年末年始の休暇を使って奄美諸島ツーリングに出かけてきた。お供は届いたばかりのエアログラベルレーサー、サーヴェロAspero5。

奄美大島は世界自然遺産に登録された憧れの島。佐渡ヶ島に次ぐ大きさの島で、アマミノクロウサギなど貴重な固有種を含む多様な生物が棲む原生林が多く残っているのが特徴。その大自然を味わうべく、林道で島の隅々まで走る計画だ。
舗装路とマイナー林道がメインルートのため、タイヤはAspero5完成車にデフォルトでセットされていたヴィットリアCORSA PRO CONTROL42Cそのままで旅に向かうことにした。それはパリ〜ルーベでも使われるTLRレーシングタイヤ。42Cのオールラウンド系極太ロードタイヤが「舗装路メイン+グラベル少々」の今回の旅のスタイルにマッチするだろうと思っていた。

その目論見は大正解で、世界自然遺産の森へと通じる林道は、大半は舗装されているが長らく人の手が入らなかったため路面が荒れ、ひび割れや落ち葉や苔などで綺麗とは言い難い状態。

そして島の中央を貫く奄美中央林道は昔から未舗装のグラベルで、昨今は島の外周部に新しい道やトンネルが整備されるなか、使われる機会が減り続ける一方で、台風や大雨が多い島だけに荒れ放題で、着実に廃道へと向かっている。そんな道を走ってきた。

旅行記については別の場でレポートするとして、ここではAspero5のファーストインプレッションをまとめさせていただく。
旅の装備はバイクパッキングバッグをサドル後方に取り付け、背中には1デイパックを背負うスタイル。宿泊まりのためテントやシュラフのキャンプ用品は無し。宿に入ったらサドルバッグは外し、デイパックのみの身軽なスタイルで軽快に走りを楽しんだ。

42cの軽量なロードタイヤを履いたAspero5は舗装路では軽快に走り、高い巡航性を発揮してくれた。エアロ形状のフレームにホイール、そしてコンパクトなエアロフォームが取れるハンドルにより、強風下の舗装路でもスイスイと気持ちよく距離を稼げた。

驚かされるのが下りだ。とくに荒れた路面のダウンヒルではどんどんスピードが上がり続ける。エアボリュームの大きなタイヤは転がり抵抗が少なく驚くほどスムーズで、明らかにロードバイクよりスピードが出る。しかもタイヤが太いため、恐怖心を感じずに安心して下れるのだ。

これは今まで経験したことが無い走行感だった。欧米で昨年あたりから話題になっている「40Cタイヤがオンロードで最速」という研究機関の主張も納得の感覚。オフロード未満の簡易舗装のような道なら42Cは確実に速くて快適だ。

エアロロードのサーヴェロS5がその特異なフレーム形状に比して「乗りやすい」と評価されているのに似て、Aspero5は過剰な硬さやクセが無い素直な乗り味で、かつ空気抵抗が少ないため、スルスルとスピードが上がっていく。
スムーズすぎるほどに素直で快適な乗り心地で、いつまででも乗っていたいと感じる気持ち良さ。Aspero5のキャラクターはそれに尽きる。オンロードではグラベルバイクであることを忘れてしまうナチュラルさだ。

ダウンヒルで気をつけなければいけないと感じたのは、路面の荒れや凹凸をスムーズにいなして転がることでバイクが加速し続けていくのに、不意の段差に乗り上げたり、路面の波打ちにハマったりした場合に、バイクがバウンドしてタイヤが接地を失うことがあること。ちょうど空気をパンパンに入れたビーチボールが弾みすぎて収拾つかなくなるように…。
もしダウンヒルコーナリング中に段差にヒットすれば、Aspero5はハイスピードでコントロールを失う危険がある。そんな注意を払わないといけないほどに、42Cロードタイヤは転がりが良く、下りが速いのだ。
サドル後方に付けたバッグの重量は約2.5kg。フロントバッグやツールボックス、ボトルの総計で+4kgの車重であっても、ロードバイク並の巡行性能がAspero5にはある。

僕にとってバイクは単なる旅の道具ではなく、走り自体を楽しむもの。だから旅している間じゅう、Aspero5の性能の高さを感じながら走れたのは幸せな時間だった。新しい走りを拓いてくれる最高の乗り物にまたがって、世界自然遺産のジャングルや未知の土地へと分け入っていく素晴らしい旅だった。

旅の模様はシクロワイアードで連載記事として書くつもりで執筆を進めている。そちらもぜひ楽しみにしていて欲しい。

連載コンテンツ
Cervélo Aspero-5がやってきた! 自転車大好き綾野 真の長期インプレッション vol.1
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綾野 真(あやの まこと)
ロード、マウンテンバイク、グラベル、ロングツーリング、シクロクロスなど自転車なら何でも愛しているサイクリストでフォトジャーナリスト。
長年のツール・ド・フランス全日同行取材をはじめ、近年はアメリカ アンバウンドグラベルに参戦、日本でも新たなグラベルシーンを開拓している。
シクロワイアード cyclowired.jp
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