Áspero5 長期インプレッション グラベルでも走りやすく、速かった | 自転車大好き綾野 真の長期インプレッション まとめ

シクロワイアードに連載したオールロードで走る奄美群島ツーリングは、お陰様で大きな反響があった。オールロードバイクとして乗ったサーヴェロ Aspero5は、旅から帰ってすぐタイヤ交換し、グラベルバイクとして乗り始めている。

デフォルトで42Cのオンロードタイヤがセットされていたのは「まずはオンロードでAspero5の速さを体験して欲しい」というサーヴェロからのメッセージだと思っている。つまりそれからタイヤ交換してグラベルへと進め、ということ。

実際いきなりグラベルを走ったとしても、オフロードではAspero5のエアロ性能は体感しにくいと思う。だからまずは路面の振動などが無い舗装路で、そのエアロ効果や特性などを感じ取って欲しいという考え方なんだろうと思う。

また、昨今のグラベルタイヤは多様化していて、ライダーの好みもあるし、用途にあったタイヤを揃えたいが「これがベスト」は選びにくい。そういう意味でも完成車にロードタイヤがセットされていたのはいいチョイスだ。

タイヤをグラベルタイヤへ変更

今回グラベルタイヤに交換するにあたり、ダイアテックさんからAspero5と同包で送られてきたのがENVEのHEX Gravel Tiresの40Cだった。

レースからツーリングまで、あらゆるグラベルを走り回って行き着いた最近のタイヤの好みは、オールラウンドでノブがありつつもセンター部は繋がったデザイン。舗装や直線路は速く走れて、コーナリング時にはしっかりエッジが効くというタイヤ。そして45Cあたりの太さが概ねの状況で良さそうだ、と。

全面に六角形のノブが配置されたENVE HEXは、40Cと細身で軽く、ちょっと自分の好みとは違うタイヤだった。しかし使ってみると目から鱗の良さだったので、タイヤも含めてレポートしよう。

HEXはENVEの開発陣がレースをターゲットにつくったグラベルタイヤという触れ込み。40Cで430gと軽量で、トレッドの下部にはパンク防止バリアが埋め込まれているのがわかる。ビード部には帯状の緩衝材「チェーファー」が備わっていて、リム打ちパンクを防ぐ構造になっている。

極めてしなやかなケーシングに、タイヤ内部からはバリアが透けて見える。ビード部のチェーファーは、かつてそんなアイデアのMTBタイヤがあったなぁ、と思い出す。そういえばグラベルでのパンクは石の角にガツンとぶつけてのビード部付近のスネークバイトが多いので、これは効果的なアイデアだと思う。

HEXは転がりが軽いのに、グリップ力も高くて、コーナリングでもブレーキング時もスリップせずに路面を捉え続けてくれる。最近のレース用タイヤはセンタースリックが人気だが、グリップ力が低くてコーナリングは難しくなりがちで、トラクションもかけにくいタイヤが多い。HEXはしっかり路面を噛んでくれて安心感が高いのに、速い。六角形状の低いノブがうまく機能している。

思いがけず理想的なグラベルタイヤに出会えた感じ。自分がイメージしていた以上の速くてグリップするタイヤを、すでにENVEの開発陣は考えついていた。

さて、そんなHEXタイヤに交換したAspero5を様々なグラベルに連れ出している。僕が住んでいるエリアに近い奥武蔵の河川敷や農道などをつなぐグラベルや、年に数度行くお気に入りの南房総のグラベル林道など、仲間たちといろんな状況で乗っている。

まずはフラットダートへ。関東圏なら荒川や入間川沿いの河川敷の良く締まった砂利のグラベルは北米のアンバウンドグラベルのルートに似ている。ドライな日であれば走行感も軽く、ハイスピードで走り続けることができる。

そうした場面はAspero5のもっとも得意とするところ。「エアロ」が効いた巡航性で、スピードが落ちることなくハイペースを刻める。フレームがエアロなのはもちろん、ホイール周りの設計の良さで空気抵抗が少ないことを感じさせる。

リザーブのホイールもエアロ設計のグラベルホイールで、かつサーヴェロもAspero5の開発に当たってはこのホイールと組み合わせた状態で風洞実験を実施したと公表しており、そのメリットも十分にあるんだろうと思う。

「TURBULENT AERO」テクノロジーにより、走行中に受けるリアルな風を分析、風洞で忠実に再現することで、より速く、そして横風に煽られない安定したホイール性能を追求。そんなプロジェクトによって生まれたのは前後異ハイト(40/44)の超ワイドリムによるグラベルホイールだ。

リム内幅は27mmと超ワイドなため40mmタイヤであっても空気量が大きくとれ、そのぶん転がり抵抗も軽く、速い。

エアロ効果はコンパクトなエアロフォームが取れるハンドルによるところも大きい。幅38cm(フレームサイズ48cmの場合)のエアロハンドルはフレア形状で、ブラケット上部を持った際のグリップ幅は355mm(実測)と狭く、ドロップ部で420mm(実測)。これによりエアロ系ロードバイク同様の空気抵抗の少ないフォームが取れる。

操作感は自然でクイック。意のままに操れる感覚が素晴らしい。ハンドル上面が翼状でありながら、過剰には固くなく、路面の振動を吸収する快適性も備えている。両肩がわずかに下がったエルゴノミック形状もコントロールしやすさに効いている。

「グラベルバイクは幅広のバーを使ってオフロードでの安定感を高める」という考え方もあるが、こと速く走るにはやはり空力的に不利になる。かといってハンドルを狭くしただけではハンドリングが難しくなるので、そこをハンドルのフレア形状とフレームのジオメトリーでカバーするように煮詰めるのがノウハウだろう。

Aspero5は過剰な硬さやクセが無い素直な乗り味で、いつまででも乗っていたいと感じる気持ち良さ。オンロードではグラベルバイクであることを忘れてしまうナチュラルさだ。

実のところ、Aspero5のフレーム形状がエアロを突き詰めたものだけに、グラベルには向かない「クセ」が出るのではないかと思っていた。しかしそれはまったくの杞憂だった。振動吸収性は十分にあるし、操作感、操舵感も自然で扱いやすく、変なクセは一切感じられない。同時にボリュームの大きなチューブは「過剛性なのでは?」という心配もあったが、それも感じない乗りやすさ。

じつは心配と同時に期待もしていた。それはエアロロードのS5に乗った際に感じた自然さや万能感をAspero5にも期待したからで、S5の乗りやすさは各レビューで絶賛されている。乗ってみるとそれは的中。

現にヴィスマ・リースアバイクの選手たちもレースを問わずほぼS5をデフォルトで乗っていることからも想像に難くなかった。Aspero5はS5にフォルムが似ているが、乗り味もかなり似ていると言えるほど、とてもナチュラルで乗りやすい。そしてグラベルであっても速いバイクはやっぱり乗っていて楽しい。

綾野 真(あやの まこと)

ロード、マウンテンバイク、グラベル、ロングツーリング、シクロクロスなど自転車なら何でも愛しているサイクリストでフォトジャーナリスト。
長年のツール・ド・フランス全日同行取材をはじめ、近年はアメリカ アンバウンドグラベルに参戦、日本でも新たなグラベルシーンを開拓している。

シクロワイアード cyclowired.jp 

Áspero-5 ラインナップ

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¥877,800 (税込)
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¥1,449,800 (税込)
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¥1,449,800 (税込)
¥1,999,800 (税込)

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