マイヨジョーヌ獲得に直結した、チームTTにおけるP5の160mmクランクと64Tチェーンリングのセットアップ

Team Visma | Lease a Bikeが「ツール・ド・フランス」で大躍進しています。
開幕から第2ステージを終え、ヨナス・ヴィンゲゴーがマイヨジョーヌ(個人総合首位)を獲得・維持する結果を底支えしているのは、「そのコースにおいて物理的にロスを減らす機材」を見極める緻密な選択です。

チームを牽引するタイムトライアルバイク「Cervélo P5」の直近のリザルトと、総合首位獲得の大きな要因となった第1ステージのチームタイムトライアルにおいて施された、具体的なセットアップの理由を紐解きます。

■ 直近の主なレースリザルト

【ツール・ド・フランス2026】

  • 第1ステージ(チームタイムトライアル) 優勝: Team Visma | Lease a Bike
  • 第2ステージ 4位: ヨナス・ヴィンゲゴー(個人総合首位 マイヨジョーヌ獲得・維持)

■ チームTTにおいて「P5」に専用のセットアップが施される理由

  • 重量削減を目的とした未塗装フレーム:平坦での空力だけでなく、加減速時や登坂区間におけるシステム全体の重量を抑える。
  • 前面投影面積を抑える特注コックピット:VISIONによる専用設計のDHバーで腕周りの隙間を埋め、前方からの気流の乱れを抑制する。
  • 駆動ロスを抑える大型チェーンリングとショートクランク:160mmクランクで深い前傾姿勢のペダリング軌道を確保しつつ、64Tのチェーンリングでチェーンの屈曲角を緩やかに保ち、摩擦抵抗を削減する。
  • ワイドリムとチューブレスによる転がり抵抗の低減:内幅25.4mmのリムにチューブレスタイヤを組み合わせ、タイヤの変形ロスとリムとの段差による空気抵抗を抑制する。

前面投影面積の削減と重量をコントロールするフレーム周り

昨年のツール・ド・フランスに引き続き、今回のチームTTにおいても、フレームの大部分に塗料を乗せない「未塗装」の状態のP5が投入されました。塗料分の重量を物理的に削減することで、バイク単体の軽量化を図っています。

また、ハンドル周りにはVISIONによる特注のDHバーがアセンブルされています。ライダーの腕の形状に合わせて成型された専用設計を採用することで、腕とDHバーの間の隙間を埋め、前方から受ける気流の乱れを抑制。ライダーを含めた前面投影面積の削減に繋がっています。

160mmクランクと64Tチェーンリングがもたらす駆動効率の最適化

ドライブトレイン(駆動系)のパーツ選択は、エアロポジションの維持と機械的な摩擦抵抗の低減を両立する構成となっています。

クランクには160mmのショートクランクが選択されています。クランク長を短く設定することで、ペダリングの上死点における膝の曲がり角(股関節の詰まり)を緩和。これにより、上半身を低く保った深いエアロポジションにおいても、スムーズなペダリングの軌道を維持しやすくしています。

フロントには64Tという大径チェーンリング、リアには10-36Tのワイドなスプロケットが組み合わされています。チェーンリングとスプロケットの径を大きくすることで、チェーンがギアを通過する際の屈曲角を緩やかに保つ構造です。高速巡航時に高い出力をかけた際のチェーンの機械的な摩擦抵抗を抑え、駆動力をロスなく後輪へ伝達する結果をもたらしています。

内幅25.4mmのReserveディスクホイールとチューブレス仕様

足回りには、空力性能と路面抵抗の低減を物理的なアプローチで両立する組み合わせが選択されています。

フロントには77mmハイトのディープリム、リアにはReserve製の内幅25.4mmを持つディスクホイールが装着されています。リアをディスク化することで後方に抜ける気流の乱れを抑え、高速域での空力性能を確保しています。

タイヤにはVittoria Corsa Pro Speedのチューブレス仕様が組み合わされています。内幅25.4mmというワイドなリム幅に対してチューブレスタイヤを装着することで、タイヤの断面形状がリムから滑らかなアーチを描します。これにより、タイヤの変形によるエネルギーロスを抑えるとともに、リムとタイヤの段差をなくして空気抵抗を削減。路面追従性を保ちながら低い転がり抵抗を維持する設計となっています。

まとめ

Team Visma | Lease a Bikeによる第1ステージのチームTTでのトップタイム、および第2ステージを終えてのマイヨジョーヌ獲得・防衛は、コースレイアウトに合わせて機材を物理的・数値的に最適化した結果によるものです。

未塗装フレームによる軽量化、特注DHバーによる空力性能の向上、160mmクランクと64Tチェーンリングの組み合わせがもたらす駆動効率の改善、指示されたワイドリムとチューブレスタイヤによる転がり抵抗の低減。これら一つひとつの構造的な積み重ねに、レース環境においてタイムの短縮を追求するCervéloとチームのロジカルなアプローチが表れています。