ENVEアンバサダーの佐野淳哉さん、筧五郎さんに発表されたばかりの「SES 4.5 PRO」と「SES 4.5」を乗り比べ、
名前が同じ”4.5″でも、印象が大きく異なる 結果に!!
タイヤは両モデルともUAEが使用する「Continental Grand Prix TT TR 28C」。空気圧は各自の適正値でセッティング。

第2回は、PROの平地性能やホイールの特徴についてのインタビューをご紹介します。
前回のヒルクライム編の記事はこちらから
文中では「SES 4.5 PRO」を「PRO」、「SES 4.5」を「4.5」と表記します。
Q1:平地巡航での違いは?
筧さん
「贅沢な感想ですが、PROは平地も走れないわけではないです。しかし4.5を知ってしまっていると4.5ならもっと進むのになと思ってしまいました。」
佐野さん
「加速性能はPROがよいですが、高速巡航の伸びや速度維持は4.5が良いですね。平地の長距離では速度を維持し続けられる4.5を選びます。」

Q2:エアロ性能の違いは実感できましたか?
筧さん
「45〜50km/hの巡航域ではやはり4.5の方が伸びがあります。PROは脚を止めると減速しやすいので、登坂向きですね。」
佐野さん
「日本のクリテリウムで多い180度ターンなどではPROの加速性が活きますが、高速巡航ではやはり4.5を選びたくなります。」

Q3:スポーク・ハブの変更による違いは?
筧さん
「スポークが接触せずテンションが暴れない構造は、他社にもありますが、剛性バランスが非常に自然で、加速がスムーズです。」
佐野さん
「リム単体で60g軽量化されていますが、それ以上に“全体がバランス良く軽くなった”印象があります。」

Q4:剛性感はどうでしたか?
筧さん
「軽量ホイールにありがちな“不安感”は一切なく、“命を預けられるホイール”と感じました。」

佐野さん
「4.5と比べるとやや柔らかく感じますが、“ぐにゃっ”とするのではなく、適度にしなる感覚です。」

Q5:リム幅の違いは走行感に影響しますか?
筧さん
「細くなった分、4.5よりグリップ感は減ります。そのためPROの空気圧をもう少し下げれば安定して使えるのかなと思います。」
佐野さん
「4.5は“どっしり”とまっすぐ走る安定感があります。ワイドリムならではですね。」

Q6:使いたいホイールは?コース別の使い分け方は?
筧さん
「富士ヒルならPROを使いたいですね。平坦は4.5が速いですが、足を残して後半の平坦区間でペースを上げられるよう軽量なPROを選びたいです。」
佐野さん
「普段は基本4.5を使いたいです。速度域が下がるヒルクライムはPROを使いたいです。」
Q7:レースに出ない人には、どちらをおすすめしますか?
筧さん
「ヒルクライム派には迷わずPRO。パワーで踏みたい人には4.5が合うと思います。」
佐野さん
「両者の差は“用途”に出ます。安心感と汎用性なら4.5ですが、日本のように登りの多い土地では、レースに出なくてもPROの方が楽しめるかもしれません。」

まとめ:どちらも完成度は高いが、「走りの個性」は明確
筧 五郎さん評価


佐野淳哉さん


- PRO:軽さ・加速・登坂性能重視。ヒルクライムやクリテリウム向き
- 4.5:巡航・エアロ・安定性重視。ロングライドやエンデュランス系に最適
同じ“4.5”の名を持ちながら、真逆の特性を研ぎ澄ませた2本。
「どちらが優れているか」ではなく、方向性が異なる4.5の2種類です。


筧 五郎さん
ENVEをはじめ、ASSOS、ABUSヘルメットアンバサダー。名古屋市内で56サイクルを主催、ローラー教室など自転車普及に努める。
乗鞍優勝、Mt.富士ヒルクライム総合優勝など輝かしい実績を持つヒルクライマー。1975年生まれ168cm 60kg。

佐野 淳哉さん
2014全日本ロードレースを制したレジェンド選手。2024年プロを引退しDeafJAPANヘッドコーチを務める傍ら、ENVE、ASSOSアンバサダーをはじめ、NHKチャリダー出演や、GCTVレポーターなどを務める。 1982年生まれ 178cm 90kg。