R5・S5・P5で3度目の勝利を目指す:Team Visma ツール布陣

Team Visma | Lease a Bikeが、2026年のツール・ド・フランスに挑む8名の出場メンバーを発表しました。チームが目指すのは、絶対的エースであるヨナス・ヴィンゲゴーの3度目の総合優勝です。

「3度目のツール制覇はずっと最大の目標だった。直近のジロでの勝利がチームに大きな勢いをもたらし、『ツールでも勝てる』という確固たる自信がチーム全体に広がっている」

ヴィンゲゴー本人がそう語る通り、ジロ・デ・イタリアで彼自身が総合優勝を含む5勝、セップ・クスもステージ優勝を挙げるなど、チームは圧倒的な勢いを持っています。今大会には以下の盤石の8名が挑みます。

■ ツール・ド・フランス2026 出場メンバー(8名)

  • ヨナス・ヴィンゲゴー:絶対的総合エース
  • セップ・クス:世界最高峰の山岳アシスト
  • マッテオ・ジョーゲンソン:エース級の登坂力を持つオールラウンダー
  • ダヴィデ・ピガンゾーリ:山岳アシスト(ジロ総合8位 / ツール初出場)
  • ヴィクトル・カンペナールツ:平坦・TT牽引のスペシャリスト
  • エドアルド・アッフィニ:平坦・TT牽引のルーラー
  • ブリュノ・アルミライユ:平坦・TT牽引 / 逃げの名手(現フランスTT王者)
  • ペールストランド・ハーゲネス:期待の若手ルーラー(ツール初出場)

今年のチームは、開幕地であるスペイン・バルセロナを象徴する世界的建築家、アントニ・ガウディの作品にインスパイアされた特別デザインジャージ「The Architect」を着用します。ガウディの建築に見られる計算し尽くされた構造美。このジャージが体現する哲学は、機材選択においても貫かれています。

チームはCervéloの「R5」「S5」「P5」の3モデルをどう使い分けるのか。
直近のジロ・デ・イタリアでの運用実績と、各モデルの妥協なき設計思想(セオリー)を踏まえ、まずは今大会のコースレイアウトに対する「機材選択の基本方針(予想)」を見ていきましょう。

■ ツール・ド・フランス2026:3モデルの投入が予想される主要ステージ

  • 【R5】山岳・山頂フィニッシュ
    • 第6、15、18、19、20ステージに設定された計5つの山頂フィニッシュ。特に第19、20ステージの「2日連続アルプ・デュエズ」登坂区間。
  • 【S5】平坦・スプリント・高速レイアウト
    • 高速巡航が求められる平坦ステージや、最終日第21ステージのパリ・シャンゼリゼでのゴールスプリント。
  • 【P5】タイムトライアル
    • バルセロナ市街地での第1ステージ(チームTT)と、休息日明けの第16ステージ(個人TT)。

疲労をコントロールし、過酷な山岳を制する「R5」

ピレネー山脈のガヴァルニ・ジェードル(第6ステージ)や、今大会のハイライトである2日連続のアルプ・デュエズ(第19、20ステージ)など、勝負どころの超級山岳で投入が予想されるのが「R5」です。単なる重量の軽さだけでなく、3週間に及ぶ長丁場で出力を極限までセーブするための設計が施されています。

  • カーボンレイアップの最適化による剛性コントロール:フレーム全体のカーボン積層を調整し、ペダリング時に適度なしなりを持たせています。これにより、疲労が蓄積した登坂局面においてもペダリングのリズムを維持しやすくなります。
  • ヘッド周辺の剛性調整による路面追従性:プロからのフィードバックに基づき、フロントフォークからヘッド周辺にかけての剛性を意図的に調整しています。これにより、荒れた路面やダウンヒルにおいて前輪が路面を捉えやすく、ライダーの上半身に伝わる突き上げを緩和します。

集団を牽引し、高速巡航を制するエアロロード「S5」

平坦での高速巡航や、最終日のパリ・シャンゼリゼにおける大集団でのゴールスプリントにおいて選択されるのが、空力設計に特化した「S5」です。
先頭での集団牽引を担うカンペナールツやアッフィニといったルーラー陣にとっても、フレーム全体の空気抵抗の削減は、長時間の高出力を維持し、後続のエースを安全に運ぶための重要な要素となります。

  • 独自の「V型ステム」による気流コントロール:前方からの気流を乱さず、ヘッド周辺からライダーの脚の間へ風を抜けさせる構造により、フロント周辺の空気抵抗を抑制します。
  • スプリントでのパワーロス削減:フレーム各部に配置された翼断面形状と高いフレーム剛性により、時速60kmを超える局面で踏み込んだ際、フレームの変形によるパワーロスを抑え、推進力へと変換します。

システム全体でタイムロスを防ぐタイムトライアルモデル「P5」

バルセロナ開幕を告げる第1ステージのチームTT、そして休息日明けの第16ステージ個人TTにおいて、システム全体の空力最適化によってタイム短縮を狙うのが「P5」です。
現フランスTT王者のアルミライユをはじめとするTTスペシャリストの出力を速度へと直結させます。

  • フレーム単体の空力設計:前輪に沿うようにえぐられたダウンチューブや、気流の剥離を防ぐトランケート(後端カット)形状を適材適所に採用し、物理的な空気抵抗を削減しています。
  • ポジションの持続性を高めるコックピット:ミリ単位でのパッド高や角度調整が可能なコックピット構造により、ライダー自身が「最も空気抵抗の少ない姿勢(CdAの低減)」を構築し、長時間の維持を可能にするフィッティング機能を持たせています。

セオリーと「プロのリアルな機材選択」

Team Visma | Lease a Bikeの成績は、選手の能力だけでなく、3週間のステージごとのプロファイルを分析し、最もタイム短縮につながる機材を選択する合理的な運用体制が支えています。

登坂を含む長丁場で出力をコントロールするR5。
平坦やスプリントでの空気抵抗を削減するS5。
そして単独走行における空力性能の最適化に特化したP5。
実際のレース環境に合わせて最適解を用意することが、Cervéloの基本的な設計思想です。

しかし、現代のプロレースはセオリー通りには進みません。 トッププロは急勾配の山岳であっても時速25km〜30kmという高い速度域で駆け上がるため、登坂時でも空力性能がアドバンテージとして働きます。

先のジロ・デ・イタリアで見られたように、今大会でも超級山岳でR5ではなくS5が投入される可能性があります。

各モデルが持つ本来の設計意図に対して、実際のレース本番でチームがどの機材を選択し、どう運用するのか。そのリアルな選択のプロセスに、Cervéloというブランドの競技機材に対する合理的な思想が表れています。

R5・S5・P5

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