ENVE MELEE V2 国内最速インプレッション 様々なシチュエーションでわかった、死角のない前作とは違う走り

ENVE本国スタッフのフレッドさんと、新しいMELEE V2で東京を走ってきました。

信号でのストップ&ゴー、陸橋やアンダーパスの小さなアップダウン、そして平地巡航。走り続けられる道ばかりではないからこそ、新しいMELEEのよさが見えてきました。

強く踏まなくても加速する。小さな上りで失速しにくい。スピードに乗ってからも気持ちよく進む。

まずは、今回のライドで感じたことをお届けします。


信号が青になったら、スルスルと30km/hへ

普段のライドでは、できるだけ信号が少なく、止まらずに走れる道を選びます。でも、都内ではそうもいきません。どこへ向かうにも、信号で止まっては走り出すことの繰り返しです。

その中で最初に驚いたのが、MELEE V2の加速でした。

信号が青になり、クリートをはめて踏み出す。そのままスルスルと30km/hまで上がっていきます。大きな力でバイクを押し出すというより、ペダルを回し始めると自然に速度がついてくる感覚です。

MELEE V2は、前作からフレーム剛性も高められています。BBまわりへ力をかけたときの反応がよく、その変更にも納得できる踏み出しでした。

今回感じたのは街中での加速ですが、この反応ならレース中の加減速や、コーナーからの立ち上がりも楽しみです。


小さな上りが、いつもより緩く感じる

東京を走っていると、思った以上に細かなアップダウンがあります。

陸橋、アンダーパス、短い坂。斜度はそれほど強くなくても、繰り返し上っていると少しずつ脚にくるものです。

上りが苦手な自分は、いつもなら坂に差しかかったところでペースが落ちてしまいます。ところがMELEE V2では、平地からのリズムを崩さず、そのまま上っていける感覚がありました。

あくまで体感ですが、勾配が2%ほど緩くなったよう。

上っていることを忘れる、と言いたくなるくらい、軽く進んでくれます。

上りで絶対的に有利な軽量化。軽量化のこだわりはバイク全体。スモールパーツからペイントまで妥協なく取り組まれています。

フレームの面積を7.5%削減し、ヘッドベアリングやシートポスト、BB規格まで軽量化に向けて変更が行われています。

今回選択したUL BLACKはウルトラライトブラックという名前の通り、カーボン地が見えるほど薄く。わずか30gの増量だけに留められています。

今回は短い上りが中心でしたが、ビワイチのような比較的平坦なライドでも、この走りはうれしいはず。橋を渡るたびに現れる小さな上りを、今までよりペースを落とさずにこなしていけそうです。


「もっと踏め」ではなく、自然に速度が乗ってくる

平地では、エアロ性能の高さを感じる巡航が印象に残りました。

エアロロードに乗ると、「もっと踏んでくれれば、もっと速く走れるよ」と言われているように感じることがあります。MELEE V2は、それとは少し違いました。

それほど速度を上げるつもりがなくても、軽くペダルを回しているうちに30km/h、35km/h、40km/hと速度が乗ってきます。

一度スピードに乗れば、そのまま巡航へ移るのもスムーズ。速度を保つために力んで踏み続ける感じが少なく、気持ちよく走れました。

速く走ろうと頑張る前に、バイクがよく進んでいる。

今回の平地での印象をひと言にすると、そんな感覚です。


空力改善は17W。今回は、そのフル構成ではない

MELEE V2は、前作比で合計17Wの空力改善を実現しています。内訳は、フレーム・フォーク・シートポストで11.4W、ハンドル・バーテープで3.0W、エアロケージとボトルの組み合わせで2.6Wです。

今回のバイクは、もともと使っていたパーツを生かし、フレームセットをMELEE V2へ載せ替えた仕様。新型ハンドルやエアロケージを組み合わせた、17W改善のフル構成ではありません。

それでも、これだけ走りの違いを感じられました。

ここからハンドル、バーテープ、ボトルケージを変更すれば、風洞試験ではさらに合計5.6Wの改善が見込まれる構成になります。今の走りから、まだ先があると思うと、いい意味で恐ろしいです。


ENVE 65でもこの走り。ホイールを変える楽しみも

今回使用したホイールはファンデーション ENVE 65です。

この先は、SES 4.5 PROやSES 4.5、SES 6.7でも試してみたいところ。フレームの変化だけでこれほど好印象だったので、ホイールを変えたときの走りにも期待が膨らみます。

軽量化の参考として、公表重量ではENVE 65 INNERDRIVEが1,635g、SES 4.5 PROが1,295g。
その差は340gです。さらに軽く仕上げる余地があり今でも小さな上りを軽快にこなせるだけに、軽量なホイールと組み合わせたらどうなるのか。次は、もう少し長い上りでも走ってみたくなりました。

項目ENVE 65(INNERDRIVE)SES 4.5SES 4.5 PROSES 6.7
リムハイト
(F/R)
65mm/65mm50mm/56mm49mm/55mm60mm/67mm
ホイール重量・前後合計1,635g1,432g
(-203g)
1,295g
(-340g)
1,457g
(-178g)

※括弧内はENVE 65 INNERDRIVEとの差。


前作の万能さから、よりレースを見据えた一台へ

前作のMELEEは、速さだけでなく、幅広い使い方に応えるところも魅力でした。35mmのタイヤクリアランスに加え、フェンダーマウントも備えていました。

V2では、その方向性がより明確になっています。

フェンダーマウントは廃止。最大タイヤクリアランスは35mmから33mmへ変更し、現代のロードレースで必要なタイヤボリュームを確保しながら、軽量化と空力性能を追求しています。

ポジションもレースを見据えて見直されました。56〜60cmサイズではフレームのスタックを5mm低くし、新型ハンドル側の変更と合わせて、従来より低いポジションを取りやすくしています。

乗った印象も、前作のMELEEとは別物。

用途の幅を広げるというより、ロードレースで速く走るために磨き直した。その方向性が、加速や巡航の感触から伝わってきました。


レーシングバイクになっても、ENVEらしい乗りやすさは健在

ここまで速さの変化を書いてきましたが、よかったのは、それが扱いにくさにつながっていないことです。

コーナーや下りでは落ち着きがあり、高速域でもハンドリングに不安を感じません。前作で好印象だった安定感は、しっかり引き継がれていました。

剛性が高くなっていても、「硬すぎて乗り続けるのがつらい」という印象はありません。少なくとも今回のライドでは、速さの代わりに乗り心地を我慢している感覚はなく、気になる点を探しても、なかなか見つかりませんでした。

ENVEが掲げるテーマは、

「Lighter. Faster. No Compromise.」
より軽く、より速く、妥協しない。

実際に乗って感じたのは、速さを追求しながら、気持ちよく走れることも諦めていないということでした。

フレッドさんに聞いた開発の話や、MELEE V2の詳しい製品紹介も、今後順次お届けします。

ENVEのものづくりの現場については、こちらのファクトリーツアーもご覧ください。