筧 五郎の富士ヒルクライム:R5で今の自分に挑んだ1時間8分

今回の富士ヒルは、正直に言って万全とは程遠いスタートでした。
3月に怪我をしてしまい、2週間の完全休養。そこから4月、5月と必死に月2,000kmを走り込んで体力を戻したものの、高負荷の練習や、平坦での1時間全力走といった「詰めの練習」が圧倒的に足りていませんでした。
若い頃なら「根性でカバーする」と息巻いたかもしれません。しかし、大人のレースは引き算の美学です。
「今の自分にできる、最善の走りを」

昨年はローラー教室のみんなとブロンズ(90分切り)を目標に走り、今年はR5と一緒に今の自分のベスト1時間5分を目標にしていましたが、「確実な8分台」へと切り替え、落ち込むことなく、今のフィジカルで出せるワット数を維持することを目標にしました。

R5 vs S5。40代・50代のフィジカルが求める「正解のフレーム」

自分のバイクはサーヴェロの軽量オールラウンダー『R5』。 土曜日のEXPO会場では、「エアロのS5とどっちがいいの?」とよく聞かれましたし、実際に20分も隣で悩んでいるサイクリストの相談に乗ったりもしました。

富士ヒルに向けたセットアップ

機材のセットアップでの変更点は、リアスプロケットと36Tに大きくしたこと。これはアウターですべての登り切るため。そして今回一番気にしたのが、「タイヤの空気圧」です。

富士スバルラインを試走したことがある人なら分かるかもしれませんが、あの路面、独特の抵抗がありませんか? なんだか路面がふにゃふにゃしていて、タイヤが常に吸い付いて引っ張られているような感覚です。

そこで、いつもの平坦(3.8〜3.9 bar)と同じ感覚で行くと、間違いなくパワーをロスします。今回の僕のセッティング(チューブレス)はこちらです。

■ホイール : ENVE SES 4.5 PRO
■タイヤ: ENVE SESタイヤ 29C
■空気圧:
フロント:4.3 bar
リア:4.4 bar
あえて普段より1割ほど高めに設定しました。結果は大正解。それでも「もう少し高くても良かったかも」と感じるほど、富士ヒルの路面は特殊です。「ヒルクライム=低圧でグリップ重視」という固定観念を捨て、試走を重ねた結果から決めた数字です。

集団の心理戦。あと1分を削り出す「大人のトレイン活用術」

勾配の緩い富士ヒルでタイムを削るなら、絶対に「トレイン」を活用することです。上手く集団の力を借りるだけで、同じワット数でも約2分はタイムが縮まります。
第1回大会の優勝者の自分ですが、最近の富士ヒルの戦い方には浦島太郎状態でした。

ここで重要になるのが、集団内の「心理戦」です。 シルバーやゴールドの手前(例えば1時間14分台や29分台)にいる選手にとって、あと1分を削るためにみんな必死です。

だからこそ、自分の狙うペースの集団を注意深く見極める必要があります。目標タイムを確認し、先頭についていくのか、それとも自分が少し前に出てローテーションを促すのか。浦島太郎状態にならずに周りの声を拾い、時には協調し、時には自分のペースを死守する。ただペダルを踏むだけでなく、集団をマネジメントする視点を持つと、富士ヒルクライムは一気に面白くなります。

今回トレインを組むことで、エアロ効果では無く、R5の軽さを存分に活かし、1時間8分36秒でゴール。目標達成できました。

ロードレースは怖くても、坂なら僕らはまだ強くなれる

実は僕、近年ホビーレーサーが目標とするニセコ・クラシックなどのいわゆる「ロードレース」には出ていません。 最近、目の前で他の選手が落車して、骨折や大怪我をするリアルな現場を見てから、怖くなってやめてしまったんです。40代・50代になって、負うべきリスクじゃないな、と。

でも、ヒルクライムは別です。

落車のリスクは圧倒的に低い。そして何より、「やったらやった分だけ、きっちり強くなって返ってくる」。この年齢になって、これほど純粋に自分の努力の成果を数字で実感できる遊び、他にないと思いませんか?

僕の視線はすでに次の山、『乗鞍ヒルクライム 1時間以内』に向いています。

あそこは富士ヒルよりも勾配がきつく、標高も高くてタフなステージです。さらに機材をコースに合わせてセットアップして、体を絞り込んで挑むつもりです。

年齢を言い訳にする暇があるなら、次の一歩をどうロジカルに踏み出すか考えたい。

オールラウンドで使えるR5で旅に出ます

超軽量バイクR5は、ヒルクライムだけでなく、今回富士ヒルクライムでの下山でも怖い思いをすることなく、全く問題なく走ることができました。R5のオールラウンドに使えるしなやかな乗り味は、ロングライドの旅にも向いていると思っています。
この夏は、大型のサドルバックをつけて2泊くらいの旅に出ようと考えています。
ツール・ド・フランスを走るピュアロードバイクですが、重量物をつけなければ、問題なく使えると思います。自転車はいろいろな楽しみがあるところが魅力。
50代を迎え、これからまだまだ自転車を楽しんでいきます!!

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