2024年に入り、プロロードレース界でフックレスシステムについて安全性が注目されています。
フックレスシステムについて広く出回っている質問に対してENVEの考えをお伝えします。

まずロードホイールにおけるフックレスシステムはENVEが2016年に発売したSES4.5ARで初めてロードホイールに導入され、「UAEチームエミレーツ」や「チームトタルエナジーズ」をはじめ「ポルティコメタ」など多くのプロ選手やプロチームが現在も使用し続けています。
そしてホイールをはじめとする全てのENVE製品において安全第一で開発しています。
最初のフックレスロードホイールを発売してから8年間、様々なチューブレスタイヤを使用したテストを1,000回以上行い、安全に使用可能なチューブレスタイヤを発表し続けてきました。
そのテストの結果、販売されているチューブレスタイヤのほとんどがENVEの厳しい基準に合格しませんでしたが、近年では合格するタイヤも増えてきました。
ENVEはフックレスリムのメリットを信じています。
フックレスは性能だけでなく、リム強度や、品質の安定性にも関わります。
フックレスに関するよくある質問について回答します。
Q1.フックがないのにチューブレスタイヤはどのように固定するのですか?
A1.フックレスではビードシートと呼ばれる部分で固定され、中の空気を密閉します。

リムのビードシートとは、リムのサイドウォールの下にある平らな部分を指します。
そもそも、フックに対して多くの方が誤解されています。
実は、フックビードは軽量クリンチャータイヤのケブラービードの問題を解決されるために開発されたものです。

クリンチャーはチューブに空気を入れビード引っかかるまで空気を入れ、チューブの圧力を使用し、フックにタイヤを密着させるよう設計されています。
チューブレスタイヤは正しく設計、製造されていれば、ケブラービードのクリンチャーに比べ、強度がしっかりと確保されリムのビードシートで固定させています。

チューブレスタイヤをセットさせるときに「バンッ」と音を鳴らすビード上げは、タイヤビードが空気圧によりビードロックを乗り越え、ビードシートへ押し付けられる時に鳴る音です。
そしてビードシートとタイヤが密着し、タイヤの空気が密閉されチューブレスとして使用することが出来ています。
つまり、リムにフックビードは必要ありません。
正しく設計されたリムやタイヤを使用したチューブレスシステムは、タイヤのビードがリムのビードシートから外れることはありません。
Q2.ISOのタイヤ空気圧テストはタイヤの最大空気圧の110%で不十分ではないのか。
A2.ENVEではISOの基準よりも厳しい基準でテストを行い安全であるタイヤとの組み合わせを公表しています。
ISO 4210の審査基準は以下の通りです。
タイヤの最大空気圧の110%で5分間タイヤを維持しなければならない。
フックレスの安全性に対して疑問視している人の多くはISOが定義するこのテストでは、フロアポンプによるメーターの誤差で10%ほどの誤差は生じてしまう。そのため不十分だ。
と主張していますが、ENVEでは2016年よりISOの基準よりも厳しい基準でテストし続け、ENVEの承認/推奨タイヤを発表しています。

ENVEのテスト基準は、最大空気圧の165%に当たる空気圧で維持し続けることでENVEリム互換タイヤとなれます。
Q3.岩や段差などにぶつかり、リムが破損するほどの衝撃だった場合タイヤが外れる可能性がある。
A3.はい、外れる可能性はあります。
しかし、外れる可能性があるのはフックレスリムだけではありません。
リムが破損するほどの落車や衝撃が加わった場合、どんなタイプであろうとタイヤが保持される可能性は低くなります。

しかし、フックレスリムのサイドウォールはしなやかなため、折れにくく正しく安全な組み合わせでタイヤがビードシートに固定されている場合、フックドリムよりもタイヤが維持される可能性は高くなります。
Q4.フックレスリムは製造上メーカー側にメリットがあり、ユーザーはメリットがないではないか。
A4.フックレスリムはメーカーにメリットがありますが、ユーザーにもメリットがあります。
リムを製作する際には金型を使用します。


