マリア・ローザを着続けた20日間

今年のジロはポガチャルが他を圧倒する走りで第2ステージから総合首位を守り続けました。

そんなポガチャルはTTステージを除く、山岳、平坦ステージ全てでSES4.5のホイールを使用し、ハンドルはSES AEROハンドルバーをベースとしたワンピースハンドルを使用しました。

そんなポガチャルの走りと共に今年のジロデイタリアを振り返ってみましょう!


ジロ開幕前、初出場のタデイ・ポガチャルがここまで圧倒的に勝利すると予想した人はほとんどいなかったでしょう。
トリノからローマまで、ポガチャルは長距離のアタック、チームメイトへのリードアウト、山頂フィニッシュ、タイムトライアルと多くのステージで強さを発揮しました。 

海沿いから山岳、雪や雨の日から晴れた日まで、21ステージにわたって、ポガチャルは総合優勝争いのライバルたちに一度も遅れることがありませんでした
ある日は数秒差をつけ、別の日には数分差をつけ、歴史に残るパフォーマンスでした。

ポガチャルの走りからジロデイタリア2024を振り返ります。


第 1 週】 – トリノからプラティ ディ ティーヴォ

ポガチャルは第1ステージで総合優勝を目指すライバル達に対して優位に立ち、第2ステージで総合1位となりました。

まずはじめの第1ステージの最後の登りでアタックしましたが、スプリントでナルバエスに追い抜かれ最終的にはライバルと10秒の差をつける3位でフィニッシュ。ボーナスタイム4秒を獲得し、本格的な総合優勝ライダーたちに対して早々にリードを奪いました。 

続く第2ステージでは、ライバルたちを圧倒して単独でステージ優勝を果たしまし、ライバルたちに対して再びタイムとボーナスタイムを稼ぎました。

全21ステージ中2ステージを終えた時点で、リードはすでに45秒にまで広がっています。 

そこから数ステージを過ごし、第7ステージの個人タイムトライアルまで総合順位を争う大きな動きはありませんでした。
過去タイムトライアルで2度優勝したフィリッポ・ガンナの存在を考えると、個人タイムトライアルのステージでポガチャルが優勝できるかどうか疑問視する人がほとんどでしたが、その疑問を結果で見返しました。

40.6キロのステージで、ポガチャルは総合順位のライバルたちに1分以上の差をつけ、あのガンナを抑えてステージ優勝を果たしました。
これはポガチャルが絶好調であることを示しジロの流れを大きく変える出来事となりました。
この勢いは第8ステージ、ジロ初の本格的な山頂フィニッシュであるプラティ・ディ・ティーヴォでも続きます。 

UAEのメンバーたちは、ポガチャルのステージ優勝のために集団をコントロールしました。
他のライダーが何度もアタックをかけましたが、吸収し続けました。

山頂フィニッシュの残り200メートルで、ポガチャルは猛烈なスプリントを繰り出し、ステージ優勝を果たしただけでなく、総合順位のライバルたちに差を広げました。

ジロの第1週の時点で、ポガチャルのリードはすでに数分になっていました。

ステージ8終了後の総合順位:

1位: タデイ・ポガチャル (UAE チームエミレーツ) 7:08:29

2位: ダニエル・マルティネス (BORA – ハンスグローエ) +2:40

3位: ゲラント・トーマス (INEOS グレナディアーズ) +2:58


第 2 週】 – ナポリの海岸からリヴィーニョの標高2,300メートルまで

興奮が続く第1週を終え、第2週でもポガチャルが総合順位にさらなるタイム差を広げました。

第14ステージのタイムトライアルは第7ステージのタイムトライアルに比べ上りがなく平坦なコースでした。

ポガチャルは31.2kmのこのステージを平均時速52.7kmで走り、フィリッポ・ガンナに次ぐステージ2位となりポガチャルは総合順位で45秒の差をつけました。

タイムトライアルでタイム差が広がる一方で、次のステージが心配でした。
ジロのクイーンステージとなる第15ステージは、マネルバ・デル・ガルダからリヴィーニョまで222kmを走り、獲得標高5,700mの登り坂を経てモットリーノの頂上でゴールしました。

非常に長いコースに加えて標高の高い場所でのゴールが設定されていました。
なんでもこなせるポガチャルですが、標高の高いステージは苦手なように見えていました。 

実はチームは、昨年の12月からこのステージについて考えていました。標高の高いこのステージではチームで総攻撃をしようと計画していたのです。 

スタートから5時間後、UAEチームエミレーツがポガチャルを従え最後の登りの麓に到着。
残り15キロでポガチャルはアタックし、メイン集団を一気に置き去りにし、10キロ後、ポガチャルは逃げていたキンタナを追い抜き、ステージ優勝を目指して攻め続け結果的に総合で2分50秒の差を付けることとなりました。

これはポガチャルにとって高地での最高のパフォーマンスでした。
ポガチャルのこれまでの記録の中で、この走りに匹敵するものはなく、それは結果にも表れていました。

第15ステージ終了後の総合順位:

1位: タデイ・ポガチャル (UAE チームエミレーツ) 7:08:29

2位: ゲラント・トーマス (INEOS グレナディアーズ) +6:41

3位: ダニエル・マルティネス (BORA – ハンスグローエ) +6:56


第3週】 – モンテ・パナの凍てつく寒さからモンテ・グラッパの輝く太陽まで

2回目の休息日の後、モンテ・パナへの第16ステージでもポガチャルは最後の登りの急斜面でアタックを仕掛けジロ5回目のステージ優勝し、残り5ステージで総合首位との差を7分以上に広げました。 

第18ステージのモンテ グラッパ (18.2 km、8.1%) の急な上りは容赦なく、1 時間のヒルクライムで休めるのは 1 区間だけです。

モンテ グラッパはどんな日でも恐れられますが、ジロの 3 週目となると疲労は最高潮に達し過酷そのものです。

それでもポガチャルは40 km 近くを残してアタックを続けました。

ポガチャルは、モンテ グラッパへの登りで何百ものスロベニア国旗を横目に走り、若いファンにボトルを渡す時間さえありました。

他の登りと同様に、ポガチャルはこの登りの記録を樹立し、2014年の個人タイム トライアルで記録された以前の最速記録より 1 分速いタイムを記録しました。 

ポガチャル – モンテグラッパ

時間: 51:46

推定VAM: 約1,700 Vm/h

タデイ・ポガチャルがマリアローザを着てゴールする瞬間、会場は大盛り上がりとなっていました。
これが今大会6回目のステージ優勝となりを総合で2分の差を広げ、最終ステージを残し総合順位で10分近くの差に広げました。

タデイ・ポガチャルにとって、これがジロ・デ・イタリア初挑戦だったとは信じ難い走りでした。

ステージ6勝を飾り最終的には、マリア・アッズーラ(山岳賞)、マリア・ローザを獲得しました。

祝杯ムードもあるが、ポガチャルはツール・ド・フランスに向けてすぐに高地キャンプへ向かいます。

来月にはポガチャルはイエロージャージの奪還と、25年以上ぶりとなるジロ・ツールのダブル制覇に挑戦することになります。

2024年ジロ・デ・イタリアの総合順位:

1位: タデイ・ポガチャル (UAE チームエミレーツ) 7:08:29

2位: ダニエル・マルティネス (BORA – ハンスグローエ) +9:56

3位: ゲラント・トーマス (INEOS グレナディアーズ) +10:24

ダデイ・ポガチャル使用ホイール