プロのチームの中で最も使用率の高いセラミックスピードのベアリング。
ビックプーリーの定番OSPWや、BB、ヘッドパーツ。ベアリングに留まらず低抵抗なチェーンルブUFO DRIPなど多くの製品を取り扱うセラミックスピードは、2004年に起業し今年で創業20周年になります。
デンマークの中西部 にあるホルステブロに本社を構え、自転車に留まらず、モーターサイクルや工業機械のベアリング関する事業も展開しています。
ベアリングを制作した切っ掛け
セラミックスピードがベアリングを作り始めた切っ掛けは、1998年に創業者の一人であるジェイコブ シズマディアのインラインスケート24時間ワールドレコード更新への挑戦から始まりました。
1997年、彼が出したワールドレコードの距離は402km。
この記録を更新するためにもっと効率よく滑る方法はないのかをという疑問を持ち、研究を始めます。研究の結果、ベアリングの玉が一定の領域で高温になり変形し回転抵抗が著しく悪くなっている事に気づきます。
そして1999年彼は、当時ではまだ珍しいセラミックボールと鉄球のハイブリットベアリングをローラーに使用し97年の記録よりも100km以上長い24時間で505kmを滑り記録大きく塗り替えました。
ロードレースの世界へ
2001年彼は、この技術を自転車にも応用できるのではないと思いツールドフランスに赴きます。
当時のホイールのベアリングは、毎回整備をしないといけない状況だったといい、同じデンマークのチーム「Team CSC」 へセラミックベアリングを提供しました。
セラミックベアリングにすることで整備回数が極端に少なくなったと共に、自転車のベアリングにはねじれや振動など自転車特有の力の入り方をする事に気づきます。
現在は、自転車で培ったベアリング技術を活かした工業製品のベアリングを、食品や宇宙/航空分野などにも応用され、それぞれの分野や顧客に合わせてカスタマイズしています。
プロに愛されるセラミックベアリングの理由
固定された土台にベアリングを入れて車軸を回しても、実走行では意味がない事を彼らは知っているため、セラミックスピードの製品開発は「実走行でどうなのか」を常に考え徹底的にテストされています。
数百時間の間、一定の振動を与えると何がどう壊れるのか、回転・振動・ネジレ発生させそれでも壊れずスムーズに回るベアリングなのか実走行を想定しているからこそ、自転車の複雑な動きや力のかかり方に合わせてテストされ実際に使えるベアリングを目指して作られています。
またベアリングに使用されるボールも素性やどの配合のセラミックなのかを電子顕微鏡や研磨機などを使用し、球の内部まで研究し本当に優れた製品を開発し続けている。
メンテナンス性
実走行を常に意識している為、メンテナンスができる事はもちろんのこと、メンテナンスの回数を少なくできる事を常に意識して物作りをしています。
その為、セラミックスピードはメンテナンス頻度の設定や整備の為の補修パーツ・グリスなどを用意しています。
定期的にみる事で、製品は安定した性能を維持し、問題の発生にも気づきやすくなり大きなトラブルや性能の低下を防ぎます。
自転車好きが作るベアリングだからこそできる細かな品質と素早いカスタマーサービス
セラミックスピードでは常に主要ブランドの新作自転車を、手に入れて、スムーズに取り付けられるのかを確認する取付テストと使用していて問題が起こらないかの実走行試験を行っています。
自転車好きのスタッフが多いからこそただベアリングを作るのではなく実走行や取付などにもいしきが向けられ、その結果セラミックスピードのカスタマーサービスは対応が早い事で有名です。
高額な製品なのでなるべく早く解決したい。そんな想いが伝わります。
製品背景を知れたデンマークライド
今回簡単なグラベルライドに連れて行ってもらいました。
彼らの楽しみは、車の少ないグラベルセクションでのスプリント合戦とのこと。
社内でもサイクリストが多いためロッカールームとシャワールームが完備されています。
ライド前のランチはアスリートフード?デンマークフード?をいただきました。
セラミックスピード本社のあるデンマークは自転車大国でありますが山がない地形で、同じくデンマーク出身の「ヨナス・ヴィンゲゴー」が山で早い理由がわからないレベルで山が全くありません。
さらに平坦でも遮るものがないので風が強い環境です。
ひたすらまっすぐ平坦な道を進み、到着したのが、
日本ではなかなか体感できないような特上のグラベルが約10km続くグラベルライドを楽しみました。
今回ライド中にセラミックスピードの製品が抵抗の少ないものにこだわるのかの話しをしてくれました。
「デンマークには山がなく、風を遮るものもないため風との戦いになる。
だからこそなるべく抵抗が少ない方が楽しめるのさ」
彼らは常に自転車に乗れる環境に拠点があり、ライドを楽しみながらフィードバックを行っています。
壊れない事、安定して性能を維持できる事の大切さを感じることのできた訪問でした。