3/2にイタリアで開催されたストラーデ・ビアンケ。
距離が昨年より約30m延長され215km。その内15セクション計71kmの未舗装路区間を含む過酷なレース。
2年前にも勝利したUAEのポガチャルだが、今年は81kmでアタックを仕掛けそこから2時間以上ソロで走り、シエナまでの未舗装路区間を平均340w、39km/h近くで逃げ切りストラーデ・ビアンケ2024を制しました。
そんな圧倒的なレース運びを詳しく見てみます。
ポガチャルの作戦
ポガチャルはレースをハードにしたいと考えていました。
そんなポガチャルはレース前に今回の作戦を隠すことはありません。
「5つ星のサンテマリー・グラベル・セクターにアタックするつもり」
と話しそれを実行しています。
ポガチャルが 2022 年のストラーデ ビアンケで優勝したときも、同じ場所でアタックを行っています。
今回ポガチャルは、サンテ マリーのグラベル セクションを最速で走り 31 秒短縮し最速タイムを更新。
Strava では、レース中に獲得した 100 以上の KOM を見ることができます。
さらに2022年は184kmでレースが開催されラスト50kmでのアタックに対し今年は215kmに距離が伸びゴールまで80kmと逃切りの難易度も上がっている中でのことでした。
今回のセットアップ
ポガチャルを含むチームUAEが使用したホイールは「SES4.5」はあらゆる天候や様々な路面コンディションに対応する万能ホイールセットです。
タイヤは荒れた未舗装路区間を走るため、30mmをセットアップすることでグリップとコーナーでの速度が上昇すると同時に荒れた未舗装路区間でのパンクリスクも軽減しています。
昨シーズンから30Cのタイヤを使用する機会が多いポガチャルですが、身長176cm体重66kgでフロント3.3barリア3.5bar(F:47psi/R:50psi)前後で使用しているそうです。
レース中の動き
今回の作戦は残り81kmのサンテ・マリーでポガチャルがアタックを仕掛けること。
そのために残り100km以上のところからチームUAEがペースを上げ集団を疲れさせるとともにエース ポガチャルを最適な位置で守ります。
残り81m地点でレース前のコメントの通りポガチャルはアタックを仕掛けそのまま独走しました。
アタック時の5分間の最大パワーは460w/平均340wで荒れたトスカーナの未舗装路や雨が降り滑りやすいダウンヒルをこなし平均38.8km/hのスピードで逃げ続けます。
残り5kmになるころには勝利を確信し、カメラに向かって微笑んだり観客を沸かせていました。
80kmを単独で逃げる理由
サイクルロードレースの歴史をみてもゴールからここまで遠いところからアタックするレーサーはほとんどいません。通常レーサーがアタックを考えるのは40km地点あたり。
残り80kmでアタックをしかけるポガチャルのパフォーマンスは全く別次元にあります。
今回ポガチャルはストラーデ・ビアンケを勝っただけでなく、2位と大会史上最大のタイム差(2:44)をつけ圧勝。アタックから60km。ポガチャルと追走は3分半以上に広がりました。
おそらくもっと大きなタイム差をつけられましたが、少しスピードを落としポガチャルはカメラに笑顔を見せ最後の激坂も軽々と上り勝利。
なぜ残り80kmでアタックしたのか?
ポガチャルは今までも単騎での逃切り優勝を実現しています。
2022年のストラーデ・ビアンケでは残り50kmから
2019年のブエルタ・スクリスタ・ア・エスパーニャでは39kmから
2023年のイル ロンバルディアでは残り31kmから
2023年のアムステルダムゴールドレースでは28kmから
アタックし勝利しています。
ポガチャルのレースカレンダーを見れば、なぜ2時間の独走で逃げ切るほど強いのかがわかるだろう。
25歳のポガチャルは過去にリエージュ~バストーニュ~リエージュに6回出場しているが、過去6回のうち4回が長い単独でのアタックで優勝。
ポガチャルは今年、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのダブルツールを目指すことを明言しており、どちらのグランツールもグラベルセクターのあるステージ(ジロの第6ステージ、ツールの第9ステージ)が特徴となっている。
グラベルセクターで多くのライバルが勝利を目指す中、ポガチャルはアタックを繰り返しグラベルセクターでタイム差を稼ぎだすかもしれません。
今回の81km地点でのアタックはグランツールに出場するライバルに対しての宣戦布告になったと思われます。
またポガチャルがレース前に作戦を話すことがあるかもしれませんのでレース前のコメントに注目しましょう。
ポガチャルはこの後ミラノ〜サンレモに出場し、続いてヴォルタ・チクリスタ・ア・カタルーニャ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュが続きます。
ポガチャルは春から夏にかけてENVE SES 4.5でレースを行う予定ですが、SES2.3も坂の多いステージでは使用する予定です。
ポガチャルらチームUAEが使用する「SES Pro Team One-Piece」ハンドルバーは、ポガチャルやチームの意見をもとに設計しています。