26年ぶりのダブルツールを達成したUAEチームエミレーツのタデイ ポガチャル。ステージ6勝を含む圧倒的な強さでレースを盛り上げ、総合優勝を果たしました。
圧倒的な走りを見せたポガチャル含め、チームのレーサー達はENVEのSESシリーズからコースに合わせて好みのホイールを使用します。
使用ホイール一覧
レース映像や、写真などをもとにポガチャルが使用していたホイールを集計しました。
SES4.5が11回 / SES6.7が9回 / TTホイールが1回(21ステージはフロントはSES6.7 リアはディスクホイールの組み合わせ)
という結果になりました。
ここでツール中にポガチャルが使用していたSES4.5とSES6.7の簡単な比較をしてみます。
スペック比較
SES4.5 | SES6.7 | |
フロントリムハイト | 50mm | 60mm |
リアリムハイト | 56mm | 67mm |
フロント重量(リム重量) | 651g(411g) | 661g(430g) |
リア重量(リム重量) | 782g(415g) | 796g(449g) |
セット重量(リム重量) | 1,432g(826g) | 1,457g(879g) |
リム内幅 | 25mm | 23mm |
リムハイトは約10mm異なりますが、内幅が2mm変わることにより重量差は25gに留まっています。
たかが25gされど25g。軽ければ加速が楽になり、重ければ巡行が楽になるホイールにとって25gは無視できる重量ではありません。
エアロ効果
続いて空気抵抗についてです。
32km/hと48km/hでテストがされています。
グラフの
グレーの線がSES4.5
黄色の線がSES6.7
の空気抵抗を示しています。
32km/hでの空気抵抗
32km/hでのテストではSES4.5のグレーの線はほとんど見えないですが、これは黄色の線SES6.7と空気抵抗がほとんど同じであるという結果になります。横風の吹く環境でも推進力やハンドリング性を失わないため軽量ながら空気抵抗にも優れる万能ホイールとなります。
48km/hでの空気抵抗
48km/hという高速域でのテストではハイトの差が空気抵抗に現れます。
さらにリムハイトが高くなると外周が重くなるため、巡行が楽になり結果的に楽に速く走れるようになります。
話をツールに戻しますが、ポガチャルはツール中この二つのホイールの使い分けとして、
コースカテゴリが平坦ではSES6.7を使用し、丘陵/山岳ステージではSES4.5を使用していました。
カテゴリ別の平均速度を見てみると
平均速度 | |
平坦 | 45.0km/h |
丘陵 | 42.0km/h |
山岳 | 37.8km/h |
個人TT | 48.3km/h |
このような結果となりました。
今回のクイーンステージである第19ステージの最後の峠イソラ2000のセグメント(距離15.97km獲得標高1,100m)結果では38:01 平均速度25.8km/hで登り切っています。
さらに15%近い上りのエリアでも20㎞/h以上の速度で登り、5%付近では30km/h近くで登っています。
ツール後半でここまで130km近く走り標高も1,000m~2,000mの環境でこの速度で走るプロの凄さに改めて驚かされます。
そのため上りでも重量だけでなく、エアロ効果が重要となってくるため、山岳でもSES4.5を使用しています。
32kmのテストでわかるように一定の速度域までであれば、SES6.7に匹敵するエアロ効果を持ちながら1,432g台の軽量性をもつSES4.5はやはりマルチに使用可能なホイールということが分かりました。
ツールを圧倒的な強さで総合優勝し、今年の目標通り、ジロとツールのダブルツールを達成しましたが、オリンピックや世界選手権などシーズンはまだ残っています。
どんなコースでどんなホイールを使用するのかチェックしながら応援しましょう!