なぜTeam Visma | Lease a Bikeは「S5」をメインバイクに選ぶのか?

Team Visma | Lease a Bikeは「Tour Auvergne-Rhône-Alpes」(ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ)にて、ワウト・ファンアールトのステージ優勝やマッテオ・ヨルゲンソンの個人総合4位など、緻密な機材戦略による好成績を収めました。

■ Team Visma | Lease a Bikeの成績

  • 第3ステージ(チームタイムトライアル): 優勝
  • 第5ステージ: W・ファンアールト – 優勝(集団スプリント)
  • 第7ステージ(山岳): M・ヨルゲンソン – ステージ4位
  • 個人総合(GC): M・ヨルゲンソン – 最終4位

Cervélo(サーヴェロ)には軽量オールラウンドの「R5」とエアロロード「S5」の2つのフラッグシップが存在し、チームは大部分のステージで「S5」を選択しています。

チームはなぜ勝負どころの山岳ステージが絡むレースでも「S5」をメインに据え続けるのか。
そこには、私たちがロードバイクを選ぶときにも参考になる、軽さ、空力、そして出力の考え方が隠されています。


■ 「登りも空力」の時代。機材進化がもたらす下りの高速化

かつての「山岳=軽量バイク」という常識は変わりつつあります。
その背景にあるのが、UCIの規定重量(6.8kg)の壁です。
近年の技術革新により、エアロモデルのS5でも6.8kgに迫る軽さを実現できるようになりました。
そのため、単に「山岳=R5」とするのではなく、コース全体のプロファイルや風向きで使い分ける戦略が主流となっています。

さらに、現代のレースは時速90km〜100kmに達する「下りのハイスピード化」が日常化しています。

この超高速域を支えるのが足回りの進化です。
ディスクブレーキによる正確なコントロール性と、ワイドタイヤの低圧運用が生む優れた路面グリップ力。
これらがライダーに高い安心感をもたらし、無駄な減速を抑えたハイスピードかつ安全なコーナリングを可能にしています。

時速90kmを超える下りや集団復帰の局面において、空気抵抗の差は致命的なタイムロスに直結します。全シチュエーションで空力性能が問われる現代のロードレースにおいて、空力を味方につけることは勝利への必須条件なのです。


■ 奇抜ではなく「必然」。V型ステムの狙いとドラフティング効果

S5の空力性能を象徴するのが、特徴的なV型ステムです。

一般的なステムはコラム後方に乱気流(マイナスドラッグ)を発生させ、それが足回りやシートポストにぶつかり抵抗を生みます。
対してS5のV型ステムは、前方からの風をライダーの足の間へスムーズに抜けさせ、エアロシートポストへ直接流すことで、フロント周りの風の乱れを大幅に抑え込みます。

この緻密な空力設計は、特に集団走行(ドラフティング)で真価を発揮します。
多くのS5ライダーが「前の選手に一気に吸い寄せられる感覚」と語るほど、前走者がいる状況において、その空気抵抗の少なさを明確に体感できます。


■ 総括:R5とS5、それぞれの役割

Team Visma | Lease a BikeがS5を多用するのは、R5の評価が低いからではありません。

R5は優れた軽さとダイレクトな反応性を誇る名機であり、純粋なヒルクライムや過酷なアップダウンが連続する局面では、軽量オールラウンダーとしてトップクラスのバランスを発揮します。
実際に女子チームなどでは、コース特性に応じてR5がしっかりと重用されています。

しかし、マッテオ・ヨルゲンソン選手が総合順位を懸けて走った今大会のように、厳しい登坂の後に高速のダウンヒルや平坦区間が含まれるレースプロファイルにおいては、S5の空力性能がもたらすタイム短縮のメリットが非常に大きくなります。

「山岳も含めたレース全体を、S5の空力アドバンテージで最速で駆け抜ける」。
この明確な機材戦略があるからこそ、Team Visma | Lease a Bikeは過酷なステージレースでも安定して世界のトップで好成績を収め続けているのです。

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