【ほんまに崖っぷち!最終戦】
9/27-28 #9 Coupe du Japon くまもと吉無田国際

前回の山口大会からインターバルは3週間。
さて、今回も状況を整理しよう。
- 3月のサイクルモードのときにBMXレーサー、MTBダウンヒルライダー、自転車競技未経験者の3名でクロスカントリー公式戦への挑戦が決まる
- チームオーダー発表「フルリジットのクロモリMTB+フラットペダルで、3人今年中にエリートクラスまで昇格しようね」→エリート昇格って厳しない?
- マスダが#3 八幡浜でチャレンジクラスで衝撃優勝し、一足先にアドバンスクラスへ昇格を決める
- ドイ、美山ステージで執念の2位、アドバンス昇格を果たす
- ドイは年内に参加できるレースは 今回の山口が最後
- ドイ、山口で上がれず年内エリートの目標、潰える
- ルーキーY、山口で2位になりアドバンスに特別昇格、希望をつなぐ
- そして今回マスダ、ルーキーYが最終戦の熊本県吉無田に参戦
〜エリート昇格をかけたラストバトル〜
「チームUA 奇跡を起こせ!」
いや、起こさんでええ…(ドイ)
参戦と出展と結婚式と
3月のサイクルモード大阪でCJ参戦が決まり、どうしていいか分からないなりにもがき続けたCJシリーズもついに最終戦!
「火の国」熊本が決戦の舞台。ボク(ドイ)は友達の結婚式で神奈川へ行っちゃうので、マスダとルーキーYの2名が参戦。
なのに、マスダ、ルーキーYからレポートを送ってこられ自分が参加していないレースレポートを書くという状況。なんでなん⁇(笑)
加えて今回は、Muc-offのセルフメンテコーナーを現地に初出展。

メンバーも試走やレースでブースに不在がちなため、基本的には「おすすめ商品を置いておくのでご自由に使ってください」というセルフ形式。
にもかかわらず、何名かのライダーに活用していただき、来シーズンへ向け役に立てる便利なブースの展開もイメージが沸きます。


コースについて
火山灰が混ざった独特なサラ土路面。スピードに乗れる下りに加え、テクニカルなバームやジャンプもあり、下り系のライダーにはたまらない構成だったよう。
一方で前半の登りは上の方でガレた区間もあって、脚にくる強烈なセクション。上り下りそれぞれに攻略ポイントがあり、ライン取りや体力配分が問われる。配分する余裕があればね。

マスダは下りの得意さを活かして「登り終わりで60m差までなら下りで捲れる」と試走から手応え(?)を感じていた‥が、登りで勝てない前提が悔しい!
コースが楽しすぎて4周してしまったのはご愛嬌。
ルーキーYは舞い上がる砂埃に苦しみつつも、直登を含む強烈なヒルクライムにチャンスがありそうな予感。
前回も登りでチカラを発揮してチャレンジクラス2位になれたので、今回も激坂で勝負を決めたい。
チャレンジから昇格のため、アドバンスクラスのゼッケンに付け替えて気持ちも昂る。

食と移動
もちろんレースがメインではあるが、遠征をトータルで楽しむのが僕たちのスタイル。

フェリー移動からの土曜日、万博も見納め。
そして熊本に入ったらラーメンリサーチ。
ラーメン大好きな2人は迷わず熊本ラーメンで腹を満たす。

ルーキーY「初めての熊本県で本場のラーメン食べれて最高っす!」
‥もしかしてレースよりグルメの方が楽しみにしてない?(笑)
夜は地元民激推しの「かつ美食堂」へ。
馬刺しにモツ煮——「レース前だから…」なんて制限はこのチームにはなし。


消化の良さより、心の満足。
食べたいものをしっかり食べる。それもまた、遠征スタイルのひとつの正解だ。(知らんけどw UAチームでは大正解)
食に関してはレース後、帰路につく前にもひと盛り上がりがあった。
帰りのフェリーの時間が迫るなか、“名残の一杯”として再び熊本ラーメンを食すという展開に。
「何回ラーメン食べるんや?」と笑いながら、最後のご当地グルメを噛みしめたようだがうらやましいぜ。

レース当日の朝
この日ももちろんブースはセルフスタイル。

朝食は2人ともおにぎりやバナナやゼリーでシンプルに。コースは少し湿ったおかげで砂埃が軽減され、ルーキーYは視界良好な状態にテンションが上がっていた。
「やる気出てきたー!」
試走を1周だけ行い、本番に備えた。
その頃ドイは…。
結婚式に出席の為に大阪から夜通し運転して神奈川県を目指す。
正午から始まる式には間に合うように横須賀へ寄り道、早朝からうみかぜ公園でBMXでジャンプトレイルを楽しむ!
うみかぜ公園は初めてで前から一度行ってみたかったんですよね〜。

