ENVEの「SES AERO CARBON BOTTLE CAGE」は、一般的な丸型ボトルを使いながら、ボトル周辺の空気抵抗を抑えるカーボン製ボトルケージです。
ダウンチューブ用とシートチューブ用を組み合わせたテストでは、最大2.5Wの空気抵抗削減を確認。専用のエアロボトルへ交換せず、使い慣れたボトルで補給しながら空力を改善するためのパーツです。
開発では、ライダーが乗り、ボトルを装着した状態で風洞テストを実施。ケージ単体の形状ではなく、フレームやライダーとの組み合わせで性能を評価しています。
専用ボトルではなく、ケージの形状で空気抵抗を抑える
SES AERO CARBON BOTTLE CAGEは、ボトルの側面を包み込むような形状が特徴です。細いアームでボトルを支えるケージとは異なり、ボトルを取り付けた状態の空気の流れを考えて設計しています。
取り付け位置に合わせて、ダウンチューブ用とシートチューブ用の2種類を用意。どちらも一般的な丸型ボトルに対応します。

使用するバイクもMelee V2に限定されません。初代Meleeを含む、多くのロードバイクに取り付けられます。
フレームごとの専用ボトルに頼らず、ケージの形状で空気抵抗を抑える。普段使うボトルを継続して使えることが、この製品を選ぶ理由です。
ボトル周辺の空気は、ペダリングする脚の影響を受ける
ボトルケージの空力は、ケージだけを風に当てても、実際の走行状態と同じ評価にはなりません。
フレームのすぐ外側では、ライダーの脚が動いています。脚によって空気の流れが乱れたり、流れが妨げられたりするため、ボトルやフレームの周囲を通った空気が、その後ろへどう流れるかも考える必要があります。

フレーム、ボトル、ケージ、ライダーの空力は、互いに影響し合います。
ENVEはMelee V2の開発で、ライダーが乗り、ボトルとケージを装着した状態を重視しました。
ボトルを外した車体だけの数値を追うのではなく、補給に必要な水分を積んで走ることを前提に、空気抵抗を抑える設計です。

風洞テストは、実際のライダーがペダルを回して行う
Melee V2と関連パーツの空力開発は、英国シルバーストーンのMercedes-Petronas風洞で、空力の専門家であるサイモン・スマートとともに進めました。

使用するのはマネキンではなく、実際のライダーです。
人が乗るテストでは、手の位置や姿勢、ペダリングの変化が測定結果に影響します。そのため、手と身体の位置、ケイデンスを映像で確認しながら管理。使用機材もテストを通じて統一し、比較条件をそろえています。

以下の比較は、50km/hでの平均空気抵抗をワットで示したものです。数値が小さいほど、その条件で空気抵抗によって消費されるパワーが少ないことを表します。転がり抵抗などを含む、走行に必要な総出力ではありません。
ボトルを付けたときの変化は、バイクによって異なる
最初の比較は、ライダーを乗せず、車体だけで測定したものです。
ボトルとケージを取り付けていない状態と、取り付けた状態を比較しています。

| 車体 | ボトル・ケージなし | ボトル・ケージあり | 装着による増減 |
|---|---|---|---|
| ENVE Melee V2 | 111.94W | 115.38W | +3.44W |
| Specialized SL8 | 116.08W | 120.83W | +4.75W |
| Trek Madone | 121.34W | 118.89W | −2.45W |
Melee V2とSL8は一般的なボトル・ケージ、Madoneは専用のエアロボトル・ケージを使用しています。
この表は、ENVEのエアロケージへ交換した効果を示すものではありません。各バイクにボトルとケージを追加したとき、車体の空気抵抗がどう変わるかを比較したものです。
Melee V2とSL8では抵抗が増えていますが、専用エアロボトルを装着したMadoneでは抵抗が減っています。
少なくともこの車体単独のテストでは、「ボトルを付けると必ず空気抵抗が増える」とは言えません。フレームとボトル、ケージの組み合わせによって結果は変わります。
ライダーが乗った状態で、車体全体の空力を比較する
続いて、ライダー、ボトル、ケージを含めた50km/hでの比較です。
車体だけのテストに対し、身体や脚が空気の流れに与える影響も加わります。

| 車体・ボトル構成 | 平均空気抵抗 |
|---|---|
| ENVE Melee V2試作車/丸型ボトル | 507.71W |
| Trek Madone/専用エアロボトル・ケージ | 510.79W |
| Specialized SL8/丸型ボトル | 511.30W |
| Trek Madone/丸型ボトル | 517.90W |
| ENVE Melee V1/丸型ボトル | 524.71W |
この比較では、Melee V2の試作車は、丸型ボトルを使った構成で最も低い抵抗値を記録しました。
ただし、これは車体、使用したボトル・ケージ、ライダーを合わせた結果です。ケージ単体の性能順位ではありません。
また、Melee V2と初代Meleeの差は17Wですが、この差にはフレーム、フォーク、シートポスト、ハンドル、バーテープ、ボトルケージ周辺の改善が含まれます。
エアロボトルケージへの交換だけで17W減る、という意味ではありません。
車体単独の比較と、ライダーが乗った比較。それぞれを分けて見ることで、何を変更した結果なのかを正しく読み取れます。
最大2.5Wは、2種類のケージを組み合わせた数値
SES AERO CARBON BOTTLE CAGEの最大2.5Wという公称値は、ダウンチューブ用とシートチューブ用を組み合わせたテストでの削減量です。

SES AERO CARBON BOTTLE CAGEが目指すのは、丸型ボトルの使いやすさを残しながら、実際のライド時のボトルを積んだ状態で空力を改善することです。
エアロボトルケージはMELEE V2だけのものではありません。
前作のMELEEや他社のバイクにまで幅広くご使用いただけます。


