ワールドツアーで最も勝利したホイール

ツールドフランスが開幕しサイクルロードレースも盛り上がる時期ですが、今シーズンを振り返りワールドツアーで最も勝利したホイール SES4.5についてご紹介します。

SES4.5の歴史

現在のSES4.5は、ワールドツアーチームが石畳の多い春のクラシックレースで使用できるカーボンエアロホイールを求めていた 2015 年にまで遡ります。
当時ロードバイクは、リムブレーキを使用しており、ブレーキキャリパーによるタイヤ幅の制限がありました。プロトンでは主に 23mm ~ 25mm のタイヤが使用され、28mm のタイヤは「オールロード」または軽いグラベルや石畳などの荒れた路面で使うものと考えられていました。

時間が経つにつれ、ロードバイクにディスクブレーキが徐々に採用されるようになり、自転車メーカーは、キャリパーブレーキのタイヤ幅の制限から解放され、より幅の広いタイヤを模索するようになります。テストを通じて、今までの細いタイヤを高圧で使用するよりも幅の広いタイヤを低圧で使用する方が、より速く走れるという結果が得られることもわかりました。

さらにホイールメーカーとして、これらの幅の広いタイヤに対応する内幅の広いリムを設計し、タイヤ圧をさらに下げることで、快適性、トラクション、転がり抵抗の低減をさらに実現できることを学びました。 

ここで SES 4.5の原点SES 4.5 AR が開発されます。
ワイドタイヤから最大限のトラクションを引き出すには、内幅 25mm のリムが必要でした。同様に、その幅でエアロ効果を実現するには十分なリムハイトも必要でした。

SES4.5ARは今までのホイールとは異なりペダルを踏んだ瞬間から、何か特別なものに出会ったこと感じさせてくれました。

従来のナローワイドホイールと細いタイヤの組み合わせに比べ、タイヤボリュームは大きくなりましたが、路面の感触は感動的でした。荒れた路面でもエネルギーを消耗せずスムーズで速く感じられ、接地面積が増えたことでグリップが向上し、自信を持ってコーナーを曲がれるようになりました。
また驚くことに、激しい横風でも今まで以上に煽られることなく穏やかになりました。

これは、ワイドリムとタイヤの設計がもたらした嬉しい結果です。通常、快適性が高まるとパフォーマンスが低下すると考えられがちですが、ハイボリュームのリムとタイヤの組み合わせではそうではなく、実際の走行で転がり抵抗が低減します。 

SESとは?

SES – スマート ENVE システム。これは、単純なスピードだけでなく、様々な環境での安定性や、製品がバイクとライダーの両方とどのように相互作用するかという総合的なアプローチも含めた、エアロ性能が高い証です。

SES 製品はF1のメルセデス ペトロナス チームの風洞施設、そして実際の世界で風洞試験を受けています。これは、ほぼすべての ENVE ロード製品、および一部のグラベル製品の基礎となっています。

SES ホイールは、フロントとリアでホイールの形状が異なることがわかります。
現在のSES 4.5は、フロントリムハイトが50mmで、スポーク付近のリムの形状が丸く、リアのリムハイトが 56mm で、スポーク付近のリムの形状はシャープな形状をしています。

前後のホイールは、ライダーの下で風の流れが非常に異なり、前後で異なった形状が必要です。
同様に、これらの形状はバイクへも作用し、横風や突風でもライダー自信を持って操縦できるようにしています。風洞実験内では他社のホイールが速いと主張する人が多いですが、さまざまな地形の路上で実際に体感すると、SESホイールが世界クラスのものとして際立つようになります。 

真のオールラウンドホイールへ進化

現在のSES4.5は2016 年に発売された SES 4.5 AR の優れた機能をすべて取り入れました。
たとえば、クラス最高のエアロ性能や、安定性を実現する、ワイドタイヤに最適化されたリム設計とリム形状などです。

さらにリム打ち防止技術。より軽量で洗練されたラミネートを採用するなどリムを再設計し、速度を一切犠牲にすることなく、軽量化と、乗り心地が向上しています。

ENVEのカーボンレイアップに関する豊富な経験により、さらなる軽量化、新しい技術と材料の革新を取り入れ、SES4.5 を真の軽量ホイールにすることができました。

UAEチームエミレーツとタデイ・ポガチャルの登場

上り坂でも速度が上がると、エアロ性能が重要となり、急な上り坂でもエアロ性能を考慮する必要があります。 

ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスなど総合順位に関わる決定的なクイーンステージなどで見られる登りのスピードを考えると、トッププロライダーにとって、ENVEの真のクライミングホイールよりも SES 4.5 を選ぶのは当然の選択です。SES3.4 や SES2.3 よりも SES4.5 の空力的メリットがはるかに大きく、絶え間ない細心の改良によってホイールセットが軽量化されたことで、究極のホイールセットとなり、それを体験したすべての人に愛されるようになりました。 

ENVEの調査では、SES 4.5は、15% 以上の急勾配の長い上り坂を除けば、ほぼすべてのレース ルートで最速のオプションであることが何度も確認されています。リムのエアロ性能により、平坦な地形や起伏のある地形で高速走行時に十分な効率が得られます。約 1,432gと、SES3.4 よりわずか52g重く、ENVE最軽量ロード ホイールである SES2.3 より210g重いだけです。

様々なコースがあるプロのレースで複数のリムハイトからホイールを選べるにも関わらず90%の確率で1種類のホイールを使うというのは型破りに思えますが、UAE チーム エミレーツはSESホイールのデータを信頼し、実際の走行テストの前に、独自の転がり抵抗と風洞データで検証しました。 

こうした開発と進化を通して、SES 4.5 がなぜこれほど人気が​​あり、特別なホイールであるのかが簡単にわかります。
25mm の内幅に28mm~30mmのタイヤを組み合わせられるこのホイールの重量、エアロ性能、安定性により、取り付けたほぼすべての自転車が進化し、ライダーはほぼあらゆる地形で圧倒的なスピードと驚くほどの登坂能力の両方を実現できます。 

SES4.5ホイール