世界で人気のグラベルレースでは今年、トップライダーが使用するタイヤサイズのワイド化が見られました。
ロードレースでも同じことが起きていますが、同じワイド化でもその理由は若干異なります。
ロードの世界では28mmのタイヤが一般的となり、今年のツール・ド・フランスのポガチャルのように、30mmを超えることもあります。
ロードレースでのワイド化が進む理由として大きく2つあり、「転がり抵抗の低減」と「ハンドリング/グリップの向上」が挙げられます。
一方、グラベルの世界では、40~42mmのタイヤが標準的なレースセットアップでしたが今年、大きなグラベルレースなどでは、45mm以上の幅を選択するように変わってきました。
なぜグラベルのトップレーサーが使用するタイヤがこれほど大きくなっているのでしょうか。
犬を背負って走ることが印象的な、グラベルレーサー 「アレクセイ・ヴァーミューレン」グラベルレースでの傾向とその理由について尋ねました。
45C以上の大きすぎると考えられていたタイヤサイズが、現在では大きなグラベルレースでのトレンドとなっているのはなぜでしょうか?
グラベルでの、レース速度が上がり続け、これまで以上にレースの奥深さが増してます。
パンクなどのメカニカルトラブルが発生した場合、レースの先頭に復帰することはほぼ不可能です。
そのため、パンクのリスクを防ぐために、より大きなタイヤを使用するライダーが増えています 。
また、コースの大部分がグラベルである場合、MTBタイヤはグラベルタイヤのように高速となり、転がり抵抗もグラベルタイヤのように低くなっていると思います。
グラベルタイヤのサイズは今後も大きくなり続けるのでしょうか、それとも限界まで広がっていて今後中間のサイズに落ち着くことになるのでしょうか?
グラベルタイヤのサイズは限界に近づいていると思います。
現在のトレンドの45mm~2.2インチ(55.8mm)までの間で、新しいオプションが多数登場するでしょう。
しかし覚えておいてほしいのは、タイヤのサイズはコースに大きく左右されるということです。
予想される速度とコースの状況は、タイヤのサイズを決める主な要因となります。
32km/h以上でレースをしているライダーのグループは、落下している岩に気づかずにぶつかることがよくあります。岩が落ちていることを認識し、衝突を予期してサドルから体重を離している人とは大きく異なり、サドルに体重が乗っている状態でぶつかる時の衝撃はかなりのものです。
グループでレースをしていると、同じコースを単独、または低速で走っている人よりもパンクが多く見られます。
現在、出回っているグラベルバイクの多くはタイヤのクリアランスが限られていますが、理想的なセットアップを決める際に、限られたクリアランスはどれほど重要な要素になりますか?
実際、どんなタイヤサイズでも走れるというのは素晴らしいことです。
ENVEのグラベルフレームMOGは最大50mmのクリアランスがあるので、どんなタイヤセットアップでも使用でき、コースの試乗後に最適な組み合わせを決めることができます。
一部のグラベルバイクがまだ最大 45 mm のタイヤ クリアランスで発売されていることは非常に興味深いと思います。
コースによっては45mm以上を使いたい場合があり、使用できないことがあるからです。
グラベルレースのスピードが上がり続けていますが、優位に立つために何を重視していますか?
タイヤの転がり抵抗とあらゆる種類のエアロ効果は、今後も成長し続けるでしょう。
そこから、どんな状況でもタイヤの空気圧を維持する方法が生まれ、ギア比も大きくなり続けると予想しています。
スキンスーツやエアロヘルメットなど、ロードレースと同じアパレルやヘルメット技術が見られるようになっています。
これらのことは、レースを狙っているわけではないグラベル ライダーにとって何かメリットがあるでしょうか?
もちろんあると思います。
多くのライダーが同じ速度で走っているわけではないですが、タイヤクリアランスが大きく、フレームストレージなどを備えた、高性能なバイクは、あらゆるレベルのライダーの楽しみを向上させます。
SBT GRVL では、200kmで獲得標高3,500mのコースを平均35km/h を記録し、3 位に輝きました。これはロード レースのような速度です。その際のセットアップについて詳しく教えていただけますか?
ENVE MOGにDura-Ace クランク (52/34 – 11/34 カセット)、GRX 12sを組み合わせました。
ホイールはENVE SES3.4を使用し、フロントタイヤは 2.2 インチの Kenda Rush を 26 psi で、リアタイヤには 50 mm Kenda Prototype タイヤを 28 psi で使用しました。
ライフタイムグランプリの最終ラウンドは、岩だらけで有名なビッグシュガーです。
このコースに理想的なセットアップはどのようなものになると思いますか?
過去 2 年間パンクした経験から、2.2 インチのタイヤを ENVE G23 ホイールに履かせて MOG をモンスタートラックにしようと考えています。
当日雨が降る可能性がある場合は、2.2 インチでは泥やゴミが入り込む余地がないため、もう少し小さいタイヤサイズを使用するると思います。
ギヤについては、急な上り坂や高速セクションで必要な全範囲を確保するために、1x 52t または 50t x 10-51 を使用します。