ただ、30分ほどしか寝てないし外は恐ろしいほど爆風。
さらにバイクをアルミフレームからクロモリフレームに組み直してポジションも変えて1発目。
さらにこのあと結婚式に出席するので時間厳守(2時間)で、顔着(顔面着地)も絶対NG!
でも、ローカルの方が整備してくれていたのでコースコンディションは最高!ありがたい。
頭も身体もボケ〜ッとした47歳は1人黙々とアタックするも初めてのトレイルと慣れないバイクに苦戦。楽しむというより「1番大きいラインを貫通するまで帰らんぞ!」というストイックな状態で頑張る。

そして時間ギリギリに何度か貫通。無傷で終えて一安心。急いで移動して無事に式場へ。
これ、かなり無茶なスケジュールですが、以前マスダから「もし結婚式が夕方からならCJは午前中で終わるし、飛行機で飛んだら間に合うんちゃいます?」とレースして熊本県から神奈川県まで飛ぶというさらに無茶な提案があったけどいろんな感覚が壊れてない?(笑)
レース展開(マスダ編)
「奇跡でもなんでもいいから絶対に昇格するぞ!もちろんルーキーYにも勝つ!」

ここまでアドバンスクラスで表彰台には登れていないが、毎戦2人づつアドバンスから特別昇格してエリートやマスターズへ抜けているはずなのでそろそろ自分の番が来るはず!というか獲りにいく!
1列目からのスタート。スターティンググリッドの時点で、ある程度展開は読んでいた。コースの最初の登り返しに最もスピードを乗せていけるよう意識的に左側を選択。トップで邪魔されずできるだけ逃げる作戦。
ついにラストチャンスのスタート!予定通りスタートは得意&フラットペダルなので飛び出して最初の下りからの登り返しはトップ!しかし次の登りセクションに差しかかったところでまさかのチェーントラブル!「あかーん!」
最もスピードを上げる予定だったところで止まる…そんなん全くの想定外!
だが、ここで動じないのが今季仕上げてきたボク‥と言いたいところだが、スタート直後の密集状態で抜かれまくってたぶんほぼ最下位!
めちゃ焦るやん。もちろんルーキーYにも抜かされた。なんでやねんとイライラしながらのリスタートは少しオーバーペース気味で。1周目終盤で2位へと浮上(のはず)。
2周目序盤、予想通りの展開が来る。
得意の下りで詰めても、登りで差が開く。前日の試走でも感じていた「60m以上離されると厳しい」という感覚が、ここで現実になる。ルーキーY、さらにもう一人にも抜かれる。
先頭が登り切ったところが小さく見える、先頭はルーキーYかな‥めっちゃ遠いやん、いやいや確実に離されとる!
さすがにルーキーY飛ばしすぎやろー、タレろタレろタレろ‥と心の中で呪文をとなえつつ、それでも諦めずに食らいつき、かろうじて4位でメインの下りに入る。
3位の背中が見えた。なんか疲れてなさそう‥?
タイミングを見て詰め寄ってやや強引なオーバーテイク(スイマセン)を決めて順位を上げた。が、ここからが踏ん張りどころ。「このペースでいくと、3周目の登りでまた離されるな…」という危機感が押し寄せるが、抜き返した直後の少しの登り返し、3周目入るだいぶ前にあっさり抜き返され4位へ。
3周目、体はもう限界ギリギリ、登りで踏んでもパワー出てない。
