チューブレスホイールとタイヤに興味があるけどちょっと抵抗がある方、ぜひお読みください。
ENVEは積極的にチューブレスホイールを推奨しています。
その主なメリットは至ってシンプル。
転がり抵抗の軽減、トラクションの向上、パンクのリスクの低減です。
【誤解 その1】
チューブレスタイヤは着脱と維持が大変
これはおそらく、もっとも一般的な誤解でしょう。チューブレスでないリムにタイヤを取り付ける場合とやり方が異なるためです。その方法に慣れないと、ユーザーから声が届きますが、それは彼らが人によっては30年近くもチューブレスでないリムにチューブとタイヤを取り付けてきたからにすぎません。
チューブレスリムは、リム中央に深めの溝とその両隣にショルダーを持ちます。
ショルダーとは、タイヤとリムが気密性を保つリム表面の部位こと。リム中央の溝は、リムの外径より低くなっているため、タイヤの取付に役立ちます。チューブレスタイヤを取り付ける際は、タイヤビードのほとんどを中央の溝に落とし、バルブの位置で取付を終わらせます。この方法に従わないと、指の皮が剥けるまで格闘することになり、タイヤレバーも役には立ちません。
タイヤ内径は同じモデルでも異なる場合がありますが、タイヤは指だけで、または場合によってはプラスチック製タイヤレバーを使ってはめられるようにしましょう。タイヤレバーは、通常よりもきついタイヤをはめる時に使い、ビードの残り数センチを押し込むためだけに使う場合がほとんどです。まず、タイヤのビードをリムのショルダーから中央の溝へと落とします。ビードをリム全体の溝に落としておけば、手だけでタイヤを取り外すことができ、タイヤレバーを使えばより簡単に行えるようになります。
まとめると、チューブレスリムへのタイヤの着脱は、正しい技術と手順にさえ従えば簡単なのです。
【誤解 その2】
チューブはチューブレスホイールやチューブレスタイヤと一緒に使えない
チューブは、チューブレスホイールやチューブレスタイヤと一緒に使えます。転がり抵抗や耐パンク性能は劣ってしまうものの、チューブレスタイヤでは稀ですが、万が一のパンクの時のために緊急用として使用可能です。チューブレスタイヤでパンクをしてしまった場合、チューブレスのバルブステムを取り外し、チューブを入れるだけでライドから帰還できます。
1つ例外があります。SES ARまたはG Seriesのフックレスリムを使用する場合、チューブを使えるのはチューブレスタイヤのみです。それぞれのリムに記載された最大タイヤ空気圧をしっかりと守りましょう。そうすることで、タイヤとリムを安全に密着させることができます。
【誤解 その3】
チューブレスは信頼性に劣る
この誤解は多くの俗説から生じていますが、どれも正しくありません。実際、チューブレスは正しく取り付ければ、最高の信頼性を発揮します。チューブレスシステムは多くの要素から成り立ち、それらすべてを正しく取り付けるか維持する必要があります。しかし、だからと言ってシステムの信頼性が低いことにはなりません。チューブレスタイヤは丁寧に取り付ければ、特に注意することもなく数シーズン問題なく使用できます。
チューブレスタイヤを初めて取り付けたら、タイヤとリムが密着し、シーラントが行き渡るよう、24時間放置してください。この初めての作業から一晩明けると、タイヤから空気が抜けていることがあります。これを防ぐには、取付後すぐに走ってリムとタイヤを密着させましょう。チューブを入れる場合と同様、走行前に必ず空気圧の点検を行い、必要に応じて空気を入れてください。最新のチューブレスレディタイヤは微小の穴が多く空いているため、一晩で1~5psi抜けることがあります。タイヤを初めて取り付けたら、シーラントはシステムの密閉にその多くが使われてしまうため、追加すると良いでしょう。
今後も安心して使用するには、定期的にシーラント量を確認し、追加します。お住いの地域や乗り方にもよりますが、この点検を30~90日おきに行いましょう。
【誤解 その4】
チューブレス化するとリム打ちパンクは生じない