フックレスリムを製作する場合、
リム成型後、金型からそのまま取り外すことが可能です。
しかしフックドリムの場合、
金型からそのまま取り外すことが出来ず、金型を崩す必要があります。
精密機械加工された金型を使って正確なリムを製作できるENVEにとって、ETRTOが定めるロード用チューブレスリムの厳格なサイズ規定に従うことができます。フックドリムを製作する場合、柔らかい素材を使用するか、出来上がったフックに間から抜き取ることが出来る動的工具を使用する必要があります。
その結果フックドリムはチューブレスおいて重要なビードシートサイズの安定を損なわれる可能性があります。
ビードシートサイズの安定はホイールを使用するユーザーにおいて安全に使用することができ、安心してチューブレスシステムを使用することが出来ます。
さらにフックレスデザインは、フックとタイヤで生じる摩擦をなくし、より自然にタイヤを収めることが出来、転がり抵抗を削減します。
また、ENVEのフックレスデザインはより丈夫なENVEのワイドフックレスビードを採用し、リム打ちパンクの可能性を軽減。
より信頼性の高いチューブレスシステムを使用できます。
Q5.フックレスリムはよりエアロなのかですか?
A5.フックレスシステムはタイヤとリムの境目が効率的になり、空気抵抗が減ることを検証していますが、フックドリムでも出来ない訳ではありません。
ENVEはエアロ効果のみならずホイールとしての総合的なパフォーマンスを重要視しています。
・転がり抵抗
・安定性
・パンク防止
・軽量化
・空気抵抗






REAL WORLD FAST(現実世界で最速)を目指しており、数値上だけでなく、安定性やパンク防止などの安全性、軽量化、空気抵抗の削減など総合的に考えワイドフックレスデザインを採用しています。
Q6.ISO/ETRTOはリム幅25mmの場合、29cのタイヤが最小と推奨しているのですが、ENVEは27cのタイヤが使用できると言っています。どちらを信用すればよいですか?
A6.ENVEは基本的にはISO/ETRTOが推奨するタイヤ容量とリム幅の組み合わせを支持しています。
ENVEのSESタイヤ(29c)は、ENVEの内幅25mmリムモデルに空気力学、横風安定性、転がり抵抗、トラクション、快適性のベストバランスを提供します。
27cは空気抵抗を最大限に低減しますが、横風の安定性と転がり抵抗は減少します。
ENVEの内幅25mmのSESモデルに装着するタイヤとして27c、29cどちらのサイズを選んでも、25mm幅のリム向けに設計され、テストされています。

どちらのタイヤサイズも、またENVEのタイヤ適合表で「承認/推奨」と記載されている28cと表示された他社製タイヤの多くも、ETRTOの最大定格空気圧の165%以上(72.5psi/5bar)を達成しています。
Q7.ENVEのフックレス ロードリムの最大空気圧はETRTO規定である
25-29mm: 72.5psi/5bar 30-34mm: 65psi/4.5barを超えています。なぜでしょうか?
A7.ETRTOの規定が生まれるよりも前にENVEの規定を作りました。
ETRTOの規定が制定されるよりも前の2007年からENVEはリムの製造を開始しており、以来安全を第一に考えたENVEでのテストを行いリムの「最高タイヤ空気圧」を設定してきました。
今後、ETRTOの規格に従うようリムを更新する予定ですが、移行には時間がかかります。
ENVEでは体重により最適な空気圧を設定しており、想定以上の空気圧に耐えられるよう設計されています。
最適なタイヤ空気圧は、ENVEのタイヤ推奨空気圧をご確認ください。
ENVEの使命は、高性能かつ信頼性を備えた革新的な製品で、より良いライド体験を実現することです。
私たちはチューブレスを信じ、徹底的にテストし、理解しているからこそ、このテクノロジーを明確に信頼しています。
私たちENVEもまた、ライダーの皆さんには自信を持って乗っていただきたいと願っています。