めーっちゃ先の方に走ってるライダーが見えるが明らかに数分離れてる、3人前にいる、ルーキーYが先頭っぽい雰囲気ある。2人でいいから何かトラブル起こって!と自力でなんともできないことを薄々勘付いてしまう!なんとか気持ちで登り切ったが、ピークを越えた時点で先頭集団の姿はもうなかった。ここまで粘ったが「奇跡適応外」
ラストチャンスの下りも全力で攻めるが、差は埋まらない。そのままフィニッシュ。
結果は4位。タイム的には3位と2分以上の差がついており、ルーキーYにもボロ負け。クッソー!
順位以上に内容としての敗北感がハンパない。ラーメンや馬刺しを食べてるときは幸せだったのにな…。
レース展開(ルーキーY編)
「自転車競技歴6ヶ月とかフラットペダルをガニ股で踏んでるとか関係ない!目指せ奇跡のエリート昇格!」
作戦はシンプル。登りで攻めて下りは落車やメカトラを起こさないように大事に行く。
ようやくレース経験が上がり要領が掴めてきたので、武器のフィジカルを活かした走りで優勝したい。前戦はチャレンジとアドバンスが混走で、総合でも良いポジションを走れたから自信もある。
スタート位置は前戦でアドバンスクラスに昇格したばかりのため、今回は2列目最後尾スタート。
とはいえ、スタート後の登りには自信があった。
きっとマスダさんが先頭に出るだろうが、昨日の試走の感じからいって、中盤には抜かせる感じだ。
エリート昇格に向けてスタート!最初の下りからの登り返しで混乱もなく、綺麗にクリア。
そこからが勝負。
最初の直登セクションで「しっかり出し切る」覚悟。と、その前にマスダさんはトラブル?止まっていたが、下りで絡まれたらやっかいだからごゆっくりとしておいてください。
登りに入った段階では6〜7番手だったが、登り後半に先頭2名をロックオン。
「ここは足を使ってでも抜かなきゃ、下りの勝負に持ち込めない」と判断し、ラスト数十メートルで一気に加速、先頭でピークを通過して下りに突入。初の1周目先頭通過という理想的な立ち上がりだった。
2周目も気配を感じることなく、後方を一度確認しても差はかなり開いている。
焦らず、攻めすぎず、ただしミスもせず。ひたすら自分のペースで、丁寧に走ることだけを意識。スタート地点に戻るときも後ろの選手はまだ姿が見えず、「これは1分以上差がある」と確信。テンション高まる!「もしかしてこれは優勝できるんじゃない⁉︎」
トップのまま迎えた最終周回、ここで想定外の展開が待っていた。
登り序盤、体は動いていたが徐々にスピードが落ち、脚に違和感。「足が攣りそう」。焦る!ここで順位を落とせば昇格も危うい。判断を切り替え、迷わずバイクを降りて全力で押し登りを選択。
おそらく、この判断が結果を分けた。
下りに入った時点でまだ1位。
しかし、すぐ背後には明らかにスピードが速い2位の選手。冷静に構えるも、半分ほどで追い抜かれ、2位へ後退。その後ろとはまだ差があったため、ここで確実に2位を守り切ることに切り替える。「まだ奇跡適応圏内!」
心拍は限界、脚もギリギリの状態で、最後の区間を踏み切り、2位でフィニッシュ!
これは嬉しい!
勝てなかった悔しさはほんの少し残るけど、狙っていた“特別昇格”をゲット。エリート昇格という目的を達成し、完璧なレース展開だったんじゃない?
ドイさんにも良い報告ができそう、終わったら早速電話しよ!
悔しそうな声を聞くのが楽しみや(笑)
→ドイ、電話かかってきて向こうではカレー食べながら嬉しそうな声が!キー悔しい!