チューブレス化することでパンクのリスクを約50%抑えられますが、リム打ちパンクを防ぐことはできません。空気圧が低すぎると、タイヤが岩や段差とリムの間に挟まれ、尖った部分でタイヤに穴が空いてしまいます。幸い、タイヤ内のシーラントが空いた穴を塞いでくれる場合がほとんどです。ホイールを回して穴を地面にもっとも近づけ、シーラントで塞ぎましょう。パンク穴が大きすぎる場合はシーラントだけでは塞ぐことができず、チューブを入れなくてはなりません。先述の通り、チューブレスシステムではパンクしたタイヤにチューブを入れて走行することが可能です。
チューブレスタイヤのリム打ちパンクを防ぐために、SES 3.4 AR、G23、G27、M Seriesなどのホイールにはリム打ちパンクを防ぐテクノロジーがリムに組み込まれています。それぞれのテクノロジーは衝突エネルギーをより広い範囲に分散させ、リムでタイヤがカットされるのを防ぎます。『ワイドフックレスビード』はロード、グラベル、マウンテンバイクに向けた軽量なテクノロジーであり、リム打ちパンクを50%軽減します。M7およびM9 Series ホイールに採用される『プロテクティブリムストリップ』は、リム打ちパンクのリスクを完全に無くします。それぞれのテクノロジーは、ジャンル特有のニーズに最適となるよう開発されています。
ご覧の通り、チューブレスリムではリムとタイヤがしっかりと密着しているため、フックビードは本来の目的を果たしていません。
マウンテンバイク用チューブレスリムを開発していた当時、ユーザーからENVEに寄せられた不満の多くは『バーピング』でした。これは、空気が予想外の場面でタイヤから漏れ、空気圧が急速に失われてしまう現象のことです。
バーピングの発生原因はいくつかあります。タイヤのビードの固さが不足している、およびまたはリムとタイヤのビードシート径が異なっている場合です。これは、チューブレスを使用するロード、グラベル、マウンテンバイクのすべてに言えます。
この問題を解決し、不確定要素の1つをなくすべく、M Seriesでフックレスデザインに移行し、リムのビードシート径をより正確に作り出しました。このデザインを採用したことで、切削した金属製モールドを用いてより精密なビードシート径とビードロックを実現した一方、フックビードには柔らかいモールドを用いてリムから外せるようにしました。この製法は成功でしたが、最終製品により多くの不確定要素が生じ、製造上の無駄が生まれ、仕上げの工程が増えてしまいました。
最初のM Seriesが登場してから5年という短い間に、チューブレステクノロジーは急速に成熟し、気密性とタイヤの保持力に関してタイヤとリムとの接触面に生じていた問題の多くが解決されました。しかし、ロードとグラベル分野では、マウンテンバイクのチューブレスで長い間生じていた同様の問題の多くを解決するべく、業界はいまだに進化し続けています。その一番の問題は、タイヤの保持力です。
では、先へ進む前に、チューブレスの仕組みをおさらいしましょう
【誤解 その5】
チューブレス化すると低圧で走行できる
チューブレス化による最大のメリットの1つは、チューブを使用することで生じる摩擦の軽減を除いて、空気圧を適切に保つことで快適さとトラクションが最大限高まり、これが安心感につながるということ。チューブレス化してもリム打ちパンクのリスクは依然としてありますが、チューブ使用時と比べるとはるかに低いです。これまでの長い間、リム打ちパンクを避けようと、空気圧を高めに入れるのが一般的でした。つまり、リム打ちパンクをするくらいなら、トラクションや効率が犠牲になっても構わなかったのです。これは仕方のないことで、道端でのパンク修理ほど効率の悪いものはありません。
チューブレス化を行うと、適切な空気圧で走行できるようになります。その空気圧によりトラクションと快適性が最大限向上し、転がり抵抗を減らすことができます。空気圧を常に適正値に保つために、エンヴィはAir Pressure Stationを開発し、適切な空気圧が見つかる表が記載されたページを作成しました。
チューブレスシステムやその正しい扱い方に関して、確かに誤解は数多く存在します。しかし、同時にそれらの誤解はチューブレスの仕組みに関する知識や実際の経験があれば、解くことができます。
『道路でもトレイルでも、チューブレステクノロジーこそ究極のライドエクスペリエンスをもたらす』。
これは、事実です。