下り続けたので、その分登るってこと。


チームメンバーの様子がおかしい…
このあたりで、チームメンバーのペースが明らかに落ちる。
本来私より体力もあり、よく乗っている人達だ。
最後の登りまで足をひたすら守り続けて来たはずだが、この登りで削られ始めている。
気温も上がり汗ばんできてさらに消耗が激しくなってくる。

この橋を渡る頃からだんだんとチームが散り始める。

気づけば先頭を走っていた。昨年はこの先行で調子に乗り、後から痛い目にあった。
チームで制限時間内に完走が目標。
でも時間に余裕はそんなにない。
目標は3つ。

仲間を待って「全員で完走」を取るのが、爽やかな感じだろう。
でも、このきつい登りを登っていたら、また来年は気軽には思えない。

目標の優先順位を頭の中でパズル。
1.完走 2.制限時間内 (3.全員で)
みんなきつい、でも私だってきつい。

よしっ!


「全員で」の項目は、強い目標から、できればに降格。
目標はフレキシブルに修正。
これは先行した者だからこその悩みよ、と自分勝手な考えが出てくる。だってきついから。

話相手がいなくなり(いても話せる余裕はないけど)、ひたすら登る。
時速10km/hを出したいが、足を楽にしようとすると時速6km/hくらいになる。
道のつづら折れ具合も高まってきた。


GPSがたまに止まっていると思い、停止してしまう。
お前まで俺を!と思いながら淡々と登る。
GPSがいじわるするので、スピーカーと仲良くなり、音楽を聴きながらできるだけ楽しい気持ちで登る。

永遠と続く登り坂
上の方はグラベルのはずだが、舗装路がずっと続く。1kmってこんなに長かったか?と思うくらい進まない。
じりじりと暑さも増してくる

と、中腹あたりで、沢山の人と自転車を載せたバンが追い越していく。
回収車が動き始めたよう。
追い越していくバンの窓が開き、体格の大きな外国人の方がこちらをまっすぐ見てくる。
何を言われるのか…と身構えたら、
「シツレイシマス…」と。たしかにうらやましい。
しばらくして、ふと山の反対側を見上げると、向かいの山の上の方をさっきのバンが上がっていた。

なんとかピークを迎えてきたよう。
山の上にあがると日陰もなく、暑い。
水の補給もできないため、川の水を汲むライダーも。


しばらくすると、また回収車が降りていく、もうイベントも終わりが近い。
なんとか気合で乗り越え山頂に。
雲が下に見える…。

さきほど車で運んでもらった人たちも、ここからは降りて自走のよう。
水を分けてもらい元気が出る。

先に進む、最後のチェックポイントまでグラベルの下りをかっ飛ばしながらも途中止まり、
仲間がこないかと少し待つが、すぐに制限時間も気になり出発の繰り返し。


最後のチェックポイントに16時までにつけば、ラストは下りなので17時に間に合うかも知れない。



増田も戦っていた
ちょうどこの頃、最後尾を走っていた増田の様子がこちら(本人談)。
#エクストリーム通勤(※)を日々こなす増田が悲鳴をあげていたよう。
※#エクストリーム通勤とは
朝トレイルを走り、昼食時にトレイルを走り、帰宅前にトレイルを走り、帰りにトレイルを走る
理想だと想像はしてもなかなか実践が困難なスタイル。これを実践しており、このグランフォンドも最も余裕(チーム内)と思われていた…

増田談
・イベントへの誘いに二つ返事でOK
→去年の同時期に比べても倍以上自転車にも乗っており、完走は余裕で、
 ゴールの池ノ平スキー場まで10時間で帰ってくるつもり(だった)
・CP3以降20km獲得1000m知ってたけど改めて愕然
・踏み込まず足を残していたハズ
→例の橋辺りからガクッとペースダウン

 ※失敗→ボトル(大)を1本のみに
→前半区間で自動販売機は全てスルー
→思った以上に気温上昇
→水不足が深刻化
→山の中でどうしようもない状態…どうしよう

・完全にストップの休憩&進むを繰り返しを4回、水が残り50mlを切る、尽き果て寝転がって休憩
→回収車が下ってきたが見送る
→回収車が止まり「water?Mizu?」と言ってくれる
→え?水あんの!?
→生き返った!

とのこと。
大事なのは「水」
いろいろ長く説明してくれたが、ネックは「水」だったとのこと。
行く前に、ボトル2本にするか1本にするかで、1本で余裕って言っていたのは…。



第4チェックポイントが近づいてきた。
16:15にチェックポイント4に到着。

17:00ゴールは厳しいか?


終わりは突然に
第4チェックポイントに到着。
拍手で迎えてくれる。
ここで意外な事が…
お疲れ様、ここがゴールよ!みたいな言葉で迎えてくれる。

ゴール!?

そんなはずはない、ここは134km地点。残り25kmあるはず。
どうやら、レースはここで終わりのよう。

たしかにチェックポイント4にしっかり”RACE FINISH”と書いてあった。
KOMのタイム計測の終りと思っていたけど、全体のタイム計測もここまでのよう。

レースは終わり、グランフォンドは続く
でも、昨年全ルートを11時間半かかってゴールしたので、せっかくならゴールまでに17時までにたどり着きたい。
試合に負けても、勝負には勝ちたい。(負け惜しみではない)
時間的には厳しそうだがギリギリなんとかなりそうな感じでもある。
残りが本当のグランフォンドだと思い、ルートに沿って会場を目指す。

が、

会場まで残り3km地点で17時を迎えてしまった。
16:59くらいでいい景色を迎えストップ。
サッと気分を切り替えて、全員でゴールした方がいいと再び再設定。
早速、メンバーに電話するが出てもらえない…帰ろう。

会場にたどり着いたのは17:10くらい。
148km 3651m UP
ごちそうさまでした。

達成感と、10分遅れのモヤモヤが同時にきて何とも複雑な気持ち。でも終わったんだ…。
すでに、表彰式も終わり速いライダーたちは帰路についている。


無事完走
アダムさんが帰ってきたライダーたち一人ひとりに声をかけ、ねぎらいの言葉と、参加賞の栓抜き付きメダルを首にかけてくれる。
少しすると、チームメンバーも無事到着。


Race or Survive
このハードなチャレンジ。
大きく分けると2つの人種に分かれるよう。
タイムを競うトップ20人くらいのレース、あとはサバイブ(生き残り)だ、と。

今年もサバイブできた。そして、また来年も?

マイペースで長く続けること 
今回「無理せず、楽しみながら」を意識することで、景色もよく見ることができた。
今後、すごいトレーニングを積んで、速くなれる日が来るのか?
週末の朝、おや?雲行きが怪しいぞ?と布団から出たくないような人間にそんな日はこない。


でも、たまにこんなチャレンジがあると、いつもより少し乗るようになったり、
自転車との付き合いにメリハリを与えてもらえる。
自分のペースで無理せず積み上げていけば、こんなハードなコースを走り抜けることができる。
しばらく乗らなくても、またその時に合った自分のペースですぐに再スタートできるのが自転車の魅力だと思う。

今回は、言えそうな「また来年!」

前編はこちらから