その頃ドイは…
2人が壮絶なレースを繰り広げルーキーYが快進撃を起こしているとも知らず、BMXの後輩の結婚式を楽しんでいた。出席者はトップボートレーサー多数にトップ競輪選手というアベンジャーズみたいなメンバーでこれはこれでワクワク感があった(笑)
幸せいっぱいの結婚式の裏で、まさかCJへの挑戦がこんな結末になるなんて…
帰りのフェリーでは「幸せの一杯」を楽しんだそうな


レース結果と所感
最終戦はマスダは4位、ルーキーYは2位。なんと自転車競技歴6ヶ月のルーキーYは追い込まれたラスト2戦で連続特別昇格の「奇跡」を起こした!
なんてこった!来シーズンはエリートクラスでの参戦が決定。「奇跡」を起こしたが確実に実力も付いてきている。さらには「伸び代」もまだまだあるのが恐ろしい。
マスダは今回の特別昇格はなかったが、後日ドイから悲報…「マスダ、ランキングでエリート昇格決定」とマスダにとっては「吉報」のメッセージが届く。
つまりドイ”のみ”アドバンスクラス「残留」という何とも言えない結果に。悔しー‼︎

シーズンの振り返りと来シーズンへ
3月に突如CJ参戦が決まり3名体制で結成されたUA XCチーム。「3名全員が年内にエリート昇格」という無謀なオーダーはまさかの2名がクリアするという快挙!しかもフラットペダルで。
もちろんドイがクリア出来なかったので課題は残った。
ドイ:「これでXCのチャレンジは終了⁇」
ダイアテック:「アキラ(ドイ)が一番悔しいやろうから来年もやりたいやろ?」
ドイ:「いや、悔しい気持ちもあるけどやり切ったからな〜…でも目標達成してないからやるよ(笑)」
ということで来シーズンもチャレンジは続く!
マスダは後半のタレを無くす。
ルーキーYは下りのテクニック強化とガニ股ペダリングを直す。
ドイは登りのスピードとスタミナ、つまりフィジカル全般の強化。
さらにレース開催地のグルメの下調べも強化する必要もあるだろう(最重要)
また、僕たちのレース活動を見て「オレも来シーズンCJ参戦しよかな〜。」って言うてる仲間が数名いてる。
もちろん僕はライバルが増えると困るので「やめとけ!」と返事してます。(笑)
プロでもない僕たちがトレーニングしてレースして楽しんでいる姿で、多くのライダーの刺激になっているなんて最高ですね!
来シーズンは開幕から全員フルリジットのUnAuthorized 78rpm × ENVEでスタートする予定。
引き続きレースを通してバイクやウェア類、ケミカルなどの使用感もお伝えしたいと思います。
開幕ダッシュを決めるためにシーズンオフに頑張りたいと思います。
メンバーそれぞれの意気込みをまとめてみた
マスダ

30年近くマウンテンバイクを続けてきたが、今シーズンほど「速くなること」にフォーカスしたのは初の取り組み。
XCやロング系は苦手だと思っていて、今までやってこなかったが、きっかけがあってチャレンジすることになり、チームで共通の目標があったので遠征やトレーニングを本当に楽しめた。
結果としてはルーキーYに負け悔しく、ポイントで上がるというのも悔しいが、来シーズンに登りで勝たないといけない目標が近くにいることは助かる。
トレーニングしたおかげで、自覚できるほど登りが速くなった‥あくまでも自分比(笑)。来期は「下りで勝ち、登りでも勝つ」そのために登りのパワーをつけて後半にもタレない脚をつくり、勝負を仕掛けるぜ。たぶん。
でも、トレイルライドやダウンヒルも楽しむ!
今からトレーニング始めないと間に合わないとはわかっている。
すでに来シーズンに向けて始めますよ!
(次の健康診断のリザルトも楽しみ)
ルーキーY

クロスカントリーが何なのかも分からず、3月にMTBを購入して、いきなりシーズンほぼフル参戦、初めてのレース活動にしてはハードだったと思う。
最初はミスやトラブルだらけで完走すらできないレースが続いたのですが、終わってみれば経験とスキルを積み重ねられた楽しいシーズンだった。
来期は“エリートらしいイカした走り”を目指し、持ち前の登坂力は伸ばして、さらに下りでも負けないテクニックを徹底的に磨いていく。
まぁセンパイ達に負けないことは前提ですが、フルラップ完走を目指しますよ。そしてカッコいい走りでモテるぞー!
もう’26シーズンは「ルーキー」ではないですよね‥「エリートY」?どうしたらいいのでしょうか?
ドイ

チームとしては2名が目標をクリアして素晴らしかったんですが、僕だけがアドバンス留まりという個人的にはとても残念な結果に。
CJのクロスカントリーに参戦したのは初めてでしたが、実は中学生の頃はBMXと並行してときどきクロカンの大会で優勝していました。だからクロカン自体は好きだし自信もあったんですが…歳のせいかトレーニングしてもなかなか速くならない。でも自分より歳上でめちゃくちゃ速いライダーがいるということはまだ可能性はあるはず。つまりトレーニングのアプローチを変える必要性を感じた。
まずは初戦でアドバンスから特別昇格で抜けることが目標。来年はさらに歳をとるが、そんなことよりオフシーズンに気持ちを切らさずに頑張れるか?がキーポイント。ヒルクライムのスピード、後半の持続力などフィジカルの底上げを頑張ります
とはいえ、最初は「ホンマにやるの〜…?」と乗り気ではなかったCJ参戦も、仲間たちとトレーニングしたり遠征したりととても充実したシーズンを送らせてもらい感謝です。
また、僕のまわりでもレポートを読んで「クロカン面白そうやな!オレも来シーズン出ようかな!」という声がチラホラ出てます。もちろん僕は昇格の為のライバルが増えると困るので「やめとけ!」と言うてますが…。(笑)
そんな感じで来シーズンも楽しんでいきたいのでよろしくお願いします。
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今後も、現場でのレースレポートと実体験をもとに、マウンテンバイクの楽しさはもちろんプロダクトやブランドに対するリアルなフィードバックを届けていきます。初めてのCJ参戦から始まりましたが、来シーズンは各々の新たな目標からスタートするのでお楽しみに!
※何度も言いますがこれは決してガチの速い人レポートではなく、本気で取り組んだ、イチ自転車好きの新たなジャンルへのチャレンジでした。
会場などでお声をかけていただくこともあり、本当に嬉しく励みになりました。
最後まで暖かく見守ってくださって本当にありがとうございました。

◆今回活躍のモノ◆


HYDRODYNAMIC LUBE